事情聴取
今回は一か月すぎる前に出来たので少し早めの投稿になりました。よろしくお願いします!
『..なるほど、それで様子がおかしかったのか。』
家に帰ってから、ここ最近の自分に起きたことを、犬飼に話した。
ちなみに、理解するまで五回くらい説明する羽目になった。
『お前は一年前で、一回死んで、現在にタイムリープしたんだな』
「死んだのは、今から1年後だがな」
流石犬飼。
まだ微妙に理解してなかった。
『そうか。それって.....』
まあ、こいつの性格上、俺が一度死んだってのは、少し堪えるかもと思っていたが、俺はもうあんまり気にしてないし。
余計な気を使わせるのはなあ。
「あーー、大丈夫だ。今は気にして
『めっちゃ熱い展開してるじゃん‼』
まじかよこいつ。
親友が殺されたって聞いたリアクションじゃないだろ。
「流石にそのリアクションはどうかと思うぞ。本人の前で。」
『ああ悪い。けどさ、お前もあんまり気にしてないだろ。』
「...まあそうだな。」
こいつアホの割にこういうところは鋭いんだよな。
だからモテるんだろうし。
せめてもう少し頭があれば文句無しだったんだが。
「それにしてもあのリアクションはひどいだろ」
『まあまあ。で、その能力ってのはどんななんだ。ビームか?念動力か?もしかして身体が伸びるのか?』
「クロスワードのとき発現したって言ったろ。そのとき発現したら、さすがのお前でも気づくだろ。」
『ああ、確かに。あれっ、今さらっと馬鹿にした?』
「とにかく、俺が発現したときは、わからない言葉が分かるようになった」
『つまり、....どういうこと?』
「多分、検索みたいなものなんだと思う。検索項目と色々なキーワードと条件なんぞを設定して、使用したらその情報が脳に流れ込んでくる感じ。」
『へえ、それってどのくらいまで調べられるんだ?』
「大体全部。未来のことじゃない限り、この世の全てが調べられるんだと思う。」
『そういうのって、人に対しては使えなかったりするんじゃないのか?』
「ぜんぜん使えるけど、それより問題があって。」
『どんな?』
「条件を絞り込まずに使ったら情報量が多すぎて脳がパンクする」
『なるほどなるほぞ.....どういうこと?』
「つまり、無量〇処を受けた漏〇みたいになる。」
「えっ!!首がぶちってなるのか?」
「なんでそこまでいくんだよ。あれあれ、0,2秒のやつ喰らった一般人の悪化版」
『はあはあなるへそ。理解理解』
「今日の帰りのとき、試しに猫について調べてみたら、猫の起源から今までの進化、現在生きている猫の情報まで流れてきた。途中でやばいかもって止めたんだけど、やってなかったら死んでたかも。それでも効果は抜群で、疲労感からしばらく動けなかったくらい。」
『自分の能力で勝手に自滅とか面白いな。採用!」
「何に採用するつもりだ!」
こいつ、優しいと思ってたが、今まで猫かぶってたんじゃないかってくらいひどいこと言うな。
「まあ、この能力使って能力について調べたら、意外と色々持ってたみたいで」
『持ってたって何を?』
「の、う、りょ、く!まあ、持ってたのが、検索、演算能力向上、記憶力向上、観察力向上などなど。」
『縁談能力って何?』
流石にムカついてきた。今までは賢いフリでもしてたのだろうか。
それでもアホだったのだが。
「それで、この能力を【探偵】と名付けることにしました。」
『安直すぎだろ。俺ならもっとかっこいい名前にできる。」
信頼できる要素皆無だが、一旦聞いてみる。
「例えば?」
『そうだなあ。」
そして、しばらく間を置き、指を鳴らし、エコーがついてきそうな声でこう言った。
『【星
「却下」
『判断が早い!エコーくらいつけさせろ!』
「いや、予想つくから。どうせ、【星核の眼】とでも言うつもりだろ。」
『違うわ。お前俺を何だと思ってるんだよ。そんなダサダサな名前はつけない』
すると、犬飼は、またもやじっくりと間を置き、指を鳴らしエコーのついてきそうな声でこう言った。
『【星絨の聖書】』
しばし、沈黙が流れた。
「そんなことどうでもいいから。これからのことを考えていくぞ。」
『....オー』
「まず、あの爆弾魔は何なのか、だが、いかんせん情報が少ない。この状態で能力を使ったら、犬飼の案が本当に採用されてしまう。」
『俺の案って何だよ』
「お前が『面白いな。採用!』って言ったんだろ」
思い出しているのか、しばらく静かになるが、すぐに打ち破られた。
『言ってない』
さす犬。
ついさっきのことも忘れてしまうとは。
「まあ、とりあえず、俺は能力を使って調べていくから」
『分かった。何かあったら知らせる。』
その日はそのまま終わった。アホだし、無神経だが、いい親友をもつことができた、とその頃までは思っていた。
次の日、能力をいろいろ試していると、いつの間にか放課後になった。そしてさあ帰ろうと靴を履いていると、
犬飼が来て
「すまねえ永和!ちょっと手伝ってくんねえか」と言い出した。
なんでも、同級生の猫が消えたらしく、意気揚々と探し出す。
とはいったものの、どこに行けばいいのかわからない。
ということで、能力を駆使し、手伝ってやると、意外と簡単に見つかった。
このあたりから、犬飼が人助けを積極的に行うようになった。
それはいい。
あいつはそういうの喜んでやるタイプだ。
正直、そういうの向いているとも思う。
しかし、こいつに困りごとを解決できるほどの知能があるのか?と、疑問に思ってたら、当たり前のように俺も一緒になっていた。
まあ、俺は趣味に時間をあんまり使わないから困ることはなかったんだが、何故か、俺が解決したのに、全部犬飼の手柄になっていた。
どれだけ頑張っても、走り回っても、脳を酷使しても、全部犬飼の手柄。
こいつを手伝ったことを何回か後悔した。
犬飼も「俺じゃなくて」と、弁解してたんだが、なぜだろうか。
やっぱり顔か?
顔なのか!?
まあ、手柄が全部犬飼のものになるところ以外は楽しかった。能力もうまく使えるようになったし、人と話すのも楽しかった。
お礼と称してアイスや菓子、お金をもらうこともあった。日々を過ごしてしばらく経ち、犬飼の名前は学校外まで広がった。
だがなぜか俺の名は同級生にすら浸透してなかった。
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〔注意〕途中のさす犬とは「さすが犬飼」の略称です。




