プローログ
今日は待ちに待った文化祭がやってきた、(いやーやっとか)と思っていた俺は、いつも通り電車に乗っていた、そんな時、前の車両がいつもより、いや、なにかが起きたかのように騒がしい。
(なんだ?)と思ったら俺は前の車両に行って見ることにした。
そこには、いかにも物騒なもの(爆弾らしきもの)を持った一人の大学生くらいの青年?が電車の前に立っていた。
『今からこの電車を爆破させていただきます』と、青年は言ったようだ。
そしてそれを聞いて乗客はその青年の手に持っている物騒なものを見て、
[何だおもちゃかよ]という声をあげている。
それも当然だ。
その青年が持っている手榴弾のようなものは明らかに小さすぎる。
しかし俺は彼らのようには思えなかった。
本当にいたずらならもっと手の込んだものを持ってくるだろう。周りが混乱するのが見たいなら、おもちゃだとすぐわかるような安物を持ってこないだろう。
騒ぎが大きくなるのを怖がっただけかもしれない。
しかし、俺の勘がそいつは普通とは違うと、イタズラで終わらずに、なにかとんでもないことを起こそうとしている、と警鐘を鳴らしていた。
(とりあえず、電車を止めー)
そう思った矢先にその男はピンを抜き、そのままミニ手榴弾を前方の運転室に投げ込み、爆発させた。前方の窓ガラスが割れ、運転室の方から男性の悲鳴が聞こえた。
少し間をおいて隣のやつが倒れた。飛び散った破片がどこかに直撃したらしい。
痛そうに顔を歪ませおり、うめき声がもれている。
周りの奴らも破片によって怪我をしたらしく、阿鼻叫喚という言葉がすぐに浮かんできた。
初めての状況に俺は動揺を隠せなかった。
(なんでこんなことに。)
強い後悔の念とともに、こうなった原因を考える。
5日前
「なあ永和」
昼休みに自分の机で本を読んでいたら、後ろから妙に親しげな声が聞こえた。
「なんだ犬飼」
本を読みながら尋ねる。犬飼利通。自称俺の親友。茶髪センター分けの身長高めのイケメン。とてもモテるが彼女はいないらしい。
昔、こいつの秘密を知った後、ちょっとしたアドバイスをしてやると妙に懐き、俺の親友を自称するようになった。
そいつが今はじっと俺の顔を見ている。
「なんだよ」
「いや、お前はずっと親友のことを苗字で呼ぶんだなと」
「別にいいだろ。親友だってお前が勝手に言い出しただけだし。」
「冷たいやつだな」
「で、何のようだ?」
「お前、〜〜〜中学校の文化祭行く?」〜〜〜中学校。全校生徒90名と少めだが、運動部は毎年のように県大会へいくような選手が現れるらしい。
その学校の文化祭が毎年評判がよく、いつか行ってみたいと話していた。
「まあ、一回ぐらいは行ってみようかと。最近、勉強ばっかで気が滅入ってたし。」
「ちょうどいい、俺も今年行ってみようと思っててな。一緒に行かないか?」
「いいけど、俺とお前の家ってその中学に行くとき反対方向になるよな。その中学を挟むようにあるから。」
「そうだよなぁ。やっぱり現地集合かぁ。」
犬飼が酷く落胆したように呟き、俺の机に突っ伏す。
「可哀想に。相談に乗ってやろうか?」
「せめて本を読むのをやめてから言えよ。」
なんでそんなことをしなきゃいけないんだ?と思ったが、うざ絡みが長くなるだけと気付き、黙っておいた。
その日は取りあえず、5日後の土曜、9月13日に〜〜〜中学校で現地集合となった。
意味もなく、こんなことを思い出してしまう。
今になって思い返すと、あいつとの煩わしかったやり取りも、酷く懐かしく感じていしまう。こんなことを思い出しても、現状が解決するわけではないが、後悔せずにはいられない。
俺は現実逃避の誘惑を振り払い、どうすれば助かるのか考え、再度、電車を止めようと動きだす。
しかし、俺のそんな行動を嘲笑うように、その男が、割れた窓ガラスから、いつの間にか持っていたダンベルのプレートのようなものを外に投げ込んだ。
しばらくすると、急に電車が浮かび上がり、電車が脱線した。なにか近くのものに捕まろうと周りを見渡したとき、それを見るとあまりの衝撃に頭が真っ白になった。
(は?)
先程の男が、明らかに俺の目を見ながら、こちらに先程よりずっと小さな、ピンポン玉より一回り大きい程度の手榴弾のようなものを投げてきたのだ。三回ほどバウンドしながら、転がって来て、動けない俺の足元で爆発した。
その爆発は、先程とは比較にならないほど規模の小さなもので、俺の意識を奪うことすらできなかったが、俺の足を壊すには十分すぎるほどだった。
そのせいでバランスを崩してしまい、まともに立つことすらできず、あまりの苦痛に、まともに考えることもできず、そのまま電車は、目の前の建物に突撃し、俺の意識は途絶えた。
俺はベッドから飛び起きた。あまりの恐怖と動揺によって俺はしばらく何も考えられなかった。
(今のは何だ。)
普通の夢にしては妙にリアルだった。
足を爆破されたときの痛みは、夢のそれじゃなかった。
(どういうことだ?)
こんな悪夢を見せられたら、ベッドは汗でビショビショじゃないかと心配して確認してみるといつもと同じくらいだった。明らかにおかしい。あんな内容の夢を見せられ、起きてすぐ、冷や汗が流れてきたのに。そう疑問にを思いながら、テレビをつける。
『〜〜月曜のゲストは〜〜さんです』
(は?)頭を殴られたかのような衝撃に襲われた。
連載はじめました
なるべく毎月一話投稿しようと思います。
もし永和と犬飼の会話が面白いと思って頂いたら幸いです。
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