精霊
「サラマンダー、勝ってに出てくるなよ」
「いいじゃん少しぐらい。誰もいないし、盗聴器も無いぜ」と、笑いながら言った。匠は、ため息をついた。
「学校生活は、どうだ」
「悪くはないと思う」
「それなら、よかった」
「一週間後、低級精霊と契約するんだろ。俺たちみたいな大精霊がいるなら、しなくてもよくないか?」
「もし、お前たちを出したら、騒ぎになるだころじゃないだろ」
「そうだな」と、納得したように頷く。
「他の奴らは?」
「そこにいるぜ」と、匠の後ろを指した。振り返ると、そこには、美しいすぎる女性が三人いた。
「よ~、匠。久しぶり」と、緑の髪の女性が近づいてきた。
さっき会っただろと思いながら、「あぁ、そうだなシルフィード」と、たくみは、素っ気無く言った。
「も~、つれないな~」と、肩を組んで顔を近づけた。普通の男ならイチコロだろう。無視していると、しぶしぶとした顔が離れた。
「こんにちは匠様」と、青い髪の女性が微笑みながら言った。
「こんにちはウンディーネ」と、微笑み返した。何故かウンディーネは顔を赤めている。
「たっくみ~、久しぶり~」その少女は突然、抱きついた。
「おい、ノーミードやめろ!」と、抵抗した。だが、がっちりと抱きつかれていたので、動けなかった。
「離れろ!ノーミード。」と、シルフィードが無理矢理引き離す。
「いいじゃん少しぐらい、減るもんじゃないし。」
『駄目です!』と、二人が怒鳴る。
「ん~~。」と、ノーミードは頬を膨らませた。
「お前ら、そこまでにしておけ。」と、サラマンダーが割って入ってきた。
「コンコン…」と、ドアをノックする音がした。匠たちは、驚いた。
「速く、消えろ。」と、小声で言った。精霊たちは、素早く消えた。
「匠、いないのか~。」と、カイトの声がした。
「今、出るよ。」と、ドアノブに手を掛けた。
顔を出すと、そこにはカイトと、歩がいた。
「中に誰かいるのか?」
「いや、いないよ」
「なら、いいや」
「それで何か用か?」
「あぁ、今から一緒に食堂で、食事しないか?
「うーん…、いいぜ。」
「そう言うと、思ったぜ。じゃあ、行こうぜ。」と、カイトは歩き出した。
「 何で今日会ったばかりなのに、分かるんだよ。」と、心の中で思った。
階段を降りている途中、華鈴とアカネを見つけた。
「あっ、匠さん」と、アカネが話しかけてきた。
「やぁ、今からどこに行くの?」
「はい、今から食堂へ行く予定です。匠さんたちは?」
「俺たちも食堂へ行くんだ。一緒に行かないか?」
「私は、別に構いません。華鈴は、どうします?」
「いいよ。一緒に食べた方が美味しいからね」
「じゃあ、行くか」
一同は、食堂に向かって歩き出した。
食堂に着くと、カードを使って、食券を買った。食堂は、そんなに混んでいなかったため、すぐに食べ始めることができた。
「ねぇねぇ~、数週間後、交流戦があるって言ってたじゃん。具体的には、どんな事をするんだろうね。」と、華鈴が尋ねてきた。
「う~ん、何なんでしょうかね。」と、歩がいった。
「匠さんは、どんな事をすると、おもいますか?」
「そうだな…、何らかの魔法の勝負じゃないかな。」と、曖昧な答えで返した。
「何をするのか気になります」
そこへ、「教えてあげるわ。」と、後ろから声がした。
振り返ると、一人の少女がいた。
一人の金髪の少女が仁王立ちするように立っていた。
一同は、その少女をまじまじと、見ていた。
「あんた誰?」
「あら?知らないの?ランクBのトップのアンテイル・クラリスよ」
ランクBのトップならば、なかなかの実力者に違いない。
「で、そのクラリスさんが何か用でしょうか?」
「さっき、申し上げた通り、交流戦について教えて差し上げようと思っただけですよ」
「本当ですか?」
「ええ、もちろん。交流戦は、五対五の集団戦です。勝敗は、敵全てを無力化させれるか、降参するかで勝敗が決まります。この交流戦は、四大高校戦の出場者の候補を選ぶ場です」
「では、交流戦で良い結果を出せば四台高校戦に出られる可能性があるのですか。」
「可能性はありますが。あなた達ではありえません」
「何でだよ。」
「だって、あなた方はランクFの落ちこぼれじゃないですか。」
いきなり落ちこぼれ呼ばわりとは失礼な奴だな。
「落ちこぼれでどうした?」匠が冷ややかな目でクラリスを見た。
「落ちこぼれが四台高校戦に出られるなんて絶対にありえません」
おいおい、そんなに落ちこぼれを否定するなよ。そこで、精霊達がテレパシーで話してきた。
〔おい、あいつ匠に向かって落ちこぼれと言ってるぜ?」
〔ちょっと黙らせましょうか〕ウンディーネが笑っている。目、以外で。
〔やめろ!お前達〕
〔でも〕
〔や・め・ろ〕
〔匠が言うならやめる〕ここで会話が終わる。
ふ~、よかった。食堂が瓦礫にならないで。本当っ、よかった。
カリン達の会話はまだ続いていた。
「あんた、何でそんなことが言えるの?あたし達だって、勝てるかもしれないじゃない。」
華鈴が、食ってかかった。
「決まってるじゃない。あなた達と、私達では実力が違いますわ。」
「じゃあ、どのぐらい違うんだよ。」
「一つ挙げるとしたら…私達は、もう中級精霊と契約しているもの。」
他のランクは、そこまでしているのか。低級と中級では、格が違う。勝てるのは、難しそうだな。
「えっ、私達は、まだ低級精霊とも契約してないのに。」
匠以外は驚愕したようにクラリスをじっと見ている。
「そうよ、だから落ちこぼれと、言われるんですよ。」
「だったら、交流戦であんた達に勝手見せるわよ!」
華鈴が、クラリスに向かって宣戦布告した。
「ふふ、交流戦が楽しみですわ」
「そうだわ、もしランクAと当たることになったら棄権しなさい」
この言葉に一同は驚いた。
「え…何でよ?」
「あなた達がランクAと戦うことになったら、瞬殺よ」
「そんなに強いんですか?」
「ええ、首席の子が龍堂一族だからね」
「あの、龍堂なの?」と、華鈴が驚いた。
「日本でも、屈指の実力を持っている 、あの龍堂か」
龍堂は、日本でも三本指に入るほどの大名家だ。名家の数はかなり少ないので、国からある程度の権力を持つことを許されている。だが、大名家は名家のの中でもかなりの権力を持つ名家だ。
「だから、怪我したくなかったら棄権しなさい。そろそろ時間だからさようなら。」と、言い残してこの場を去った。