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可変の探偵  作者: 羽月to
4/6

透明のストーカー

なかなか犬飼が報われることはないですね....まあ、理由は明白なのですが

学校の紅葉が枯れ、すっかり落ちきった頃。


冬休みまで、あと僅かという、めでたい休日。


俺達は、ある問題に直面していた。



「なあ、永和。どうする?」



「これは...仕方ないんじゃないか。うん、仕方ない。」



「だって」



「そう」



「「猫が寝転んでいるから!」」



そう、猫が寝転んでいる。



ここは、俺達が依頼をしている傍ら見つけた空き地なのだが、そこに住み着いている猫の可愛いさといえば、もう、この世のいかなる言語でも、その可愛さは言い表せないほどである。



実際、様々な言語を能力の関係上触れてきたが、この可愛さを表現するに足る言葉には出会えていない。



その様子がかわいすぎるのである。



人の場合、どんなに可愛らしくても、その行動には限度がある。



しかし、猫は別だ。



こんなに可愛らしいなら、何をしてもOK!、と思えてしまうのである。



しかも、黒毛、金色の瞳、小柄な体格などと、俺の好みにどストライク。



実を言うと、このあと、依頼が待っていて、このままでは遅れてしまうのだが、まあ、猫が可愛いので仕方ないか。



うん、仕方ない!



「はっ!だめじゃないか永和。このままでは遅れてしまう。そうしたら、依頼者にも迷惑がかかる今すぐ出ないと遅刻するぞ!。というか、依頼者うちの学園長だぞ!それに学園長に依頼するように説得したの俺らだぞ!」



こいつは一体何を言うのかと思えば。



「いいか犬飼。人間の最大欲求は、猫を愛でること。それ以外は些事なんだよ。人間は、猫のために存在する。それを忘れたのか?」



「それはもちろんわかってる。けど、俺達がいなくなっても、この子は困らない。むしろ、俺達が立ち去ることで、快適な睡眠が取れると思わないか?」



「それは....確かに」



犬飼に論破された。



屈辱的だが、言ってることは正しい。



真に猫の為を思うなら、

俺達はここで消え、猫に快適な睡眠を取ってもらうのが最適ではないか?



というか、こいついきなり賢くなってないか?



「というわけで、邪魔者は退散しよう。退散退散。」



そういって、犬飼は俺を無理やり引きずって自転車まで連れて行った。



というわけで、学園長が指定した喫茶店に向かう。



どうしてこんな事になったのか。



事の顛末は、5日前に遡る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここ最近、学園長が目に見えて落ち込んでる。



学園長は、無造作で少し乱れ気味な黒髪の、端正な顔立ちで、特に女子に人気があるが、人の良さから、男子からも人気がある。



そんな学園長だが、嘘や演技が苦手で、大抵のことは態度か、顔に出るのでとてもわかり易い。



いつも明るい人なので、今回のことは、俺含めてみんな気になってる。



普通なら、「なぜだろう」と思い、友達同士で盛り上がるところだが、あいにく、俺には【探偵】がある。



それで【検索】すると、どうやら娘がストーカー被害にあっているものの、その犯人が全然見つからないらしい。



なんでも、勝手に取った写真と、気持ち悪いラブレターを家に送りつけてくるのだが、

ポストが見えるところに張り込みをしていても、犯人は見つからなかった。



にも関わらず、ポストの中に例のものが現れたらしい。



監視カメラを確認しても、何もおかしいものは写ってなかったとのこと。



それに、その写真のアングル的に、警察、通行人、本人に見つかってもおかしくない物だという。



これは、明らかに異能力絡みの事件だ。



俺は、自身の異能力について気付いた日から、異能力について調べ始めた。



異能力とは、物理法則を操作することもできること、異能力は遺伝に加え、能力に関連した強い意志が必要、異能力を使える遺伝子を持った殆どのものが、その能力に気付かず死ぬこと、



などなど。



そういったものを調べ続けたので、異能力については詳しいつもりだ。



そんな俺から言わせてみれば、異能力の中に、【透明化】なんてものがあっても、何ら不思議じゃない。



これは、警察には解決できない。



俺達が動くしかない。



しかし、学園長は少し、顔色が悪い程度でも、大丈夫か、と声をかけてくるようなお人好しで、責任感も強い。



そんな学園長なら、生徒を事件に巻き込むことを良しとはしないだろう。



そう思い、放課後、犬飼に伝える。



「というわけで、学園長の娘のストーカーが、異能力者で、警察では対処できない。そのため、学園長を説得して、依頼を受ける。」



『なるほどなるほど。理解理解。』



『確かに、あの学園長なら生徒にそんなこと頼まないな。名前が広がってるのは俺だし、性格も顔も先生からの評価も俺の方が良い。お前がやるより俺が説得するほうがいいな。』



なんかできる奴感を出しているが、こいつが理解するまでに何回も説明させられたし、こいつが言ってることは、すべて俺が懇切丁寧に説明したことをそのまま言ってるだけだ。



もう慣れたものだが、こんなこと、慣れたくなかった。



「顔と評価はお前のほうがいいとしても、性格の良さはお前のアホさとデリカシーの無さと無神経さで帳消しだけどな。」



『俺のどこがデリカシーがなく、無神経なんだよ』



「自覚してない時点で終わりだよ。」



こいつは性格はいいんだが、いかんせん超がつくほどのアホなので、場の空気が読めなかったり、人の地雷を踏み抜いてしまったりと、もうこれ何かの呪いだろ、って思うほどに無神経に行動していた。



こいつと友だちになって後悔したこと3位には入る。



ちなみに、一位はすべての手柄がこいつのものになるところ、二位は何回も説明しないと理解しないところ。



4位は.......

