侯爵家の嫡男の俺が前世の記憶を思い出したので学園ラブコメ知識で悪役令嬢である妹を矯正する。
マルフォーリオ侯爵家の嫡男ことマルフォーリオ・アルスはつい最近前世の記憶が蘇った。
きっかけはわからない、そうなったのだからそうなんだろう。
俺は前世で好きだったのはラノベであり。暇さえあれば読んでいた。
だからこそ、今の俺は少しばかり困っている。
その理由は簡単でこの世界は悪役令嬢系ライトノベルの世界だから。あのなんか「ざまぁ」的なあれ。
俺が好きだったのはラブコメ。この世界系のラノベは少し挑戦してみたものの俺には合わなくてなかなかみる気になれなかったやつだ。
別にこの世界がその悪役令嬢系なのは男で婚約者もいない俺にはどうでもいい事だったんだけど。そうもいかなくなってしまう理由があった。
「お兄様、おはよう御座います」
こいつだ。
俺の妹である、マルフォーリオ・フォン・ラルミス。こいつこそがこの世界でザマァを受ける側の悪役令嬢だってことだ。
何でそんなことがわからなかって?ただの勘。
あー何でこうなっちゃったかな、こうなるんなら苦手でもいいから少しでもそっち系の本を読んでおけば良かった。
悪役令嬢ってのは読んだことはないが、何となくのニュアンスでわかる。だてにラノベ好きを名乗ってない。
なんかあれだろ?婚約してる人に他に好き人がいて、それに腹が立ってその好きになった人をあれやこれやで邪魔しまくって、最後の最後に婚約破棄されちゃったり断罪されるやつ。
それがスカッとするからその話は面白いんだ。だってそれが悪役令嬢系の漫画の醍醐味だろ?
でもよう、俺の立場になって考えてみてくれよ。流石に妹がそんな人生辿るのなんかみたくないわな。
俺は前世の記憶が蘇ったからと言って今までの記憶が消えたわけではない。
俺の妹は可愛い。だが一言で妹を表せと言われれば。
『怠惰』だ。
我儘で自己中心的であるこいつを俺がもしこの世界の本を読んでいたとしたらこの歳でこの傲慢さの奴を見たらイライラしてしまう気がする。
だが、実の妹として今まで可愛がってきたからそんな風には見れない。
でも今まで生活してきたからわかるが、家庭内環境が悪いわけではない。こいつ自身の性根が腐っている。
おそらくこの世界の主人公は俺の妹の婚約者であるサスロース家の次期公爵のサスロース・ヘルサーだな。
そうなれば話早い。
せっかく前世の記憶を思い出したんだ。次期にこの家の跡継ぎをするにあたってこいつが婚約破棄されるのは俺にもダメージがある。
それなら少しでもマシな方向に進むように今までのラブコメラノベ知識で悪役令嬢系を攻略してやる。
俺は覚悟を決めた。
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俺の妹ことラルミスが結婚するのはラルミスが18歳になったタイミングでだ。今のラルミスは13歳なので約5年ほど時間がある。この5年で何かしらラルミスがやらかしてしまうのを阻止するのが俺の目的だ。
この5年の中でのすることは、ラルミスの性格の矯正をして婚約相手に捨てられないほどの完璧令嬢にすることだ。
ただ何から始めていいものか。
頭を抱えて悩んでいると、ラルミスが足を組みながら礼儀もクソもない見た目で本を読んでいた。
よしまずは自立することからだな。
俺はラルミスの周りにいる世話係のメイドたちを集合させた。
「今日をもってお前たちをクビにする。」
予想通りの驚いた顔をしている。
騒ぎ立てるメイドたちを他の従者達に任せて荷物をまとめさせ出て行かせた。
やばいな俺なかなかやばいことをしている。俺がもしメイドの立場なら何が何でも俺を殺そうとするな。
俺は自分の卑劣さに身震いをさせながら自室に戻った。
「何で部屋が汚いままなの!!」
その日の夜、ラルミスの叫び声が屋敷に響き渡る。
俺が急いでラルミスの部屋に行きドアを開けた。
まじか。
そこはには服やゴミなどが散乱して足の付き場もない空間が広がっていた。
嘘だろ、まだメイドがいなくなって半日も経ってないぞ。
「メイド達は仕事せずに一体どこに行ったの!」
「ごほん」
わざとらしく大きな咳をすると、ラルミスが俺に気付きその場で黙り立ち尽くした。
「この部屋の状態は一体どういうことなのかな?」
「メイド達がちゃんと掃除してくれなくって。」
「メイド達は今朝俺がクビにしたよ。」
ラルミスが目を見開いて驚いた顔をしている。
「何でそんなことしたんですか」
「そろそろお前も自立したほうがいいと思ってな。今日からお前が18になって結婚する日まで身の回りのことは自分でしなさい。」
「いやでもそんなのーー。」
「わかりましたか?」
言い訳をさせる暇を与えず俺は追い打ちをかけた。
うぅ、心が苦しい。こんなのは人生初めてだ。人生2回目なのに。
「わ、わかりました。」
諦めがついたのか、ラルミスは小さく俯きながらそう返事をした。
それからの一年間はなかなかにひどいもので。今まで身の回りのことを全てしてもらっていたラルミスは自分で朝起きることすらできず何度も寝坊をしたり、まともにお風呂の準備もしてこなかったので、風呂に入らなかったりと、それはもう凄かった。
流石に風呂に一週間ほど入らなかった時はこっぴどく叱った。
一年の月日が流れたラルミスはかなり成長していた。部屋は驚くほど綺麗になり。衣類の準備も全て自分でするようになった。よくあれをとってこいだの、これをやれだの、おねだりしてきたがそれも無くなった。
うんうん順調順調。
「お兄様、屋敷の玄関にこんなものが。」
ん?
