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可変の探偵  作者: 羽月to
才貌両全の彩色
7/7

一銭を笑う者は一銭に泣く

現実という名の真実の山に目を向けて、それでも変えようと願うことを行う者は、春の花のつぼみが咲く姿よりもきっと美しく残酷なのではないか、



俺たちは勢いよく黒咲家の門をよじ登った。





その時、もちろん予想はしていたが、案の定というべきか警報が鳴った。





『おい、永和。これマズくないか。どうすんだよ、』





「大丈夫だ、犬飼。安心しろ。捕まるときは俺もお前と一緒に捕まってやる。」





『おい、それ全然大丈夫じゃねえじゃねえか。』





「今はとりあえず警察が来る前に早いとこ黒咲に会いに行くぞ。」





『まあ、今更逃げてもしょうがないもんな、』





「ほら、行くぞ」





そんな謎の決意を今さら二人で固めていたとき、二階の窓から大きな音とともに黒咲らしき女性の悲鳴が聞こえた。





「なんだ。」






『おい、永和見ろよ。あそこ。』






「は?」





そこには、いかにも大学生らしい、金髪のピアスをつけた男が窓から飛び降りようとしていた。





『あいつ飛び降りるぞ。』





「マズいな。」





しかもその男は、黒咲に向かって何かを叫んでいるようだった。





『何やってんだよ。永和。あいつ飛び降りたぞ。』





「待ってくれ犬飼。思考が追い付いていない。」





『今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ。今すぐあいつを追いかけるぞ』





「そ、そうだな。」





今すぐにでも考えなければいけないことが山のようにあるが、まずはあいつを追いかけることが最優先事項だろう。





「だが犬飼。念のためお前は黒咲に元に向かってくれ。」





『わかった。お前も気をつけろよ』




「わかった。」




そうして俺は今あの男を追っているのだが、





「おい、待てよ。」





「なんだガキ、今はお前と遊んでいる場合じゃないんだよ。さっさとどっかいけ。」





「お前、黒咲に何をした。」





「お前なかなか唐突だな。だが、お前に話すことは何もない。」






「なら、お前が【透明化】の能力を持った犯人か?」






「ちっ。お前そこまで知ってるのか。」






俺は犬飼には言っていなかったが知っていた。





あのとき、そう、()()()()()()()()使()()()()()()




あの時は犬飼には言わなかったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




その時点で俺は黒咲の身にになにか()()()()()()()()()()()()()()()()





だからこそ、門をよじ登ってでも黒咲の家に入り、わざと警報を鳴らした。





まあ、犬飼は気づいてなかったがな。





「まあ、いくらお前がそれを知っていても、【透明化】すりゃあ関係ねえ。じゃ。俺は帰るわ。」





「待てよ。俺はお前にまだ聞いてないことがある。」





「知るか。ガキはさっさと家に帰れ。」





その瞬間。俺の目の前から男の姿が消えた。





「でも、あいつと話してわかったことはあった。俺の能力の【探偵】があいつを検索できなかったのは、そもそもこの世界にでは`“能力”何てもの自体が存在してないものになっていたからだ。

