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僕たちの約束  作者: 翔香
第2章 不気味なツアー
31/55

第31話 game3 ビンゴゲーム(後半)

やっとテスト終わりました!!

長い間、更新できなくてごめんなさい。


では、どうぞ!

 前半が終わり、よろよろになりながら、花輪が戻ってきた。



「花輪、大丈夫か?」



「もう、これだけで5歳は老けたね」



 良かった。そんなに落ち込んではいないようだ。



「本当だ。花輪、皺が増えたな」



 疾登は、わざと、花輪に悪口を言っている。花輪に元気を取り戻してほしいのだろう。



「もう、怒鳴る気もしないよ」



「・・・あれ?」



 花輪の予想外の答えに、疾登はキョトンとしている。



「花輪、何かしてよ。じゃないと、心配になるよ」



 疾登は、心配そうに花輪を見つめる。



「分かった。このゲームが終わったら、私の気が済むまでボコボコにするから。覚悟しておいてね」



 花輪は、まだ希望の光を失っていないようだ。智は安心して、顔が綻んだ。



「お兄、何笑ってるの?」



 花輪は、不思議なものを見たような顔をしている。



「い、いや、何でもないよ」



「兄貴、気味が悪いよ」



「お前もだよ。何かされないと気が済まない、って、お前ドSか?」



「いやいや、そういう意味じゃないって!」



「もう、2人ともそこで止めときなって。朝まで続くよ」



 迷惑になったのか、花輪がため息交じりに言った。



「ああ。ごめん」



「ごめんな。花輪」



「面白いね。2人とも」



 花輪はクスッと笑った。



 それから、出来るだけ花輪が笑顔になってもらえるように、楽しい話題を出した。












「それでは、後半戦を開始致しますので、席に戻ってください」



 智は、腕時計を確認すると、8時ピッタリだった。



「花輪、大丈夫だからな」



 疾登は、花輪に声をかけた。



「うん」



 花輪はニコッと笑って答えた。



「花輪」



 智は、真剣な口調で言った。



「何?」



 花輪は、疾登から、智に視線を向けた。



「何があっても落ち込むな。花輪なら、大丈夫だ。俺は、そう信じてる」



 花輪は、唇を噛みしめた。涙を堪えているのだろう。



「お兄、ありがとう」



 花輪は、優しく笑って、席に戻って行ってしまった。



「では、後半戦を行います。最初は・・・」



 高峰は、ボックスの中に手を入れた。



「22番です」



 22番、横に揃うと花輪はビンゴとなる。

 高峰は、次々と球を取っていく。



「13個目は・・・8番」



「14個目は・・・23番。ということは、リーチですね」



 そうだ。1番下の列がリーチとなる。



「では、15個目・・・24番」



「16個目、2番。おっと、またリーチが出ましたね」



 高峰は、少し興奮気味に言う。・



「17個目・・・1番。あ!ここで、最初のビンゴが出ました」



 ビンゴになった列の女性は立ち上がり、歓喜の声を上げた。



「では、ビンゴになった列の方は、後ろに下がってください」



 その高峰の言葉で、ビンゴになった女性は、一気に後ろに押し寄せてきた。恋人と抱き合う者もいれば、涙を流す者もいた。



「では、気を取り直して、18個目・・・おっ!17番。またビンゴですね。あっ、ダブルビンゴですね」



 智は用紙に視線を向けると、7、22、2、13、17番の縦1列と、6、19、17、15、23番の横1列がビンゴとなっていた。



 ビンゴになった女性は、お決まりの様に、歓喜の声を上げた。智は、悔しさのあまり、唇を噛みしめた。でも、智以上に、花輪の方が、不安で、悔しさで一杯なのだろう。



「ビンゴになった方は、後ろに下がってください」



 また、女性が押し寄せてきた。少しではあるが、ビンゴになった女性が憎く思えてきた。



「それでは、次。19個目・・・3番」



「20個目、4番。続々とリーチが出てきていますね」



 4番は、花輪には関係ない。智は、無意識のうちに両手を合わせていた。