1人で成長した妹に対して感嘆していると。ラルミスが俺の元に手紙を届けにきた。どこからだろうか?
うーん、なるほど。
「ラルミス来週のこの日に婚約相手と会食をする。」
ラルミスは明らかな動揺は見せずに返事をする。
「わ、わかりました。」
やっぱりこいつ成長したな、たった一年でこの変わりようなら大丈夫そうだ。
その手紙には結婚を控えてる2人での会食をしておきたいという婚約相手からのメッセージが綴られていた。
「ラルミス今日の晩練習で俺と一緒に食事をするってのはどうだ?」
「いいのですか?付き合ってもらって?」
「いいとも、可愛い可愛い妹なんだから。」
「ありがとうございます。」
一応会食前に自分で確認しておくために、自分からラルミスに食事に誘った。
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忘れていた。
目の前で口周りをソースでべちゃべちゃにしながらフォーク一本で食事を進めるラルミスを見ながらそう思った。
礼儀作法、食事マナーを教え損ねていた。
まずったな後一週間しかないのにこれは。
「お兄様、これとても美味しいです!」
「あ、あぁそれは良かったよ。」
それどころではないのだよ妹よ、こんな小さいことでも婚約破棄につながりかねない。頭をフル回転させろラブコメ知能で溢れた俺の頭よ。こういう時はどうしたらいいのだ。
「お兄様、どうしたのですか?」
俺が悩んでるのを察したのか上目遣いで俺の心配をラルミスがしてくれている。いや可愛すぎんだろ。いや待てこれはこれでいいのではないのだろうか。
俺の見てきたラブコメは可愛いこそ正義。この可愛さがあればこの食事マナーでもいけるんじゃないのか?最低限の食事マナーは残りの一週間で伝えるとして。
「ラルミス。」
「何でしょうか、お兄様。」
「来週の食事の時も婚約相手に対してその感じで行け」
ラルミスが不思議そうに首を傾げる。いやもうそれでいい。それがもう可愛いのだから。
※会食当日※
最低限の食事マナーと礼儀作法を覚えたラルミスは笑顔で屋敷を後にしてから2時間ほどの時間が経った。
そろそろ帰ってくるかな。
俺は屋敷の玄関の前で待っていた。
ガチャ
「ただいま帰ってまいりました。」
なぜか悲しそうな顔をして俯きながら帰ってきた。うまく行かなかったのかな。
「おぉ、おかえり。どうだった。」
俺は息を呑んだ。
「婚約を無かったことにしてほしいと言われました。」
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あの日以降ラルミスは自室にこもって出てこなくなってしまった。婚約相手に話を聞きに行ったがヘルサーには会わせてもはえなかった。
そこの従者がただ俺にこう言っていた。
「馬が合わなかった。」と
だが俺は向こうの屋敷を出る時に聞こえてきたんだ。「あんな屋敷の可愛くもない娘と結婚なんてしたくない。」と。
こんな可愛い妹があんなに頑張ったのにそれを可愛くないだって?笑わせるんじゃないよ。
これは悪役令嬢系の世界じゃない。悪役令息の世界だ。
主人公はあいつじゃない俺の妹、ラルミスだ。
どうにかしてあの男がざまあで終わる世界にしてやる。
俺は可愛い妹のために腹を括るのであった。
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次の日の朝俺はラルミスの部屋の前に立っていた。
コンコンコン
「ラルミス、入るぞ」
ドアを開けて部屋の中に入った。
あの頃のラルミスの部屋とは全く違う綺麗に整理整頓された部屋のベットでラルミスはうずくまっていた。
可哀想に本当に頑張ってたのにな。
「ラルミス大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。少し色々と心の整理ができていなくて。」
