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僕たちの約束  作者: 翔香
第1章 僕たちの約束
11/55

第11話 混乱

やっとテスト終わりました!



この1週間テスト期間中だったので、更新ができませんでした。ごめんなさい・・



では、本編どうぞ!

「お!ここいいじゃん!」

 


 あれからインターネットで調べ始めて1時間以上が経っていた。どれも予約がいっぱいでなかなか見つからなかったのだ。その間、疾登と花輪はお菓子を食べながらゲームをしていた。智が話しかけても聞こえてないのか、反応がない。そんな二人を見て少し腹が立った。その感情がつい言葉に出てしまった。



「おい!人がせっかく旅行先探してやってんのに無視かよ!」



 その怒鳴り声でようやく聞こえたのか謝りだした。



「ごめん、ごめん、ゲームに夢中になってて」



「ごめんね、お兄」



 その言葉を二人が何回も謝るのでうっとしくなって手で二人を止めながら言った。



「分かった。もういいから。それで、旅行先なんだけど」



 智が言うと、二人の目が輝いた。智は二人の所までパソコンを持って行って画面を向けた。



「これ、これ。京都の南丹市のシークレットバスツアー。何処に行くか分からないんだって。安いしなんか面白そうだなって思ってこれにしたんだけど・・・どうかな?」



「いいじゃん、俺もここがいい!」



「私もここがいい!お兄、いいところ見つけたね」



 智は二人の言葉を聞いてホッとした。



「じゃあ、予約しておくな」



 案外、予約はすぐにできた。あまり、人気が無いのだろうか・・・










 予約した後、智は佐名木さんに電話をかけた。急に佐名木さんと話がしたくなったからだ。

スリーコールほど鳴った後、電話が繋がった。



「もしもし、智君?」



「はい、そうです。すみません、急に電話かけたりして」



「いや、俺は大丈夫だが・・・何かあったのか?」



「いえ、大した話では、ないんですけど、僕たち、土曜日に旅行に行くんですよ」



 佐名木さんはため息をついてから言った。



「いいな、お前たちは。それで、どこに行くんだ?」



「京都の南丹市のシークレットバスツアーです」



「そうか、面白そうだな。お前たちが旅行に行ってるっていうのに、俺は、仕事で命を懸けて犯人を捕まえているところだろうな。俺、銃で撃たれたりして」



 智はクスッと笑って言った。



「佐名木さんは大丈夫ですよ。死にはしませんよ」



「何で分かるんだよ」



「何となくですよ。それじゃあ、お仕事頑張ってください。お時間取らせてすみませんでした」



「いいよ、いいよ。俺も、智君と話が出来て良かったよ。また今度、会ってゆっくり話そうな」



「はい。では、失礼します」



「じゃあな

 



 智は携帯を机に置いて、ベットに寝転がった。まだ午後6時だったが、自然と深い眠りについていた。











 次の日の朝、智は疾登に起こされた。目覚まし時計を見ると、まだ6時半だった。



「どうしたんだよ、こんな時間に」



 智の視界がはっきりしてくると、疾登の顔色が悪いことに気付いた。疾登が先に口を開いた。



「ちょっと、この前の問題用紙貸してもらってもいい?」



「疾登、もしかして寝ずに無理やり思い出したのか?」



 疾登は弱々しく頷いた。智はベットから起き上がり、机の引き出しを開けた。問題用紙以外に、他の用紙も入っているので、探すのに時間を費やした。しばらくたって、ようやく見つけ出し、疾登に問題用紙を渡した。



「ありがとう」



 そう言って疾登はふらふらしながら部屋に戻っていった。



「疾登・・・無理すんなって言ったのに」



 智はそっと呟いた。



 その後、智はもう1度寝ようとしたが疾登が気になって結局、眠れなかった。あれから20分くらい経ったころに疾登が用紙を持ってきた。



「兄貴、丸付けお願いできるかな」



「ああ、用紙、貸して」



 用紙を見てため息が出た。第1問と第3問、第5問は正解していたが、第2問と第4問が間違っていた。第2問は智が予想していた事が的中した。やはり、あの事故が起きた年の22歳のままだった。本当は25歳なのに・・・

