第一章 『希望』
俺は最後のコードを入力した。
『博士!ここは危険です!早く避難を!』
サイレンがなり、館内では局員達の急ぐ足音やアナウンスが鳴り響く。
『博士!早くこちらに!』
「あ〜わかった・・・」
俺は、大きな筒形の水槽にゆっくり近づき、ガラスに手をかざした。
水槽の中には、男性が目を閉じて入っている。
自立型最先端クローン『ED-100』と水槽に記されている。
俺は、隣に2つある同じ水槽にも目を向けた。中には女性と男性が入っていた。
「ローズ・・・アレックス・・・」
俺は、手前から奥に向かって順に名前を呼んだ。
「そしてゼッド・・・」
俺は、見上げるように目の前の水槽に話しかけた。
「我が子たちよ・・・君たちは、俺の最初で最後の最高傑作だ。君らに希望を託した。この崩壊した世界を救ってくれ・・・」
そして俺は、そっとガラスから手を剥がし、その場から離れた。
『システム構築完了まであと3分』
俺は、助手の『ソフィア』と急いで出口に向かいながら今後について話した。
「博士!今後、我々はどうすれば?」
「彼らが何とかしてくれる。私たちはそれまで身を隠すしかない」
「一体どこに!?」
「わからん、我々はもう後戻りが出来ない犯罪者になってしまったんだ。・・・」
「政府は勝手だ。急に掌を返して!」
「そんなこと言っても仕方ない」
俺たちは、廊下の角を曲った。
すると目の前に大勢の銃を持ったスワット集団がいた。
『止まれ!』
俺たちは足を止めた。
「我々は、『CRA』だ!お前たちを逮捕する!」
ここで捕まりたくはない。捕まる訳にはいかない・・・残り時間はあと1分か・・・
「動くな!そのまま・・・じっと——」
ずるずるとスワットが間合いを詰めてくる。
俺は、ソフィアに「戻れ」と小さく呟き。
我々は、来た道を急いで戻り、逃げることにした。
『待て!』スワットが追いかける。
俺たちは必死に走り研究室手前に着いた。
「博士!ここはお任せください!」
ソフィアは足を止めて、ドアロックを閉めた。
『侵入者撃退電磁テレポート作動』
「おいおいおいおい!待て待て待てー!」
俺はドアロックを急いで開けようとする。
『侵入者撃退電磁テレポートレベル100%』
彼女が、レベルを最大値に上げてしまった。このままでは、宇宙空間まで飛ばされて窒息してしまう!
急いでソフィアを救出しなければ!
「くそっ!ソフィア!」俺はドアを叩いた!
「博士!私なら大丈夫です!」
ドアロックの小窓越しにソフィアが話しかける。
「おい!やめろ!死ぬぞ!」
スワットが来た!
「博士、秘密は死んでも守る・・・ですよね?」
『5・・・4・・・3・・・2・・・』
スワットが彼女を捕まえようとする。
『1・・・』
「やめろーーーーーー!」
一瞬にして目の前が明るくなり、そこには何も残らなかった。
『侵入者撃退電磁テレポート成功』
「ソフィア・・・」
俺は、ドアにしがみつき首にかけていたペンダントを外し胸の前で握りしめた。
『システム構築完了まであと30秒』
そのアナウンスに俺は気持ちを切り替え緊急脱出テレポートを使って遥か遠くに降り立ち姿をくらました。
『システム構築完了転送します』
水槽内にいたクローンがテレポートされ3体とも別の場所に転送された。
研究室に、CRA捜査官ジェーソンが入ってきた。
「直ちに、転送先を探れ!必ず排除してやる!人造人間め!」
———君らに希望を託した。この崩壊した世界を救ってくれ———
『私は、マーク。人造人間だ』




