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デート了承
本来であればデートと丸わかりなお誘いメールが来た場合、対処法としては適当な理由でお断りするのが基本。
しかし沙也加たちにメッセージを見られてしまった。こうなると向後からのお誘いを了承する他に選択肢はなかった。
わたしが『了解』のスタンプを送ったと同時に沙也加たちはジョホールバルさながらの歓喜を見せた。わたしが向後とデートに行くのがそんなにうれしいのか。女子には他人の恋愛を応援したくなる習性があるとはよく聞くが、果たしてそこに生物学的根拠はあるのだろうか。
そこからその日のランチはどうやって向後を落とそうかという話題にシフトチェンジ。そこにわたしの意向や考えが加入することもなかった。わたし以外の人間が勝手に盛り上がっている様はひどく滑稽にさえ見える。
いくら相談したところで、わたしの気持ちが固まらなければ何も始まらないというのに。
この時のわたしは、そう思っていた。