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僕たちの約束  作者: 翔香
第2章 不気味なツアー
21/55

第21話 game2 カード探し(1)

 智たちは「105」という標識が掛かってある小さな部屋に連れて行かれた。



「じゃあ、この賭けのルールをもう1度おさらいしておきます。この賭けは、さっきのお化け屋敷のペアでこの山の中のあるフロアで10枚のカードを探してきてもらい、この山は4つに分けているので、1組につき1フロアのなかで探してもらう事になります。フロアの面積はどれも同じにしてるから皆平等になります。まあ、そんなに難しくないからすぐにクリアできるでしょうね。

 じゃあ、今から、赤、黄、青、黒、緑、紫、水色、黄緑、茶色、オレンジの中で1つ色を選んでください。それでフロアがどこになるか決まります」



 辺りがざわざわしだした。智も2人に聞いた。



「疾登、花輪。何色がいい?」



 疾登は考えもせずに発言した。



「俺は何色でもいいよ。花輪決めなよ」



 花輪は迷うことなく言った。



「じゃあ私、黄色がいいな」



「そっか。じゃあ、黄色にするか」



 ちょうど3人の話し合いが終わった頃に、高峰が声を上げた。



「じゃあ、決まったと思うから言っていくので、手を挙げてください。まず、赤」



 若いカップルのグループ1組が手を挙げた。



「じゃあ、黄」



 智、疾登、花輪はゆっくり手を挙げた。



「次は、青」



 もう1組の若いカップルのグループが手を挙げた。



 それから、順調に事が進んだ。



「最後。オレンジ」



 残ったあの、おじさんのグループが手を挙げた。



「よし、じゃあ、さっそく始めます。あ!それと言い忘れたことがあります。この賭けは90分という制限時間があります。もちろん、制限時間に遅れた時も罰が下されます」



 罰とは何なのだろうか。でも、クリアさえすれば罰も下されないから、今はとにかくこの賭けに集中しなくては・・・



「それでは、今から開始します。よーい・・・スタート!」



 高峰が勢いよく笛を鳴らした。皆は慌てて部屋のドアを開けて外に出て行った。急ぎすぎて転倒している人もいた。

 残りは、智たちだけとなってしまった。



「じゃあ、俺たちも行くか」



 疾登が手を叩きながら言った。



「そうだね。急がないと」



 花輪は先に行く疾登の後について行った。智も少し遅れて2人の後に続いた。











 小鳥や虫の鳴き声が聞こえる。そのせいか、少し不気味に感じる。

 スタートしてから5分ほど歩いていると、神社の鳥居のようなものが立っていた。そこには、『黄のフロア』と黄色の絵の具のようなもので書かれていた。3人は周りの様子を窺いながら、鳥居をくぐった。すると、100メートルほど先に小さな小屋が見えた。



「お兄、あの小屋・・・入ってみる?」



 智は少し間をあけて答えた。



「そうだな。あの小屋の中にカードがあるかもしれない」



 3人は小走りで小屋の前まで走って行った。



「お兄、開けなよ」



 花輪が腕を突っついてきた。智は何か出てきたら・・・と考え、疾登に視線を移して言った。



「疾登、開けなよ。どうしたんだよ。さっきから何も喋ってないじゃないか」



 すると、疾登は口の前でひとさし指を立てて、小声で言った。



「何か、気配感じないか?」



 3人は辺りを見渡す。智は何もないと感じたが、花輪が「あっ」と言う声をあげた。



「どうした花輪。何かいたのか?」



 智が聞くと、遠くに指を指して言った。



「あそこに、何かいる」



 花輪が指を指した方を見ると、何か黒い影が動いた。智の直感だが、あれは人間の動きではない。ロボットか?



「あれだったのか。俺たちがスタートしてからいるんだ。でも、何のために・・・」



 疾登は腕を組んで顎をさすっている。

 一体、何のために・・・もしかして、監視カメラか?