 第4問.この問題は正解してもらいたかった。

 智の頬から1筋の涙が伝わった。この涙は、疾登が可愛そうという感情から出た涙だった。智は泣き顔を見られないように、そっと疾登に丸を付けた用紙を渡した。



「やっぱり間違えてたか・・・ごめんな、思い出せなくて」



 智は首を振った。



「兄貴・・・泣いてるの?」



 バレてしまった。ついに感情が声に出てしまった。



「泣いてるよ。疾登が可愛そうで仕方ないんだよ。なんでいっつも疾登なんだよ・・・なんで俺じゃないんだよ・・・」



 すると、突然我を失ったのか、疾登が傍に会ったカッターを持って手首に近ずけて、涙を浮かべながら言った。



「もう、耐えらんねーよ。これ以上、兄貴と花輪を苦しめたくない・・・」



 疾登が手首を切ろうとする直前に、智は素早く立ち上がり、カッターを持っている疾登の手を掴んだ。



「もうやめろ!こんな事したら、それこそ俺たちが苦しむよ!」



 疾登は手を離さない。完全に我を失っている。このままだと危険だ・・・



「兄貴!放してくれ!」



「疾登!落ち着け!」



 智がそう言った直後、カッターが智の腕に触れたと同時に血が飛び散った。それにびっくりしたのか、疾登はようやく手を放した。智はその場に座り込んだ。



「いって・・・」



 そこでようやく我に返ったのか、疾登が膝をついて崩れ落ちた。しばらくすると、智の元に来て謝った。



「ごめん。兄貴。俺・・・」



「い、いいよ、こんなのただのかすれ傷だ」



 そうは言ったものの、一向に血が治まらない。

 すると、突然、部屋に花輪が目をこすりながら入ってきた。騒がしかったから、起きてしまったのだろう。



「どうしたの?大きな声だ・・・お兄!その傷どうしたの!」



 花輪が急いで智の元に走ってきた。



「すごい血・・・これ病院行かなきゃ!」



 そう言ってハンカチを持ってきて、智の傷口に当てた。



「いいよ、花輪。俺は大丈夫だから」



 その言葉とは裏腹に息が途切れ途切れになっている。気が付くと、花輪は救急車を呼び終わっていた。



「お兄、もうちょっと我慢して。すぐに救急車来るから」



「・・・あぁ」



 疾登は俯いて涙を流し続けていた。



「これは結構深くいったね。何してたのかい?」



 診察している60代後半くらいの医者に聞かれた。もう年なのか、手は震えてるし、口調もゆっくりとしている。顔も少しやせ細っている。それに、異常に話すスピードが遅い。



「ちょっと、ミスで・・・」



「そうか、気をつけるんだぞ。しかし、あの女の子は判断が正しいねぇ。このまま放っておくと大変なことになってたよ。ところで、あの子は彼女かい?」



「違いますから。妹です」



 その口調の遅さに、さすがにイラッときた智はつい、口調が荒くなってしまった。



「そうかい、そうかい。妹か。しっかし可愛いのぉ。結婚してるのかい?」



「いや、まだしてません」



 なんでこんなに話しかけてくるんだ?そう思った直後、傷口に消毒液をかけられた。



「痛いっ」



「ちょっとだけだよ。我慢しなされ」



「うぅぅ」












 あの後も、しつこく話しかけられた。ほとんど花輪の話題で、とても鬱陶しかった。やっと治療が終わり、包帯をした手で廊下に出ると、花輪が疾登に説教を受けていた。おそらく、智が怪我をした理由を聞いたのだろう。花輪の怒りが今まで見たことない怒り方だった。面白いなと思ってしばらく見ていたが、さすがに疾登が可愛そうだと思い、花輪を止めることにした。



「花輪、俺は大丈夫だから。そんなに怒るなんて花輪らしくないぞ」



「そうだね。ごめんね、疾兄。言い過ぎたね」



 疾登は首を振って智のほうに目を向けて言った。



「本当に、ごめん」



「いいって、さあ、帰ろう」



 3人は病院を出たのだった。

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