『なあ、今失礼なこと考えてなかったか。』



ちっ、勘のいい。



こいつは救いようのない馬鹿でアホだが、そういうやつほど勘がいい。



「そんなこと考えてないよ、失礼だな。ただ、お前と友だちになって後悔したこと100選を考えてただけだ。」



『そんなにあるの?!』



「まさか、自覚してなかったのか?」



『ああ』



さす犬。



自身の至らないところさえ考えようとしていないのか、それとも考えても気づけるほどの知能がないのか。



「まあ、話を戻すが、学園長が依頼を出すように説得するが、俺の【探偵】は言うべきだと思うか?」



『言ったほうがいいんじゃないか?そうでもしないと学園長を説得できないだろ』



といった感じで、打ち合わせをし、次の日、学園長を説得。能力のことは信じられないだろうなあ、と思っていたが、かなりすんなりと信じてくれた。



こんなでこの人大丈夫か?とも思うほどの早さだった。



ということがあり、学校内で個人的なことを相談するのは少しためらわれる、という学園長の要望で、休日に、喫茶店で詳しいことを聞くことに。



結構ギリギリに着くことになり、全力で自転車をこいでしまったせいで、汗だくになり、服装もだらしなくなった。



なぜ、もっと早く止めてくれなかったのか、と犬飼を呪いながら睨んでおく。



気を取り直し、階段を下り、半地下、とでもいうべきところにある喫茶店の扉を開き、中に入る。



そこは、いかにも古めかしい、しかし、どこか新鮮な、レトロな内装に、重厚感のあるアンティーク調の家具が並ぶ喫茶店だった。



あまり、賑わってはいないが、そこがいいところなのだろう。落ち着きのある、犬飼とは真逆の人種がチラホラと座っている。



雰囲気に呑まれた犬飼を引っ張り、いかにも、といった風貌のマスターに尋ねる。



「すみません。黒咲さんと個室を予約していたのですが...」



「ああ、黒咲さんのお連れさんかな?」



「黒咲さんなら、この通路の一番先の部屋にいるよ。」



マスターにお礼を言い、個室に入る。



すると、そこには、見慣れた学園長と、もう一人。


黒咲華奈。

学園長の一人娘。



黒髪ショートボブに学園長のタレ目とは対象的なキリッとした目元。



少し砕けたように着ているパーカーは、やけに様になっている。



まあ、正直言って美人だ。



そこは文句のつけようがない。



しかし、そんな美人な黒咲は、現在、思いっきり眉間にシワを寄せており、嫌悪感が漏れ出ている。



これが俗に言う、”美人が台無しだ”というやつか。



この表情をみればどんなアホでもわかるが、どうやら、当の本人は、俺達に依頼するのが嫌だったらしい。



「ねえ、お父さん。依頼したのってこいつ?なんでこいつに依頼したの!私やめてっていったよね!」



開口一番が、挨拶ではなく、罵倒混じりの拒絶とは、なかなかに失礼だな。



ん?





「こいつら」じゃなくて、



「こいつ」って言わなかったか?



まさか...いや、無い無い。



「なんで、こんな無神経な奴に。こんなアホに依頼しても、何も変わらないわよ。」



そこは同感だ。



なんだ、意外と話が分かるじゃないか。と、俺は親近感を覚えて、少し好感度がアップしたのだが、犬飼の方はそうでもないらしく、明らかに不満顔だ。



「おい、開口一番にそれは失礼じゃないか?それも、まだ初対面なのに。」



そういうと、黒咲は、より一層、シワを深く刻んで、強く言った。



「初対面じゃないわよ!」




「「「えっ!」」」




衝撃の事実。



当の犬飼も、覚えていないらしいが、この様子を見ると、少し話をした程度の関わりではないだろう。



犬飼は、何をしたのだろうか。



そんなことを考えていると、犬飼が口を開いた。



「なあ、どういうことだ。俺って、そこまで言われなきゃいけないことをしたのか?」



少し困惑気味に、犬飼が尋ねると、黒咲の表情が険しく、少し、悲しさも混じったような顔で犬飼を睨み、立ち上がる。



犬飼は、呆気にとられて、顔に困惑の色が浮かぶ。



「な、なんだよ....」



その態度が、彼女の地雷を踏み抜いてしまったのか、目に涙も浮かべて、犬飼の右頬を打った。


そして、そのまま、個室から飛び出していき、

あとには呆気にとられた俺と学園長、そして、痛みがまだ残ってる右頬を抑える、犬飼が残った。


今回からストーカー事件編です!楽しく読んでもらえるかはわかりませんが、できれば楽しく読んでいただけたら幸いです。

そして今回から主要人物の黒咲華奈【くろさきかな】が出てきます。

これからは黒咲の犬飼に対する反応も楽しめるようになります!もしその反応で少しでも笑ってしまったら僕らの思う壺です。

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