Stage of extra
Stage of extra
(過去の英雄予告)
あれは、私がまだ幼かった頃。国を守る数多の兵達の中で、最も強く、最も人々の瞳を奪った一人の英雄がいた。かつて約500年の栄華を誇り、世界を治めた帝国の歴史の中で、英雄の称号を受けたのは20名。
『英雄称号16号』と、その人はそう呼ばれた。
「私は貴女に忠誠を誓いましょう。小さな王女、カタリナ様」
まだ物心ついたばかりの幼い私にそう言った英雄。私はその人のことを、未だに忘れることが出来ない。その瞳は海より蒼く、その髪は太陽の光のように金色の輝きを放ち……その背中はどんな屈強な兵士より大きかった。
おそらく私は憧れていたのだろう。英雄という鎧の中に生きる、一人の人間に。
「人は、その手の分しか人を幸せに出来ないの。袖触れ合った私まで数に入れるのは間違いよ」
「帝国は知を手中に収め、その利を我がものとしている。その事実を認めてまで、国を背負うか?英雄称号16号」
あれはまだ私が人に守られ生きていた頃の記憶。秩序を守る軍と、新たな夜明けを目指した反乱因子の戦い。曖昧な記憶の中で、誰のものともつかない声は言った。
「ならば、あなたは私が守りましょう。全ては小さな王女の為に」
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[ apprentice ]
過去に生きた英雄の物語。