第24話 game2 カード探し(4)
最近、ずっと短いですよね・・・
すみません(汗)
「疾登、遅いな・・・」
智はカードを探しながら、ずっと疾登の事を気にしていた。
「トイレ探してるんじゃないの?」
花輪が書類をかき分けながら言った。
「うーん・・・」
その時、印刷室のドアが開いた。
「疾登、何してたんだよ――疾登?」
智は、疾登の異変に気が付いた。
「疾兄、どうしたの?」
花輪が疾登に問うた。その時、
「ここに来るな」
いつもの疾登の声ではなかった。声が低くて、感情がこもっていなかった。
「何言ってるの。冗談はやめてよ」
花輪が疾登に歩み寄ろうとしたが、智は急いで花輪の腕を取って、疾登との距離を広げた。
「お兄、どうしたの?」
さっきは、山ずみだった書類で見えなかったが、疾登はナイフを持っていた。花輪も書類に遮られて気が付かなかったのだろう。
「疾登、そのナイフを捨てろ!」
「ナイフ!?」
花輪が小さく悲鳴を上げた。
「黙れ、ここに来たお前らが悪い。俺が殺してやる」
そう言って疾登はゆっくり接近してきた。
智は花輪の盾になって後ずさった。
「目を覚ませ!疾登!」
いくら言っても無駄だった。これは疾登ではない。全くの別人だ。
その時、花輪が声を上げた。
「お兄!もう後ろにいけないよ!」
チラッと後ろを確認すると、書類がしまってある棚が邪魔で、もう、後には引けない状態だった。
「もう、終わりだな」
印刷室は狭いので、すぐに距離が無くなった。
疾登がフッと不気味な笑みを浮かべて、ナイフを頭上に掲げた。
――もう、終わりだ・・・・
智は目をギュッと瞑った。その直後、何かが倒れた音がした。
ゆっくり目を開けると、疾登がぐったり倒れていた。ナイフは、遠くに転がっていた。
智と花輪は、急いで疾登に声をかけた。
「疾登、大丈夫か?」
「疾兄!」
何度か声をかけると、疾登はゆっくり目を開けた。
「疾登大丈夫か?」
「あれ?何で俺ここにいるんだ?」
疾登は頭を抱えた。
「何も・・・憶えていないのか?」
「ああ。トイレから出たら、おかっぱ頭の男の子の霊がいたんだ。そこからは何も憶えてない」
その疾登が見た男の子が、疾登に取りついたのか?その男の子は、どんな気持ちだったのだろう。疾登の体を借りて、『ここに来るな』と言っていた。ここはあの男の子にとって思い出深い場所なのだろうか・・・
「疾兄、立てる?」
「ああ」
疾登が立てる途中、疾登の足元がふらついた。智は急いで疾登を支えた。
「大丈夫か?気分悪いか?」
「うん。ちょっと頭がくらくらするし、体もだるい」
「しはらく、座っていた方がいい」
智はゆっくり疾登を座らせた。
「ごめん」
疾登は肩を落とした。
「疾兄のせいじゃないよ」
「そうだよ。今はゆっくり休むんだ。それにしても、疾登の胸騒ぎ、本当に当たったな」
疾登は笑って、傍にあったデスクにもたれかかった。それほどしんどいのだろう。
「よし、花輪再開するぞ」
「はーい」
智と花輪はカードを探し始めた。
花輪は、さっきまで探していた書類を探し、智は、書類をしまっている棚を探した。
しばらく時間が経って、智が、ある書類を手に取ると、ひらりと足元に何かが落ちた。
「ん?」
智が足元を見ると、そこにはカードが落ちていた。
「あった・・・あったぞ!花輪、疾登!」
智は喜びのあまり、大声を出していた。
「ホント?」
「良かった~」
疾登と花輪は、安堵の息を洩らした。
「暗号は・・・」
智は、気になってカードの裏を見た。そこには『け』とあった。
「あー。もう、全然分かんない。次探そう」
花輪が顔を手で覆って言った。
「ちょっと、待って」
疾登が花輪を止めた。疾登は立ち上がって言った。
「なあ、もう、この学校探すの止めた方がいいんじゃない?」
「どうして?」
花輪は納得いかない、という風な感じだった。
「さっきも言ったけど、この学校には男の子の霊がいる。今度また何かあってからじゃ遅いんじゃないか?」
智もそう考えていた。疾登は1度見たのだ。これ以上ここに居たら何が起こるか分からない。智はその考えに賛成した。
「分かった。そうしよう。な、いいだろ。花輪」
智は花輪を見た。
「うーん。分かった。ところで、あと何分なの?」
智はそうだった、と呟き、腕時計を見た。その残り時間に、智は衝撃を受けた。思わず2度見したほどだ。
「ヤバいぞ!あと15分もない!」
「え!どうするの!」
「兄貴、他に何処探すんだよ」
智はしばらく考えて、こう言った。
「よし、来た道戻るぞ」
「え?」
2人は声をそろえて、ポカンと口を開けている。
「どうした?」
「い、いや、他に何かあるだろ」
「そうだよ、お兄」
智はため息交じりに言った。
「こうするしかないんだ。まあ、運試しだと思って」
疾登と花輪は、1度顔を合わせて、智の方を向いた。
「分かった。ここまで来たら意地でやってやるよ!」
「うん。しょうがないもんね」
智は手を叩いて言った。
「よし、急いで戻るぞ!あ、花輪は無理するなよ。しんどくなったら我慢しないで、俺に言えよ」
花輪は微笑んで、
「分かってる」
と言った。
3人は急いで校舎を出たのだった。
計画は、カード探し編は2、3話で終わると思っていたのですが、
まだまだ続きそうです。
これからも、頑張りますっ!!