「なあ、兄貴」



 疾登が、花輪に視線を向けたまま口を開いた。



「どうした?」



「花輪、大丈夫だよな」



 疾登は、心配そうに言った。

 智も、少し心配だった。まだ、花輪の5番は呼ばれていない。

 しかし、今はどうする事も出来ない。ただ、花輪が助かることを祈るしか・・・



「疾登、花輪は大丈夫だ。そう、信じよう」



「21個目、25番。ということは、ビンゴですね!」



 これにより、21、3、25、20、6番に座っている女性がビンゴになった。この女性たちも、後ろに押し寄せた。



「では、22個目です。4番目にビンゴになる列は何処でしょうね」



 高峰は、語尾を少し強調して言った。

 智の心臓は、今にも張り裂けそうなくらい波打っていた。



「番号は・・・18番。ビンゴです!」



 これで、25、16、2、8、18番の椅子に座っている女性が助かった。これまで通り、この女性たちは後ろに下がった。次で、9か、5が出たら、花輪はビンゴとなる。



「それでは、23個目は・・・14番。ビンゴです!しかも、2列ですね。と、いうことは、これで終了ですね」



 ・・・終了?まだ、花輪がビンゴしていない。何故だ。

 智は、用紙に視線を向けた。高峰は、ビンゴになった列に線を引いている。花輪が座っている5番には、線は書かれていない。線の数を数えると、6本。何度か確認したが、やはり、変わりはなかった。

 高峰は、こう言っていた。

『6つの列がビンゴになれば、そこで終了となります』と。



「では、ビンゴになった方は、後ろに下がってください」



 ビンゴになった女性がいなくなり、椅子に座っているのは、花輪含め4人だけとなった。



「では、この残った4人に罰を受けてもらいます」



 花輪は両手で顔を覆っている。泣いているのだろう。



「花輪!」



 疾登が叫んだ。花輪からの返事はない。



「この4人を連れて行け」



 高峰の命令で、黒いスーツを着た男4人が、残った花輪と3人の女性は、その男に腕を掴まれ、無理やり連れて行かれている。4人とも、何も反抗せずに、ただ下を向いて歩いている。



「花輪!花輪!」



 花輪の元に行こうとしたが、別の黒いスーツの男に抑えられた。男の力は、思った以上に強く、智は、抵抗出来ずにいた。智と花輪の距離が、どんどん離れていく。

 智は、花輪を呼び続けた。結局、花輪は1度も振り向いてはくれなかった。



「花輪・・・」



 疾登は、座り込んだ。

 智は俯いた。智の手に、1滴の雫が落ちた。



「さて、それじゃあ、私はあの不幸な4人を片付けに行きますか」



「待て」



 疾登は冷たく、感情の無い声を出した。



「片付けって、まさか殺すんじゃねーだろうな」



 高峰は、小さく舌打ちをし、疾登を見下ろした。



「殺しはしませんよ。殺しちゃったら、私が楽しめなくなりますからね。その代り、痛い目には合ってもらいましょうかね」



「ふざけんな!!」



 疾登が大声を上げ、高峰の顔を殴った。高峰は、尻餅をついた。



「何が痛い目だよ!ふざけんのもいい加減にしろよ!!」



 すると、頭にきたのか、高峰が立ち上がり疾登を殴り返した。力が強かったのか、疾登は派手に倒れた。



「そんなの知らねーよ!罰は私が決める。他人は黙っとけ」



 そう言い残して、高峰が部屋を出ようとしたが、智は高峰を止めた。



「ちょっと、待ってください」



 智は、冷静さを保ちながら言った。



「まだ何か」



 高峰は鬱陶しそうに言った。



「俺の妹は、お腹の中に赤ちゃんがいるんです。だから―――」



「知りませんよ。そんなの」



 智の言葉を、高峰が遮った。



「私はそんな事お構いなしに、私の気が済むまで楽しみますから。あの4人は簡単に言うと、私の遊び道具です。それでは、私はこれで」



 高峰は、智と疾登に鋭い視線を向けて、その場を去った。



「妊娠、か。確か奴らの妹は・・・」



 高峰は、妹の顔を頭に浮かべ、不気味な笑みを見せた。

次は、恐らく罰ゲーム編になりますね。

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