ライングループ
その夜、三人のライングループを作った。内容に見合わない多くの文字数を送信し、使いどころを絶対に間違っているスタンプを連発し、ただただ充電を減らすだけのたわいもないやり取りだったが、何日後かに見返せば多少の感慨深さを覚えるだろうトーク履歴を作ることはできた。
途中、恋バナになりそうなところで、高橋名人を彷彿させる十六連射でスタンプを送り付けてそれをかき消したのはわたしのファインプレーだったと思う。今はあまり恋という単語に触れあいたくない。
しかし、テレビで華やかな印象を与えるあのアイドルもその辺の女子と変わらない人間なんだなということがラインのやり取りからもよく分かる。努力が嫌いで、先輩が苦手で、お金が欲しくて、遊ぶ時間も欲しくて、一人が寂しく、かといって構われすぎるのは面倒で、将来のことに頭を悩ませて、いっぱしに好きな芸能人もいて、そして人並みに恋愛がしたい、そんな女の子だということがよく分かった。
今まで培ってきた偏見がつぶされた。しかし、爽快だった。この世界にいる人は誰しも、悩んだり悶えたりする運命なんだとそう思えた。そう思えたことがわたしにとっての成長なのかは定かではない。だが、確実に人との出会いがわたしの何かを変えた。
こんな出会いがある大学ってのはもしかしたら意外に面白いところなのかもしれない。