そうだよな。
「このままじゃ悔しくないか?ラルミス」
ラルミスが顔を上げて俺の方を見た。
「はい。悔しいです。」
「俺と一緒にあいつにギャフンと言わせよう」
ラルミスの目に涙がたまる。
「いいのですか?お兄様も忙しいのに。」
「可愛い妹のためだ何だってしてやるよ。」
あぁ久しぶりにラルミスの笑顔を見た。あいつは見る目がないなこんなに可愛いのに。何なら俺が結婚したいくらいだよ。
その後俺とラルミスは元婚約相手について色々と調べた。
やはりあいつはグスだった。
あいつは俺の妹という婚約者がいながら、他の令嬢に次から次へと手を出していたそうだ。そしてその手を出していたうちの1人に気に入った奴がいたらしくそいつとの結婚を進めるために俺の妹との婚約を破棄したそうだ。そんなことだったのならこっちから願い下げだ。
どうやらヘルサーは結婚をせかしているらしく、予定では2週間後に取り行われるらしい。
俺たちはその2週間の間に浮気となる証拠を集めていった。
※結婚式当日※
楽団の大きな楽器の音と共に新郎であるヘルサーと新婦らしき女の人が大聖堂に入場してくる。
参列者には公爵や侯爵、沢山の貴族で彩られていた。
入場を終え段で新郎と新婦が向かい合い聖職者が喋り出す。
「これより、お二人の結婚の儀を執り行います」
「ヘルサー殿下。あなたは、ここにいる〇〇嬢を生涯の伴侶とし、喜びの日も、苦難の日も、互いに支え合い、誠実に愛することを誓いますか?」
「はい、誓いますーー。」
「本当に?」
大聖堂に女の人の声が響き渡る。
参列者の中に1人だけ立ってヘルサーを睨みつける女性がいた。
「お、お前は」
「どうもマルフォーリオ侯爵家、マルフォーリオ・フォン・ラルミスです。あなたに婚約破棄された。」
「何だ未練がましく俺の式を見に来たのか?」
「いえ、あなたのような気持ちの悪い人と結婚しなくて済んで私もせいせいしてます。」
ヘルサーの顔が歪む。
「ふん、どっちにしろ、ブスなお前とはけっこんなんてしないよ。おいお前、式を続けろ。」
バコンッ!!!
聖堂のドアが勢いよく開く。
ヘルサーの顔が青く染まる。
そこにはヘルサーが今まで手を出してきた20を超える令嬢が立っていた。
その先頭に立っているのが俺、マルフォーリオ侯爵家の嫡男ことマルフォーリオ・アルス
こういうのはみんなの前で晒しあげるのが一番いいって昔ラノベで読んだ気がしたから。
「ねぇ!これってどういうことなの?」「私と生涯を添い遂げるとか言ってたじゃないの!」「あの時の話は嘘だったの?」
後ろにいた令嬢たちが大声で叫び散らかしてヘルサーに近づく。
俺はラルミスと目を合わせてぐっとポーズをとった。
何だか気分がいいな。
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その後みんなの前で晒し者にされたヘルサーは姿を消したのだそうだ。
結婚も破棄されて公爵の引き継ぎの話も無かったことになったのだとか。
まったくざまあねぇな。
「お兄様」
俺は1人で椅子に座って休んでいると横からラルミスが話しかけてきた。
「ん?どうした?」
もじもじしてなかなかに口を開こうとしない。
「何だよ、どこか体調が悪いのか?」
「違います!」
何だよツンデレ系か?とツッコミたくなるような反応をする。
「ただ、お兄様、色々とあの、」
ん?なんだ?
「ありがとうございました。」
そういうと、ラルミスは走ってその場を立ち去った。
何だよあいつ結婚したい。
俺は心の中でそう思った。
作者は悪役令嬢系のことを全く知りません。見よう見まねで頑張って書きました。
こんなゴミみたいな作品を最後まで見ていただきありがとうございます。