「何なのよ!もう!気味が悪いよ。こんなゲーム早く終わらそう」



 花輪は少し苛立ってきている。



「そうだな。早く終わらせた方がいい。ほら、疾登、扉開けろよ」



 智が言うと、疾登は口を尖らせて言った。



「何で俺なんだよ。もしかして、兄貴、怖いのか?」



 疾登のその言葉にドキッとした。これ以上、疾登に頼み続けると格好悪い。

 智は仕方なくゆっくり扉を開けた。木で出来ているので腐っているのか、ギギっと音が鳴る。



「お邪魔します」



 智は恐る恐る小屋の中に足を踏み入れた。その時、足元からカランという音がした。ゆっくり足元を見ると、骸骨が転がっていた。



「ひっ!」



 あまりの気味の悪さに智は悲鳴を上げた。智の声を聞いて、2人も入ってきた。



「うわっ!もう、勘弁してくれよ」



「きゃ!もう嫌だ!帰りたよぉ」



 2人はブツブツと愚痴を言っている。智は2人に「早く行こう」と言って慎重に先に進んだ。すると、目の前に木でできた古い机が1つだけポツンと置いてあった。その横には大きな本棚があった。



「ちょっと、調べてみるか」



 智が言うと2人は小さく頷いた。

 


 智はさっそく、一番上にある引き出しを開けてみた。すると、ポツンと1枚目のカードが入ってた。

 カードを見ると、表には真ん中には骸骨の絵があり、まわりは不気味な黒色の模様がプリントされていた。



「なんだ。意外と簡単に見つかるんだね。この調子だと、2枚目もすぐに見つかりそうだね」



 花輪は調子が乗ってきたのか、残っている引き出しを開けて、カードを探し始めた。

 智はもう1度カードを見た。カードの裏を見ると、そこには赤色の文字で「く」と書いてあった。智は、その言葉については、あまり深く考えなかった。考えるより、早くカードを探す方が、効率がいいと思ったからだ。

 智は2枚目を探し始めようと、本棚に手を伸ばそうとした時、花輪が声を上げた。



「あったよ!2枚目」



 花輪は急いで、智の所にカードを持ってきた。



「ありがとう」



 智は花輪に礼を言ってカードを受け取った。花輪はすぐに3枚目のカードを探しに行った。

 花輪からもらった2枚目のカードの裏を見ると、また、赤い字で「ば」と載ってあった。智は1枚目のカードと重ねて両手でしっかり持った。



「あ、このままじゃカード探せないや」



 智は両手でカードを持っていると手が空かないから、カードを探せない、というくだらないことで苦笑した。もう、智の精神が参っているのだろう。



「あったよ。3枚目」



 今度は疾登がカードを持ってきてくれた。智は礼を言って、それを受け取り、文字を確認した。そこにはまた、赤い文字で「つ」と書かれていた。智はここで、ようやくこのカードには暗号がある事が分かった。一般の人だと、もうすでに分かっている事だとは思うのだが・・・

 智は、まだ暗号は解かなくていい、と思い先ほど探そうとした本棚に目をやった。すると、本棚の上から2段目の本と本の間に、カードが挟まれてあった。智は背伸びをしてカードを取った。裏を見ると、またもや「は」とあった。



 そこで智は、はっとなり、疾登と花輪を呼んで、今まで見つけたカードを床に置いた。



「あ!ちょっと、これって・・・」



 花輪が、急に慌てた様子でカードを並べ変えた。すると、



「ばくはつ・・・爆発!?おいおい兄貴、これって・・・」



 その直後、突然小屋の中から「ピピピ」と音が鳴りだした。



 智は危険を察知し、疾登と花輪の手を取って言った。



「疾登、花輪!この小屋は爆発する!早く逃げるぞ!」



「お兄、どういう事!?」



「意味が分かんねーよ!」



 智は2人の言葉を無視して、疾登と花輪の手を強く握って、なるべく小屋から離れるように、がむしゃらに走った。



 小屋から約20メートル程離れた所で、小屋が大きな音を立てて爆発した。それと同時に強い爆風が3人を襲った。



「きゃっ」



 花輪がふらついたので、智と疾登は花輪の体を支えた。



「何だよ!やっぱり、おかしいって!何が賭けだよ!ふざけんな!」



 疾登は大声で怒鳴った。

 智はあくまでも、冷静に答えた。



「そうだな。このツアーは狂っている。ほら、早く次のカード探しにいくぞ。時間がもったいない」



 すると、今まで口を開けたままだった花輪が声を上げた。



「お兄、何か冷静だね」



「俺、冷静か?とにかく、先進むぞ」



 それからは、2人とも深く聞いてこなかった。

 3人は、1歩1歩慎重に進んで言った。


『カード探し』編は、これから、2、3話続くと思います!

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