4話 ビューティークラブ
「ねぇ、何あれ。何でダンベル上げ下げしてんの」
「フッ、さぁ。今さらダイエットなんて意味ないのに、馬鹿じゃないの?」
「あんなオーク女、王子はどこが良くて選んだんだよ」
「それがさ、実は・・・」
「あっはっは!だよなぁ!でなきゃあんなの選ぶ理由ねぇわ!」
「グラウンド歩いてんの見たことあるぜ。ドスドスドス!て歩く度にすげえ地面が揺れんの」
「騎士科の訓練場の隅で剣の素振りまでやってるらしいぜ。恥を知れよな」
そんな嫌味を聞きながら、教室の後ろで筋トレを続けるアリシア。
傷つかない訳では無い。アリシアも心の中では泣いている。
(クソッ!クソッ!みんなクソッ!小説のネタにしてやる!)
春から夏に変わり始めた頃、ある変化が訪れた。
「はぁ、はぁ。何か、人が増えてる?」
いちものように昼休憩中にグラウンドを歩いていると、後ろをゾロゾロと付いて歩く多数の女生徒達がいる。
アリシアが次の授業の準備の為に休憩に入ると、終わったとばかりに解散する。
何だコレ?と思っていると、一人の女生徒が声を掛けて来た。
「ローズ伯爵令嬢。今よろしいかしら?」
「え、ええ。はぁ、何かしら?」
「私は二年のカレン・バーリーよ。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。はぁ」
「私、ビューティークラブの部長をしているの」
「あなたも入らない?」
金髪巻き毛に目立つ大きな赤いリボン。
羽毛扇で口元を隠し、ビシッ!と立つ姿は美しかった。
面倒臭いと思った。
「わ、私があの有名なクラブに所属するなどおこがましいこと出来ません」
申し訳ございません。と頭を下げると、カレンが語り出す。
「あなた程ではないけど、私も、昔は太っていたのよ。ビューティークラブは、心も体も弛んでいた自分に活を入れる為に作ったクラブよ。本来はあなたの様な方にこそ、入って自分を磨いて欲しいわ」
(心も体も弛んでいる・・・)
「分かりました。私もクラブに所属させて下さい」
頭を下げるアリシア。
「それにしても、あなた少し変わったわね。オークプリンセスから白豚くらいになったんじゃない?」
カレンはほほほほほと笑って去って行った。
それからは週に一度、放課後になると水を固めた水ゼリーなるものをお菓子に、白湯を紅茶代わりに美容や運動、最近流行りのドレスやアクセサリー、恋愛の話などで情報を得て行った。
そして、アリシアは勇気を出して切り出した。
「あ、あの、私実は、小説を書いているんです。それで、よろしければ感想などを頂けたらと思うのですが、いかがでしょうか?」
ドキドキしながら返事を待つアリシア。
「あ、あの、実は、私も、小説を書いています。皆さんのお話を聞いて、本を読むだけでなく、自分で書いてみたくなったんです。私も皆さんに感想を頂きたいです」
原稿を取り出し、赤くなっているのは、スカーレット・シャーリー伯爵令嬢。
「私、本は書くより読む派だから感想なら任せて」
アイリン・ナーヴァ侯爵令嬢が手を上げる。
この日は二人の小説を読み回し、感想を出し合うという。
アリシアにとってはとても有意義な一日になった。
もう少しで夏休みが始まる。
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