表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちの約束  作者: 翔香
第2章 不気味なツアー
36/55

第36話 ツアー終了

今回は、少し短くなってしまいました。

 午前6時、窓からの朝日で智は目を覚ました。

 あまり睡眠を摂っていなかったせいか、頭がクラクラする。

 隣を見ると、まだ2人は眠っていた。花輪はそろそろ起こさないと、化粧などの準備が間に合わないと考え、花輪を先に起こした。



「あ、おはよう。お兄」



 花輪は背伸びをしながら言った。



「顔、洗いに行くか?」



 智が聞くと、花輪は小さく頷いた。

 2人は、疾登を残して、トイレに向かった。









 部屋に戻ると、疾登は座ってボーっとしていた。



「どうした。こんなに早く起きるなんて珍しいじゃん」



 智は疾登の肩を叩いた。



「うーん。何か急に目が覚めてさ」



 疾登は髪を触りながら言った。



「そっか。じゃあ、布団、片付けるか。疾登、顔洗ってきなよ」



 疾登は欠伸しながら返事をして、部屋を出て行った。

 智は、花輪に手伝ってもらい、布団を押し入れにしまった。



「私、着替えるから、お兄外に出ててもらっていい?」



 智は思わず動揺してしまった。



「あ、わ、分かった。ごめん」



 智は急いで外に出た。

 その時、疾登が帰ってきた。



「あれ?兄貴花輪に追い出されたの?」



 疾登は笑いながら言う。



「違うって!花輪が着替えてるんだよ」



 疾登は悪戯っぽく笑みを浮かべた。



「兄貴、本当は覗きたいんじゃねーの?」



「はぁ!!お前、喧嘩売ってんのか?」



 智は疾登の髪を掴んだ。



「ごめんごめん!!冗談だよ。痛い!」



「よろしい」



 智は掴んでいる疾登の髪を放した。

 それから15分経ってから、花輪から部屋に入る許可が下りた。



「あ、化粧もしたのか?」



 部屋に入って早々疾登が声を出した。



「うん。ってか、そんなに分かりやすい?」



 智と疾登は同時に頷いた。



「何か、酷いなぁ」



 花輪は化粧品をバックに入れながら言った。



「ごめん。そんなにテンション下がるか?」



 疾登は花輪を覗き込んだ。



「うーん。気分良くはならないね」



「あ、そうなんだ。ごめんな」



 智も続けて謝った。花輪はどうでもいいよ、というようにサラッと受け流した。



 楽しく会話をしていると、気付けば集合時間7時の5分前になっていた。

 3人は昨日言われた通り、食堂へ向かった。











 食堂に入ると、もうほとんど皆揃っていた。高峰はまだ来ていなかった。

 7時になると、皆適当な席に座って、誰も口を開かずに待っていた。と、そこに、高峰が現れた。



「皆さん、お揃いですか」



 高峰はぐるりと周りを見渡した。



「では、まずは皆さんに携帯をお返しします。この段ボールの中に全員分入っているので、取りに来てください」



 言い終えた後、皆一斉に携帯を取りに向かった。智たちは人数が少なくなったところを見計らって、取りに行った。



「皆さん、取りましたね。あ、このツアーの事は誰にも言わないで下さい。でも、こう言ったものの、警察に通報する人がいるんですよね。でも、私が捕まることはないでしょうね」



 智は眉間に皺を寄せた。



――どういう事だ。あれだけ人を殺しておいて、罪が無いとでも言うのか?



「では、これでツアーは終了と致します。朝食はそこら辺のコンビニで、弁当でも買って適当に食べてください。では、皆さんとはここでお別れです。それでは皆さん、お元気で」



 そう言って、高峰は食堂を出て行った。その直後、皆は重たい空気に耐えられなかったのだろう。それぞれ会話を始めた。



「やっと終わったね!お兄、疾兄!」



 花輪は満面の笑みを浮かべた。



「ああ。もう、帰れるな」



 疾登も安心している。



「疾登、あの男の子の事、訊くんじゃないのか?」



 男の子とは、夜中に出た幽霊の事だ。



「そうだった。すっかり忘れてた」



 疾登は、近くにいた小父さんに訊きに行った。確か、あの小父さんは最初に幽霊の噂を言っていた人だ。

 智と花輪も、小父さんの元へ向かった。



「本当に出たのかい?あの幽霊が。あの男の子はね、小学生の修学旅行で、ここの旅館に泊まったんだ。そこで運が悪く、旅館で火事が起こってね。それで、あの男の子だけ助からなかったんだ。可愛そうに」



 小父さんは同情するように語った。



「あの、その男の子は何処の小学校に通っていたのですか?」



 疾登は興味深げに訊いた。



「あの男の子はね、ここからすぐ近くに廃校があるんだ。そこに通っていたらしい」



「そうですか、ありがとうございます。すみません、わざわざ」



 疾登は頭を下げた。



「いえいえ、とんでもない。では、お元気で」



 小父さんは優しく笑った。



「はい。小父さんも、お元気で」



 疾登はもう1度頭を下げた。智と花輪も一緒に下げた。

 小父さんは、食堂を出て行った。残ったのは、智たち3人だけとなった。



「廃校って、まさかカード探しゲームの時に入って行った・・・」



 花輪は息を呑む。



「多分な。だから、あの時疾登に乗り移ったんだろう」



「まあ、これで男の子の幽霊事件は解決ってことで」



 疾登は簡潔にまとめた。



「じゃあ、帰るか」



 智は2人に声をかけ、適当にタクシーをひろった。











「なあ、このツアーの事、警察に話した方がいいのかな」



 疾登がタクシーの中で、質問した。



「でも、高峰が言ってた言葉が気になるよね」



 花輪は腕を組んでいる。



「何で、高峰は罪が無いと断定できたんだろう」



 智も腕を組んで唸った。



「まあ1回、佐名木さんに相談してみよう」



 智は話をまとめた。



 それから30分程タクシーに乗って、バスで家まで帰った。











「ただいま~!」



 疾登と花輪は両手を挙げて大声を出した。



「元気だな」



 智は2人を見て、安心した。



「あ~お腹空いた。何か冷蔵庫に食べ物入ってるかな」



 疾登はお腹をさすりながら、冷蔵庫の扉を開けた。



「何もないな」



 疾登はため息を吐いて、扉を閉めた。



「じゃあ、そこら辺のお店に食べに行こうか」



 朝食を摂っていなかったので、智もすごくお腹が空いていた。

 3人は、近くにあるレストランで昼食を済ませた。










「あぁ。美味しかったな」



 レストランを出て、疾登が背伸びした。



「ねえ、このまま佐名木さんの所に行かない?ちょっとは運動しないと」



 花輪が2人に尋ねる。



「いいよ。ちょっと食べすぎたしな」



 疾登はハンバーグセットと、スープを5杯おかわりしている。智は、食べ過ぎだと思い疾登に注意したのだが、結局疾登の手は止まらなかった。



彼らははそのまま国立警察署へ向かった。

ツアー、終了しましたねぇ。

結構大変でした。


これからは登場人物が増えてきますので、皆さん紛らわしくなりますが、より一層楽しく読めるようになると思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