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僕たちの約束  作者: 翔香
第3章 真実
40/55

第40話 久々に

もう40話ですね。

びっくりしましたよ(;O;)

「2人とも、話がある」



 智は、2人をソファーに座らせた。



「どうしたの?」



 花輪は興味がある様子だ。



「実はな、佐名木さんが行方不明になったそうなんだ」



「は?何でだよ。急に」



「きっと、私のせいだ・・・」



 花輪は、頭を抱えた。



「何で?花輪のせいなんかじゃないよ」



 花輪は首を振った。



「だって、私の罰ゲーム『大切な人を失う』だったでしょ?だから・・・」



「あ・・・」



 智と疾登は同時に声を出した。



「花輪、探せばきっと見つかるよ。大丈夫。佐名木さんは、俺たちを見捨てたりなんかしない」



 智は、花輪の肩に優しく手を置いた。



「そうだよね」



 花輪は、安心したようだ。



「昼ごはん食べに行こうぜ。俺、緊張してお腹空いちゃった」



 疾登が雰囲気を変えるように、少し大げさに言った。



 3人は、近くのうどん屋で昼食を済ませた。ついでに、夜ご飯のおかずもスーパーで済ませた。











「いやぁ。夜ご飯、花輪と2人きりで食べるのは気まずいな」



「何だよ。俺がいても、大して話さないじゃないか」



 智は携帯をいじりながら、ぶっきらぼうに言った。



「まあ、そうだけど。でも、居るだけでも違うよな」



 疾登は、花輪を見る。



「うん。疾兄と2人きりなんて絶対楽しくないよ」



 花輪はサラリと言った。



「そんな嫌?俺と2人きりになるのが」



「自分から話切り出したくせに」



 智は、ボソッと呟いた。



「何か言った?」



 疾登は、智の隣にドカッと座った。



「何でもねーよ」



 智は、疾登の肩をポンと叩いて自分の部屋に入った。



「お兄、最近自分の部屋にこもる時間が多くなったね」



 花輪は心配そうに言った。



「確かに・・・」



 2人は、しばらく智が入って行った部屋を見つめていた。











 智が部屋に入った理由は、また激しい頭痛がしたからだ。智はドアを閉め、そのまま壁にもたれ掛った。



「うっ」



 あまりの痛さに、頭を抱えた。

 その時、また残像が出てきた。それは、100万円札の束が3つほど机の上に置いてある映像だった。



「何なんだろう。この残像・・・」



 そう呟いたとき、ピタッと頭痛が止まった。



 智は暗闇の中ベットに転がり、携帯電話のアドレス帳から、『越本裕貴』と探し出して、連絡を入れてみた。

 2コール程して、繋がった。



「はい」



 最近会ってないからか、声が変わったような気がする。でも、10年近くは会っていなかったので、当たり前だと思うが。


「裕貴か?俺だ。智だ」



「おお、智か。どうした?今まで全然連絡しなかったのに」



 まずは、憶えてくれて良かったと思った。



「いや、ちょっと頼みごとがあって・・・」



「何?」



 裕貴は何かの作業をしているのか、時々雑音が入る。



「あのさ、今も新聞の切り抜きってしてる?」



「ああ、今やってるよ」



 雑音は、ハサミで新聞を切っている音だったのだ。



「それ、見せてもらえないかな。ちょっとある事件の情報が欲しいんだけど」



 ある事件とは、高峰が起こした『大阪連続殺人事件』のことだ。



「全然構わないよ。いつでもどうぞ」



 すんなり了承してくれた。



「じゃあ、明日の朝10時くらいでもいいか?」



 今日は、これから一輝と会う約束をしているので、明日に回した。



「うん。俺の家、分かるか?」



 智は、頭の中で地図を描いた。高校生の頃、10回は遊びに行っていたので、なんとなく道のりは分かる。



「うん。大体は」



「そうか。じゃあ待ってる」



「ありがとな。また明日」



 智は、通話を切った。

 時計を見ると、4時20分だった。

 智は、少し仮眠をとることにした。











 智は、重たい瞼を開けた。時計に目を移した。6時30分だった。携帯を手に取り、画面を見ると、メールが1件届いていた。一輝からだった。内容は、『8時ちょっと過ぎるかもしれない』ということだった。 一輝の『ちょっと』は、大体30分か40分くらいに考えた方がいい。昔、遊ぶ約束をしていて、「ちょっと遅れる」と言ったのだが、1時間くらい待たされた記憶がある。

 智は、一輝に会う前に会っておきたい人がいたので、その人に会いに行ってから8時半くらいに待ち合わせ場所に向かえばいいと、頭の中で計画を立てた。



「おお、兄貴起きたのか」



 リビングに入ると、疾登と花輪は夕食を作っていた。



「うん。俺、もうそろそろ行くわ」



 智は、手に持っていた携帯をポケットにしまった。



「え、もう行くの?」



 花輪が驚いたように言う。



「ちょっと寄る所があるからさ」



「何処に?」



「国立警察署。佐名木さんが行方不明になった事を連絡してくれた田崎さんに、ちょっと聞きたいことがあるから」

 


そう言って、智は玄関へ向かった。



 智は2人に見送られ、家を後にした。



「お兄、私たちに隠し事してるのかなぁ」



 花輪が隣でボソッと呟いた。



「どういう事だよ」



 疾登は、花輪の横顔を見た。



「いや、何となくね」



 花輪は微笑んで、台所へ戻った。疾登は、しばらく玄関に立ちつくしていた。











 智は、徒歩で国立警察暑へ向かっていた。家を少し離れた所で、背後に気配を感じた。1度立ち止まって振り向いたが、誰もいなかった。そこから先は、気配を感じなかった。



 家を出て10分程で国立警察署に着いた。署の前に立っている警察官に頭を下げ、中に入った。智のすぐ傍を通りかかった20代後半ぐらいの男性警察官に声をかけた。



「あの、田崎さんはいらっしゃいますか?」



「田崎さんなら、刑事課にいらっしゃいますよ。ご案内しましょうか」



 智は、ありがとうございますと頭を下げ、警察官について行った。



 刑事課には、広い部屋に50人は軽く入っていた。多くの刑事が机に資料を置いて頭を抱えて座っていた。その中で、案内してくれた男性警察官が声を上げた。



「田崎さん、こちらの方がお呼びです」



 あまりにも大きな声だったので一瞬、部屋が静寂に包まれた。

 しばらくすると、奥から30代前半くらいの男性が出てきた。髪は多少乱れていて、険悪な表情をしている。



「あの方が田崎さんです」



 そう言い残して、男性警察官は何処かへ行ってしまった。智は礼を言った。



「あの、ご用件は」



 電話で話した声と、一緒だった。この人が田崎だ。低くて、根太い声だ。



「先ほど連絡をもらった、野々神智です」



 すると、険悪な表情から、柔らかい笑みに変わった。



「そうでしたか。此処では話しにくいので、屋上に行きましょうか」



 智は田崎の後を追いかけた。

今回は少し短めでしたね。

すみません。

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