第五章 『愛する我が子』
広い芝生の上を元気に走る女の子。
「パパ!見て!」
女の子がでんぐり返しをした。
「おぉ!上手いじゃないか!」
「もう一回行くよ!ほれ!」
「すごいぞ!さすが俺の娘だ!」
景色が変わり病室になった。ベッドには女の子が寝ている。
「パパ・・・」
「なんだ?どうした?・・・」
「お外で遊びたい・・・」
「そうだな元気になったら遊ぼうな!」
さらに景色が変わり、墓地が現れた。
「パパ・・・パパ・・・」
「パパ!」
俺はすっと目覚めた。俺は、車に揺られていた。横にはローズがいた。
「どうした?」
「この先どうするの?」
「安全な場所に行こう・・・人目につかない」
俺は、ローズが助けたという人造人間が我がセーフハウスとローズの元に来たことにCRAに居場所がバレていると確信しセーフハウスから離れることにした。なんとしてでも我が子達を守らねば・・・他の二人の居場所はわからないが、見つけて見せる。最後の望みだから。
「ねぇ、パパ!検問だって」
「検問!?」
車がゆっくり止まり、検問の列に並んだ。
このままだと私の顔は知れているからバレてしまう。どうすればいい・・・
「ローズ!降りるぞ!」
プシューっとガルウィングの車ドアを開けて俺たちは車の乗り捨てた。
『おい!そこの!待て!』
捜査官が叫んだ。
俺たちは闇に紛れ、建物内を走り回った。
後ろから、誰か追いかけてくる。
『待て!止まれ!』
行き止まりだ!俺たちは壁に張り付いた。どうすれば・・・
すると捜査官がライトで俺の顔を照らした。顔がバレてしまった!
すると無線機で『エイデン博士を発見!ジェーソン捜査官!エイデンを発見!』
まずい!このままだと掴まる。
『大人しくしろ!』銃を我々に向けながら近づく。
すると上から『このロープに!』と声がした。俺は、すぐさまローズと共にロープを掴んだ。
「上げてくれ!」そして、服の反重力装置を発動させた。ロープに引っ張られ我々はなんとか助かった。
「助かった!ありがとう!」
そこに居たのは、青年だった。
「いえ、ここら辺で検問があるって事で調査してただけです」
「君は、レジスタンスか?」
「はい、ネオと言います」
「ネオ・・・私はエイデンだ。こっちはローズ」
「どうして逃げていたんですか?」
「詳しくは言えないが、私はCRAに追われている」
「分かりました。この先に教会があります。ひとまずそこにいる牧師に話をしてみてください!今夜だけなら避難させてくれるでしょう」
「ありがとう。ネオ、恩に着る」
「共にこの世界を生き抜きましょう!お嬢さんも」
俺たちは、ネオから別れて、教会に向かった。
『ゴンゴンゴン』
「誰かいますか?ネオという青年に言われてきました」
『ガチャコン』
「あ、すみません!一晩だけ避難させてください」
「入りなさい」
俺たちは教会に入った。すると牧師が話し出した。
「私は、神を信仰していた。それがこの世は神など居なくなってしまった。人造人間という神のルールから外れた存在。それでも神を信じますか?」
俺は、人造人間を作り出した張本人。横には人造人間本体。この場所で避難するのは居心地が悪い・・・すると牧師が
「なんてのは昔の考えだよ。今じゃ神もただの幻想。おまえさん達のことは知っておる」
「え?」
「おまえさんは、あの会社の人だろ?そして君は人造人間。っても他の人造人間とは違うようだがな。とりあえず、お茶でも飲みなさい」
我々は、一晩教会で過ごす事になった。
教会には立派な祭壇があった。
俺は、こう見えて昔は神を信じていた。だが娘が死んで以来信じることができなくなった。自分すらも信じられなくなった時期があった。
祭壇を目の前にし、今までの御無礼を懺悔したくなった・・・
「今までの御無礼どうぞお許しください。私は娘を亡くし、自分すら欺きました。それを支えてくれたソフィアは私の代わりに犠牲となり、私は使命を果たすために人造人間と共に隠れる日々を過ごしてます。どうか無事に・・・」
「意外だね・・・あの会社の人が紙に頭を垂れるなんて」
牧師が話しかけてきた。
「勝手にすみません」
「いいんだよ。どんな時でも神はいる。こんな幻想にも縋りたくなるもんさ。人間ってのは何年たっても変わらない。か弱い生き物よ」
「そうですね・・・」
「人造人間に終わりがないのは、それを知っているからだろ?永遠に生き続ける。だから人工知能を搭載しているのだろ?」
「はい、人間の脳はいずれキャパシティを超えます。それを制御しさらには思考能力を向上させて支配されないようにしてます」
「それが、この現実を作り出したのか・・・」
「はい・・・」
「君の横にいた女性は、どんな存在なんだね?」
「彼女は、この世を救う希望の一つです。もう一度人造人間に人権を与えるために。彼女の他に2体作りました」
「3体の新型?」
「はい。一体では機能しません3体揃えば、この世にいる人造人間のコードを書き換える装置になります」
「書き換える?」
「それまでに人造人間に人権を戻させなければならない」
「どうなるんだ?」
「3体が揃えば全世界の人造人間が寿命を持ち成長し老いて死にます」
「つまり、人間と同じになるわけか」
「そうです。この世にいる人造人間は基本的には成人です。その年から人間の平均寿命までいき、その後気体となって消滅します」
「政府はこの真実を知りません。それにもう一つ」
「なんだ?」
「人造人間が子供を持てるようになります」
「子供を?」
「そうです、人造人間同士、人間と人造人間、での生殖活動そして子孫繁栄が可能になります」
「それは、いいのか?」
「分かりません。ですがこの世の中を正すことが出来る唯一の希望なんです」
「あの3体が揃うとそのコードが発動するのか」
「ローズは、『愛』です。残り2体は『勇気』そして『終わり』これがこの世の救世主になると信じてます」
「そうか・・・もう私は寝ます。最後に蝋燭を消しておいてください・・・」
そういって牧師は祭壇から離れた。
俺もローズの元に戻ろう。
———遠い街では———
『いけーーーーー!』
「いいぞ!このまま押し進め!」
CRAとレジスタンスの激しい戦いが繰り広げられていた。
「上手くいけば!勝てます!」
「やりましたね!アレックス将軍!」
「あぁ!『勇気』を持って突き進め!」