つまり、検索欄で言えば“非表示設定”にされていたようなものだ。だから黒咲のときは、黒咲本人ではなく、“能力に関わる行動”を絞って調べたから検索が出来たんだ。」






なら今回もその法則にしたがえば.....。






「(”能力【探偵】”)」





「検索項目。金髪、ピアス、能力者、今俺の最も近くにいる。」





<はい、わかりました。>






 <・今もっとも永和様の近くにいる能力者を検索中>


{検索結果}<1名の【能力者】を発見しました>






 やはりな。






「それじゃあ、調査を開始するか。」






まずは、あの何て言ったっけ、名前、、、名乗ってなかったな。




よし。




とりあえずはストーカーとするか。





「それで、あのストーカーはどこにいるんだ?」





<近くの公園のベンチで寝ています。>





「あいつ呑気すぎないか。」





でも、とりあえずは急がないとな。





「位置情報をスマホに送ってくれ。」





<わかりました。送信します。>




<送信完了>





「ありがとう。ここか、大体走って10分くらいの所だな」





そこから俺はいつも読書ばかりして動かさない足を動かし、精一杯腕を振って走った。




そのおかげか、予想より5分は遅れてついた。




自分の運動不足にはすこし嫌気がさしてきた。





「はぁ、はぁ、疲れた。まったくだ。おい、ストーカー。いつまでそこで寝ている。」





「お前。なんでここがわかって、」





「そんなことはいい。俺は今さっきも言ったがお前に聞きたいことがある。」





「だから今さっきも嫌だって言っただろ。はあ、めんどくせえガキだな。」






「でも俺は知っている。お前が黒咲にもともとは好意ではなく別の理由でストーカーをしていたことを。」






「お前、ほんと、まるでなんでも知っているみたいだな。まあいい。」






「そうだ。確かに俺はもともとあの華奈ちゃんのことが好きで近づいたんじゃない」





俺は.........〖だめじゃないですか。それ以上話したら今すぐここで殺しますよ〗






「なんで、、お前がここに、」






〖あなた、前に私に会ったことありましたかね。〗






そうだ。





俺がこの男と会ったのは、そう、あの中学3年最後の文化祭の時だ。そして俺は1年前の今現在の中学2年の最後の時期に戻っている。






つまりこいつはまだ俺のことを知らない。






「いや、すまない。人違いみたいだ。俺は今そいつに用があるんだがいいか。」





〖そうですね。ですが、あなたは今回の件に関わりすぎましたしね....〗





その言葉を聞いた瞬間俺はもしかしたら間違った選択をしてしまったのではないかと脳裏によぎった。





この男は確かに俺をあのとき殺した。





だが、今回俺はこの男にまだ関わっていない段階のはず。





だから俺はまだあいつからしたらただの【一般人】に過ぎない。





ならまだ少しでも逃げることができる言い訳があるのではないかと思ってしまった。





もう、あの時のように、二の舞になりたくないと思った。






「いや、俺は、、、〖すみません。やはり、あなたも今ここで死んでもらうことに決めました。〗






「おい、待て。話を、話をしよう。」





〖一度決めたことは、私は取り消さない主義なので、すみません。おとなしくここで死んでください。〗





クソ。





やっぱりそうだ。





そもそも俺をあの時に爆弾で簡単に殺し、俺の体を崩して楽しんでいたあいつに話を持ち掛けたことが馬鹿だった。






つまり俺は、【またしても】選択肢を間違ったのだ。






でも.....。





「すまないが、俺はここで死ぬわけにはいかないんだ。死ぬにしても時間を稼がせてもらう」




〖そうですか、それは面白い。なら鬼ごっこにしましょう。私がここで10分ほどだけ待って差し上げましょう〗




「それのどこにお前のメリットがあるんだ。」




〖それは楽しいからですよ。〗





やはりこいつは狂っている。





でも今はこの提案を飲むしかない。





そうじゃないと今すぐにでも俺を殺したそうに、うずうずしている。





「じゃあ、そうさせてもらう。」






そういった途端、俺は必死に走った。





走った。





走った。





もう、ここがどこかもわからない。





だが逃げないと死ぬ。





俺はまだ死にたくない。






「はぁはぁ、ここまで来ればどうだ。」





あれから俺はもう、どれだけ走ったかわからない。





必死に、必死に。





こけても、血が出ても、何度も立ち上がって走り続けた。





〖見つけましたよ〗








嘘だろ。







「なんでここに」





〖あなたは単純すぎます。はあ、まったく面白みがない。最短で私から逃げるために、ルートを冷静に選んで逃げるのはいいですが、それだと面白みがない、〗






どうするべきだ。






俺は今、どうするべきなんだ。






ここで逃げてもこいつに殺される。






でも、逃げないと殺される。






助けはない。






クソ。






思考がまったく回らない。






ルートだって冷静に選べてはいたが、途中からわかってはいた。






単純すぎると。







柔軟性がないと。






でも、俺は、、、、もう、死にたくない。





「ああ、そうかよ。だけどな。俺は逃げるぞ。あいにくお前に殺されるのは1年後って俺が決めているからな。」




〖何を言っているのかわかりませんが、まだ、遊べそうですね。非常に愉快です。〗





俺は逃げた。





逃げ続けた。





不幸中の幸いか、今さっきの会話で少しだけ思考が戻ってきた。






だが、そのせいか今さらなって気づいてしまった。







俺は勘違いしていたんだな、普通なんて誰にでもあってそれで、きっとずっと続くものだとそう思っていた。






でも、俺の普通はもう毒されていたのか。







そうか、それはあの電車の爆発から、爆弾魔による強襲からもう、変わっていたんだ。







ああ、クッソ。







今そんなこと考えても何も変わらないと言うのに、






ただただそんな考えが頭を過ぎる、






だが、今は走らないと、





「次、前の十字路」





「右に曲がると、爆弾による体の崩壊。」





、、、、は?





()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()






