第二章 『マーク』①
世界は、灰を被ったように薄暗く、混沌として見えた。誰もが疑心暗鬼になり、人間は人間を疑い、人造人間は光をなくし、逃げ回る。
こんな世界はいつまで続くのだろうか?私は、廃れたビルの屋上に座り、世界を俯瞰していた。
「なぁマーク、食べるか?」
「いいえ、大丈夫です」
「そう」
ネオが私の隣に来て座った。
「これが現実とはね・・・未来はもっと明るくて派手になると思ったんだけどな〜」
「予想では、この未来の確率は20%でした」
「その20%を引き当てたのか・・・ある意味すごいな」
「人間は、クズです」
「それを言われると怖いな〜」
私はその先を言わなかった。
「いえ、なんでもありません・・・」
「いや、その通りなんだよ。この未来を作ったんならお前の言った通りクズだよ・・・」
私は、外の景色をじーっと見つめた。
「ま、でも共に立ち向かう仲間がいるのはいいことだよ!そのおかげでマークは生きてる。俺も生きてる!CRAなんて政府のただの飼い犬さ」
「ありがとうございます」
「さ、昼の集会だ!行こうぜ!」
私たちは、集会が行われる階に向かった。
ひらけたホールの中、そこには、少数の人間と、大勢の人造人間がいた。皆、型番はバラバラ。私より新しい型もあれば、古い型もいる。
私とネオは、『レジスタンス』の一員だ。
リーダーのエリックが壇上に上がる。
「みんな、新しい情報だ」
周りがざわめきだした。久々の進展に期待した。
「昨晩、『ECT』から、3体の新型クローンが放出された。現在居所は仲間が調査中だ。話によると、その3体には特別なコードが組み込まれているという。そのコードは国家を揺るがすとてつもない物らしい。そして我々は、その3体の捜索、並びに保護することになった」
私は、それがどんなに重要か分からなかった。国家を揺るがすコード?そんなことより我々の自由の方が大事だろう。
「リーダー!」
仲間の一人が発言した。
「なんだ?」
「それは我々にとって重要なのですか?」
「直接的に重要とは分かっていない。しかしそれを利用すれば我々は自由になれるかも知れない」
「それはCRAが総力を上げて探してるのですよね?そんな危険なこと我々がなぜしないといけないのですか?」
「これは、我々勢力だけじゃない。皆で行うことになっている。いずれか別の勢力と協力するかもしれない」
その発言にざわめきがホールを包んだ。すると一人の仲間が意見を出した。
「私は反対です。ただでさえ今は落ち着いて暮らせてる。なのに危険を犯しに行くなんて・・・」
「俺もそう思います・・・」
「私も・・・」
次々に人造人間から反対意見があがった。無理も無いだろう。皆が皆、戦いたいわけでもない。反乱とはいえど静かに暮らしたいのだから。
「・・・君たちの意見に感謝する。分かった。では、私と一緒に捜索する同士を集おう。来てくれるものはいるか?」
少し間があいた。皆葛藤と戦っているのだろう。
「俺は行きます!」
ネオが先陣を切った。
「私も行かせて頂きます」
「俺も」
次々と人間が声を上げた。私は、どちらでも良かったが、ネオと離れるのは正直退屈だし、恩義がある。
「私も行きます!」
「マーク!?」
「分かった。他にいるか?」
声は上がらなかった。
「よし、では我々は、今日より3体のクローンの捜索に向かう。残りのものは協力して生き残ってくれ!」
そうして、私が所属するレジスタンスは、分離し、私はネオと一緒に進む道を選んだ。
「マーク、いいのか?」
「はい、私がいれば何かと役に立つでしょう」
少し不安そうな私を見てネオは私を勇気づけてくれた。
「大丈夫!俺がお前を守るし、お前は俺を守る!いつものことじゃないか!」
「そうですね!」
日が暮れて我々は、行動した。まずは仲間の一人に情報を聞き出すために彼の元に向かった。




