2話 お前を愛する事は無い
「当然だが、お前を愛する事は無い」
部屋に入って一歩目でそんな事を言われた。
「この茶会は適当な女を選ぶために開いたものだ」
「二十代半ばにもなっていい加減結婚を、と周りがうるさくてな」
「結婚に興味が無さそうな、いや、出来ない、か。そんな女を探していた」
「とにかく、結婚は1年後だ。それまでは手紙も連絡も接触もいらない」
「結婚後はここではなく別棟で暮らして貰う」
「王妃としての務めもしなくて良い」
「イメージが悪いから離婚はしない。ただ一生涯別棟に引きこもってくれれば自由にしていい。飯も好きなだけ喰え」
「とにかく、俺がお前を女として愛する事は一生無い」
「分かったらサッサとその醜い姿を消してくれ!」
嫌なものを追い払うように左手を振る。
気づいた時には自分の部屋でチーズケーキをホール食いしていた。
あの時の王子の言葉が頭の中で繰り返され、フォークを持つ手が震える。
バアアンッ!とテーブルにフォークを叩きつける。
「白い結婚上等!」
「とはならねぇよクソがぁ!!」
「何だよ一生涯別棟で引きこもりって!」
「好きなだけ喰え!?ペットか私は!!」
「どちらかと言うと家畜ですね」
紅茶を淹れているルカをギッと睨む。
「痩せる!今度こそ痩せる!!」
アリシアはそう叫んで残りのチーズケーキをバクバク口に入れる。
ルカが差し出す紅茶を奪いゴクゴク一気に飲み干す。
ガチャンッ!と乱暴にカップを置き、はあはあと肩で息をする。
「一生涯家畜生活なんてゴメンだわ!」
「誰にも愛されず、相手にされず。餌だけ与えられて死ぬまで家畜・・・・」
「そんなの人間の生活じゃない!!」
「今とそんなに変わらないじゃないですか」
「共に出かけるご友人がいる訳でもなく、日長一日食べるか本を読むか小説を書いて満足するかのどれかでしょう」
「今のような生活を一生できるんですよ?結婚もしない、恋愛もしない、友人もいらない。おひとり様を満喫するんだと言っていたじゃないですか」
「お嬢様にはこれ以上ない話だと思いましたけど?」
「それは十歳くらいの時の話でしょ!」
「こんな姿をしていても私だって思春期の女よ!」
「恋もしたいし結婚もしたい!」
「そう仰ると思って計画書を作ってきました」
四時起床、私兵団の訓練場でランニング二百周(百キロの重りつき)
七時朝食、キャベツ一玉
七時半、学園登校準備
八時、学園までランニング(重りつき)
九時、始業
授業中はダンベルで筋トレ(重りつき)
十二時昼食、キャベツ一玉
十二時半、運動場で二百周(重りつき)
十三時半、始業
ダンベル持って筋トレ
十六時、騎士科の訓練場で素振り一万回(重りつき)
十八時、屋敷までランニング(重りつき)
十九時夕食、キャベツ一玉
十九時半、訓練場でランニング(重りつき)
二十一時、筋トレ
二十三時、剣の素振り
二十五時、就寝
「これで速攻で痩せますよ」
ルカがニヤッと笑う。
「出来る訳ねぇだろ!!」
アリシアの渾身の叫びが屋敷中に響いた。
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