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僕たちの約束  作者: 翔香
第2章 不気味なツアー
35/55

第35話 幽霊

今回、ちょっと幽霊とか超常現象の話が出てきますが、全て作り話なので安心してください(笑)

 風呂には、智と疾登を合わせて7人しか居なかった。恐らく、皆疲れて寝てしまったのだろう。2人とも体を洗い終わり、露天風呂へ向かった。



「気持ちいい~」



 疾登は風呂に入って背伸びした。



「そうだな」



「こうやって2人で風呂入るのも久しぶりだな。足、大丈夫?」



 疾登が、智の足に目を落とした。



「あ、うん。全然」



「ならいいんだけど。それより、兄貴」



 疾登は急に真剣な顔になった。



「ん?」



「花輪、無理してるだろうな」



 疾登は俯きながら言った。



「なあ、疾登。花輪の事・・・好きか?」



 智は聞こうか迷ったが、どうしても気になったから聞いてみた。



「好きだよ。兄貴は?」



「好きだよ」



 即答だった。



 智と疾登は空を見上げた。雲1つなく、星が無数にあった。周りにあかりが無いため、いつも見る星より一層綺麗に見えた。



「もうそろそろ出よっか」



「うん」



 智と疾登は風呂を出た。











 部屋へ帰ると、まだ花輪は帰ってきてなかった。



「女の子は風呂長いよな」



 疾登は布団を敷きながら言った。



「そうだな。風呂くらいゆっくりしたいんだろう」



 智も自分の布団を敷きながら言った。



「花輪の布団も敷いておこう」



 疾登が花輪の布団を1人で敷いていたので、智も手伝った。



「ありがとう」



 そこで、花輪が帰ってきた。



「あ~すっきりした」



 花輪はタオルで拭きながら入ってきた。



「良かったな」



 智と疾登は同時に声を出した。

 同時に声を出したのに驚いたのか、花輪は一瞬目を丸くしたが、すぐに穏やかな笑みに変わった。

 こんな普段の会話が、今になって懐かしく思えた。恐らく、ツアーのゲームがあったからだろう。



「あ、私の布団敷いてくれたの?」



 智と疾登はまた同時に頷く。



「ありがとう!」



 花輪はニコッと笑った。



「じゃあ、寝ますか」



 疾登は布団にドサッと寝転がった。



「あれ、疾兄忘れたの?」



「何が?」



 花輪が言おうとしていることが智には分かった。だが、それを言うと、疾登が寝られなくなるので止めようとしたが、間に合わなかった。



「この303号室には、幽霊が出るって最初に話してたじゃん」



 ここで、智が花輪にツッコミを入れた。



「今、言わない方が良かったんじゃないか?ほら、疾登見てみなよ」



 智の目に映っている疾登は、俯いていて、テンションガタ落ちの疾登だった。



「あ、ごめん」



 花輪は疾登に向かって顔の前で両手を合わせた。



「はぁ」



 疾登は布団に包まった。



「ま、まあ、本当かどうか分からないじゃないか。寝てたら分かんないし。そんなに落ち込むなよ」



 智は懸命にフォローするが、布団から顔を出さない。



「もう、寝ようか。早く寝た方がいい気がする」



 智は布団に寝転がった。



「電気、消した方がいい?」



「あー!消さないで!」



 いきなり疾登がガバッと起きて、大声を出した。



「あ、ごめん。点けておくね」



「こっちこそ、ごめん。大声出して」



 その後、左から花輪、疾登、智という順番でそれぞれ布団に入った。

 疾登が窓際は嫌というので、仕方なく1番安心できる真ん中にしてやった。本来は、花輪が真ん中になる所だが、誤って寝ている間に変な事でもしたらタダでは済まされないので、花輪は廊下側になった。



「じゃあ、おやすみ」



 智は2人に告げた。



「おやすみ」



 花輪と疾登は言った。











 その夜、智は家じゃないところでは、安心して眠れないのでなかなか眠れなかった。それは、疾登も同じだったらしい。花輪は疲れていたのか、すやすやと寝息を立てて寝ている。



「兄貴、なんか、気配感じないか?」



 突然、疾登が声を出した。



「そうか?俺は全然感じないけど。疾登、霊感強いのか?」



「うーん。多分ね」



 初めて知った。疾登は霊感が強いという事を。そういえば、廃校の中にいたときも、疾登は気配を感じていた。その気配も見事的中していたし・・・。



「なあ、兄貴の所に移動していい?」



「はぁ!?何だよ、気持ち悪いな」



 智は思わず大きな声を出してしまった。



「え、だって怖いし・・・。もう、そっち行くから」



 そういって、智の許可も無しにこっちへ移動してきた。



「もう、何だよ」



「いいじゃん」



 智はため息を吐いた。



――こんな状態で、よく今まで1人で寝られたな。



 智は、ふと思った。



「あ、兄貴!!」



 疾登が窓の方を指して足をジタバタしている。



「どうしたんだよ・・・まさか、いるのか?」



「いるいるいる!!」



 智は怖かったが、気になって窓の方を見た。



「出たぁぁぁ!!」



 智と疾登の声で、花輪が起きてしまった。



「もう、何?2人して」



「か、花輪、ほ、ほら霊がいるだろ!」



 花輪は窓を見た。



「きゃっ!!!出たぁぁぁ!!!」



 花輪は布団の中にもぐってしまった。



「あれ?この男の子って・・・」



 疾登が目を細くして言った。



「この男の子、廃校で俺に取り憑いた男の子だ」



「え?」



 智は勇気を出して男の子の霊をじっくり見た。

 浮いているので、はっきり分からないが、身長は120センチくらいだ。髪はおかっぱで、顔立ちはまだ幼い。七分のズボンにTシャツを着ている。何故か、悲しそうな顔をしている。



「この子、話しかけられるのかなぁ」



 疾登が急に不思議なことを言った。



「お前、幽霊とか無理なんじゃなかったのかよ」



「これは別問題だよ。この男の子、何かあったのかな」



 疾登は窓に手をかけた。その瞬間、男の子が消えた。



「あれ?」



 疾登が窓を開けるが、もうそこには男の子はいなかった。ただ、冷たい風が体に吹きつけるだけだった。



「消えた・・・」



 疾登は肩を落として窓を閉めた。



「あの男の子、何か辛い過去があったのかな」



 智は呟いた。



「多分な。明日、皆に聞いてみようかな。誰か1人は知ってるかもしれない」



 疾登は布団に戻りながら言った。



「お兄、疾兄!もう、消えた?」



 花輪が、布団からひょこっと顔を出して聞いてきた。



「ああ、もう消えたよ」



 疾登が答えた。



「そっか。良かった~」



「あの霊、廃校で疾登に取り憑いた男の子だったんだって」



 智は説明した。



「え、そうだったの?何でここまで来たんだろう」



 智と疾登は首を捻った。



「もう、寝よう。もう12時過ぎてるから」



 智の発言で、疾登と花輪は布団にもぐった。

 智はそれから1時間後くらいにやっと眠りに就くことが出来た。



 その時、智は夢を見た。父さんと母さんが殺され、智、疾登、花輪が寄り添って泣いている夢を。犯人は黒い影で、顔は見えなかった。

今回、ちょっと短かったですよね。

すみません(-"-)

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