でも今そんなことは考えなくていい。





次は、「左に曲がると目の前に爆弾魔が現れ、即死。」





次、「真っ直ぐに行くと、目の前の車の爆発に巻き込まれて、死。」





だったら、、、「俺の選択肢は来た道を戻ることだ。」






動けよ俺の足。





走れ。





頼むから。





走ってくれ。





俺はまだ死にたくない。




死んじゃだめなんだ。




ここで死ぬわけにはいかないんだ。




何がなんでも、でも、だからどうする。





このまま走ったっていつかは追いつかれて殺される。





それならいっそのこと楽に死んだほうが、、、、





でも、それは、、、、。





ダメだ。





俺はまだ諦めたくない。





もう、なにも諦めたくない。





自分に対して嘘をつきたくない。





ならどうする。





どうすることもできない。





諦めたくないって思ってもいつだって運命は変わらない。





それはもう体験したはずだった。





なのに、、、浮かれていた。





自分に酔っていた。





そして、また、逃げようと、楽な方向への言い訳を作っている。





やっぱ、ダメか。




「はは、」




〖どうしましたか。鬼ごっこ、いや、自分との気持ちの確認は終わりましたか?〗




「ああ、」




〖なら、どうしますか?あなたは、〗




「俺は、、、、」






いつだっただろうか、






『おい、永和。今日どうする?』







『なんだよ親友だろ』







『お前わかってるのか?助けが欲しい時は叫ぶんだぜ。小学生の時に習っただろ。』






なんだよこんな時に、走馬灯かよ。





でも、そんなこともあったっけ、どれもいつものことで、当たり前で、退屈で、でも、儚くて、悲しくて、心が傷んで、疲れて、でも、そうか、




「俺は、、、、」






「クソが!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






叫んだぞ。





俺は、しっかりと。






〖そんな言葉があなたの最後にすることですか。〗





〖私はね、すぐにでもあなたを殺したいのですよ。ですが、私にも少々事情があって、話をしましたが、あなたは変わらなかった。【ここに来ても】〗





〖だから死んでください。〗






俺の顔の前に爆弾魔の多くの傷のある大きな手が被さった。






「俺は運になんて頼りたくない。ましてや、犬飼が駆けつけてくれるとも思ってない。だけど......俺は........俺は、俺は。」







「【探偵】でいる。」






「そして、あいつの助手であり親友だ。」





〖ああそうですか、お父さん。あなたはなんて悲しい人間なのでしょうか。ぜひ、母から逃げたことを償いながら死んでください。おっと。すみません。これは少しおしゃべりが過ぎました。今のあなたにはもう関係のない話でしたね。〗




今。こいつ、なにを言っていたんだ。





だが、そんな疑問を考える余地もなく、俺の目の前の手から火薬の匂いとともに爆発音が鳴り響いた。








俺の人生も終わりか、、、、、、








そして、それともう一つ別の、まるで銃声のような発砲音が鳴り響いた。






『あbbっねー。もう一歩、いや、0.2秒弱遅れてたらお前顔吹っ飛んでたぞ』






「なんで、、なんで、、、、お前がここに、」






そこに立っていたのは紛れもなく俺の親友だった。





そしてその俺の親友は手に明らかにこの世のものではないようなノイズのかかった拳銃らしきものを握っていた。






『おいおい。そんな顔すんなよ永和。前に言っただろ。助けが欲しい時は叫べって、まあ、ここに来れたのはそれだけが理由じゃないがな、』






『さあて、永和。ここからが運命っていうご都合展開を可変させるところだろ』






「お前、何を言って、」






〖あなた、なんなんですか。本当はこの世界に存在しなかったはずの異物が。〗






『存在しない異物とは失礼だな。まさに今ここに立っているのはれっきとした紛れもない犬飼利道という人間だ。』






『というか、お前、俺の親友に手、出したな。正直俺は、お前みたいなご都合展開の塊の方がいらないと思うがな。』






〖あなた、その汚れた口をいい加減慎みなさい。ああ、私も少しイライラしてきました。その気持ち悪い顔をすぐに吹き飛ばしてもいいでしょうか?〗






『ああ、もちろんいいぞ。だが、お前が動けるんならな、』





〖あなたは一体何を言ってるんですか、〗




『そのままの意味だよ』




爆弾魔は犬飼の言うことを聞かず、犬飼の方に向かって歩いた。





そして、犬飼の前に立った瞬間、いきなり目の前の爆弾魔が大きな奇声をあげて、苦しみ始めた。





〖ああ、ああ!!!!、苦しい、苦しい、苦しい、ああ!!、なんですかこれは!!〗






「なんだよ、、あれ。」






『呪いだよ。俺の、』






まるでその時の犬飼はなにか悲し気な表情をしていたように思える






〖ああ、苦しい。でも、はは、ははは、はははははは。こんな感覚は初めてですよ。〗






『気持ち悪、』






〖よく言われますよ。はは、ははははは。〗






『そうか、』






〖すみません。こんなことは初めてでして、笑いが止まらなくて、はは、ははははは、いや、まさかこんなにもまるでご都合展開のような男がいるとは〗






『そりゃどおも。』






〖ですが、すみません。私はこれにて帰らせてもらいます。今回はもともとあなたの偵察が目的でして、その目的はすでに達しましたので〗






『どうもどうも、そうですか。なら早急にお帰りくださいな。』






犬飼がそう告げるや否や爆弾魔はまるで消えるかのような速さでストーカーとともにいなくなっていた。






『でも、ごめんな。永和、俺、おれ、、、、、ダメかも、』






「は?」





俺はそのとき初めて目の前にいる親友の姿をしっかりと見た。





その親友の全身からはものすごい血が溢れ出ていた。








「い、犬飼?」








その瞬間、目の前のいつも馬鹿で、ずっと楽しそうに笑っていて、時にまじめで、俺の隣に並んで一緒に歩いてくれて、いつも勇気をくれた親友が目の前で、俺の目の前で倒れていた。



7話ご愛読ありがとうございました!!

今回は少しシリアスなとこがあったように思えますが、そこにも目をやってくれるとありがたいです。

もしよければ、感想や、リアクションなどを頂けると嬉しいです。

今後も可変の探偵をよろしくお願いします!!


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