7話
小春とやり取りした次の日、悠太は再び大学へと講義を受ける為に家を出た。
玄関先ではタロが伸びをして気持ちよさそうに眠っている。
いつものように数駅電車に乗りやって来た大学の門
この間と違い、もうサークルや部活の勧誘している人間はおらず静かなものだった。
中庭では何人かがベンチに座り会話を楽しんでいる。
自分もその中に混ざりたいかと聞かれたらそうではない、と自分では思う。
こないだと違い今日は新しく初めて見る講義の教授。
既に教室に居る人も居たりして同じ新講義でも違うんだなと感じる。8割くらい教室が埋まると教授らしきおじさんが教材を小脇に抱えてやって来た。
歩く身体の揺れと釣り合わないように頭の上が前後左右不規則に揺れている。あちこちでヒソヒソ声が聞こえてくる。ここの大学はヒソヒソ話すのが好きなのか?
悠太からも不自然に見えたが他人の、しかもこれから卒業までどんなに関わるかわからない人間の怒りを買うような、寝ている猫の尻尾を踏むような事はしたく無いしするべきじゃ無い。と1人無表情無反応を貫いた。頭髪はともかく教授の話す事は丁寧でわかりやすくかつ今の時代に合わせた説明も織り交ぜてわかりやすかった。人は見かけに寄らないものだなと思った。
講義が終わると何やら女の子を教授が手招いている。
悠太は自分の荷物をカバンにしまいつつその様子を横目で伺っていた。
その教授は怒鳴ったりせず、自分の頭を指差して笑いながら手を差し出して女の子に握手を求める。
女の子もまた苦笑いを浮かべつつ手を差し出して握手した。その女の子の顔をよく見てみるとメガネをかけているが明らかに清水小春だった。
教授はポンポンと小春らしい女の子の背中をポンポンと軽く叩くとその場から立ち去った。
小春らしき女の子は自分が座っていた席に戻り広げていた荷物をカバンにしまいこむ。
先回りして待とうと思った悠太は肩にカバンをかけ教室を出たところの壁に背中を預ける。
壁に背中を預けながら手持ち無沙汰にスマホを触っているとドアが開いて
「あ!悠太さんもこの講義いたんですね?」
やはりメガネをかけて前髪の一部を三つ編みにしているがさっき見た通り清水小春だった。
「この講義の教授、それなりに有名だろ?だから受けて見たくって。小春さんはなんで最後呼び出されてたの?」
小春は苦笑いしつつ
「いやぁ、お恥ずかしい話ですけど悠太さんにぶつかった時の前にすれ違ってあた・・コホン頭髪の一部が取れたのがさっきの教授だったんですよ。わからないかな?と思ってメガネと家族に頼んで三つ編みもして来たのにバレちゃいまして タハハ」
そう言いながら自分の三つ編みの部分を何度もさすった。
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本編のストックはまだまだありますが諸事情により今回をもって更新を一旦停止させていただきます。申し訳ありません。次回更新は未定です。