第23話 game2 カード探し(3)
今回も短くなってしまいました(汗)
結局、1階には1-Aの教室しかカードが見つからず、3人は2階の職員室にいた。
「本当に、残りのカードがこの学校にあるのか?」
疾登が捜していた段ボールから目を放して、頭を掻きながら少し苛立った様子で言った。
「あるんじゃない?だって、もうここしか探す所ないと思うんだけど・・・」
花輪が書類から目を放して、語尾をのばしながら智の方を向いた。
「そうだな。とにかく、あと4枚だからすぐ見つかるだろう」
そう言い終えて、捜していた本棚にはないと判断し、後ろを見ると、目の前に先生方のデスクがあった。他にも10個ほどデスクがあるが、このデスクだけは雰囲気が違った。他は綺麗に何も残っておらず、すっきりとしていたが、智の前のデスクだけ、書類がどっさりと置かれていた。
智はその書類が気になって、この書類の山の、1番上にある少し分厚めのファイルを手に取った。ファイルは赤色で、中には用紙がたくさん綴じてあった。その用紙には、1人1人の生徒の住所が書かれてあった。
「なんだ。どうでもいいや」
智はそう呟いて、用紙をパラパラめくっていると、灰色の封筒が挟まれていた。
「なんだ、これ」
その声で疾登、花輪が智の元へやって来た。
「何かあったの?」
花輪が横から聞いてきた。
「あ、うん。このファイルの中に挟まれてあったんだけど・・・」
そう答えて、智はファイルをデスクの上に置いて、灰色の封筒を開けた。その中には、7枚目のカー
ドと、探しているカードとは別で、真っ黒な手のひらサイズのカードが入っていた。
「何だ?また不気味なカードが入ってるぞ」
疾登は智の横で呟いた。智はここでもたもたしても意味がないと思い、腕時計を見て、2人に言った。
「ほらほら、これはまた後で使うだろ。とにかく、今はカードを探すんだ。もう、40分しかない」
「え、もう40分しかないのか?ヤッベ」
疾登は急いで次のカードを探しに行った。花輪もここにある書類の中を探し出した。
智は7枚目のカードの裏を見た。そこには、またもや青い字で『を』と書かれていた。これまでで5枚目からすると『向』、『ろ』、『を』が見つかった。しかし、これだけでは何も分からない。智は仕方なく、カードを探しを再開した。
「なあ、兄貴、花輪。もう、職員室には無いんじゃねーか?」
そう言われてみればそうだ。職員室のわりには狭いし、ここで何分も探していても時間の無駄だ。他の所を探した方が時間を有効に使えるかもしれない。
「よし、職員室は終わりにしよう。次は・・・印刷室に行こう」
――確か、職員室の隣は印刷室だったと思うけど。
「オッケー。じゃあ、行こっか」
「ちょと、俺、トイレ行ってくるわ。先行ってて」
疾登がもう限界という感じだったので、智は承知した。しかし、その前に、言っておきたいことを言った。
「行ってもいいけど、気を付けるんだぞ。何かあったら連絡も出来ないんだから」
「分かった。絶対印刷室に居ろよ」
疾登が不安そうな顔をして言った。
「分かった。印刷室で待ってる。早くしろよ」
疾登は我慢の限界に達したのか、智に背を向けて、走りながら返事をした。
疾登の背中をしばらく見送ってから、花輪に声をかけた。
「花輪、行こうか」
「うん」
「気分悪くないか?」
智は、花輪のお腹の中の赤ちゃんを気にして聞いてみた。
「うん。大丈夫だよ」
「そっか。良かった気分悪くなったら、すぐに言えよ」
「分かった」
それから、智と花輪は印刷室に向かった。
――その頃、疾登は。
「トイレ何処だよぉ」
まだ、トイレを見つけることができなかった。
「もう、ヤバい・・・」
そう呟いたとき、目の前にある標識が見えた。
「WC・・・トイレだ!」
疾登は走ってトイレに向かった。
中に入り、用を足した疾登は、水道で手を洗っていた。すると、目の前にある鏡に何か映ったような気がした。
「え・・・今何か出た」
疾登は急いで背後を確認するが、誰もいない。
「もう、何だよ・・・」
疾登がトイレを出た。その時、誰かに肩を叩かれた。
「うぎゃぁぁ!」
疾登はとっさに後ろを振り返ったしまった。すると、そこには、おかっぱ頭の6歳ぐらいの男の子が立っていたのだ。疾登は驚きのあまり、言葉が出なかった。口をパクパクさせたままだ。
その時、男の子がフッと笑って、こう言ったのだ。
「ちょっと、体借りるね」
そう言って、疾登の体に男の子が吸い込まれていった。
その瞬間、疾登の目が鋭く光った・・・
最後の所、ちょっと怖い場面でしたが
実話ではないので安心してください(笑)