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帰還した魔王は地球を侵略ス!!  作者: ナイム
異界侵攻

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1/13

プロローグ

久しぶりになろうへ投稿します!

別サイトで公開していた物を移動してきた物になります

楽しんでいただけたら幸いです!

「お気持ちは変わりませんか?」


 天空を突き刺すようにそびえ立つ、魔王城の魔王の執務室。

 そこで必要な仕事を片付けた俺に向って宰相にして右腕でもある、額から立派な角を生やし炎のような真紅の髪を流した女悪魔が聞いてくる。


「あぁ…俺はこうするべきだと思い。そして多くの犠牲を出しながら貫いてきたんだ。今さら引くことは許されないし、する気もない」


 もう何度もしてきたこの問答。だが、それも最後だと言う意思を込めて俺は強くいい放つ。

 そんな俺の様子に確認してきた宰相は諦めたように溜息を吐いて、ジトーっとした視線を向けて来た。


「偉そうな事を言っても、主目的は娯楽や食べ物ですよね?」


「…ちょっと何のことかわからないな」


「多大な犠牲ってかっこつけてますけどけが人が数人出た程度、重症でも魔力切れや過労なので休めば明日には回復しますね」


「ほら、けが人は出ているわけだから嘘ではないし…」


「実は私室を掃除していたメイド達からこのような物が…」


「ちょっ⁉」


 宰相が取り出したのはこの世界では製造されていない地球製品の青いノート。ただこれの何が問題なのかと言うと、そこには俺の名前である黒野(くろの)月都(つきと)はっきりと日本語で書かれていて持ち主が誰か一目でわかってしまい。

 何よりも問題なのがその内容だった。


「なんで、それを持っているんだ?」


「先ほども言ったようにメイド達が見つけて私に『なんて書いてあるかわからないのですが、重要な物だと思うので』と言って渡してきたのです。いや~良い部下を持ちました」


「なんてことを…」


 確かに内容は読まれても大丈夫なように、この世界の者が読めない日本語で書いていた。でもよりにもよって、なんで日本語のできるこいつに渡してしまうんだよ⁉…終わった。いろいろと終った。


「……すみませんでした。作戦は中止「する必要はないですよ?」…え?」


 中止すると言おうとした俺の言葉を遮ったのは予想していない言葉だった。え、こいつ今『中止しなくていい』っていったの?なんで?散々文句ありそうだったのに許可してくれたんだ。

 そんな風に俺が不審に思って何か裏があるんじゃ?と警戒していると、俺の様子が面白かったのか急に笑い出した。


「ふふふっ別に不思議がる事は無いでしょう。私も元は日本人で、我々の中にも地球出身の者は多くいるんです。そう言った者達の話しを聞いた者達も地球の文化には興味津々ですから。例え目的が()()()()だとしても、話に聞いていた面白い場所に行けるのなら誰も反対はしませんよ」


「そう言う事は、もっと早く言ってほしかったんだが…」


「言ったら面白くないではないですか」


「おまえはその性格を直せ鈴鹿(すずか)


「それは失礼しました。…あと今はルージュですよ?魔王・ノワール様」


「はいはい、今後は気を付けますよ~」


 そう俺達は地球での名を一度捨てた。過去を忘れ、この世界で生き抜くために地球での思い出は俺達にとって足枷になると判断したからだ。

 今でもその判断は間違っていないと思っている。名を捨てることを拒否した者達は過去に捕らわれ、地球の感覚を残したまま戦い死んでいった。ここは殺伐とした闘争の世界()()()


 以前までは本当に酷い世界だったのだ。人を助ければ裏切られて背後から殺され、物乞いに金を恵もうとすれば他の物乞い達に袋叩きにされて有り金を奪われ、そんな事が日常のような世界では地球のように善意的な行動はまさに命取りと言えた。


 だから比較的平和だった地球の頃の感覚は邪魔だった。正義感も道徳もすべてが俺達にとって命を脅かす存在となっていた。だからこそ俺のように名を捨てて、同時に地球での思い出に別れを告げる者が出たのだ。


 そうして生き残った俺達は一致団結して世界を征服した。本当はもっと細々といろいろあったが、すべて話すと長くなるので気が向いたら話そう!と言う事で世界を征服し、法律やルールを徹底した事で世界には平和が何とか訪れた。


 ただそうなると今度は捨てたはずの地球に思いを馳せるようになってしまったのだ。楽しかった思い出、美味しい食べ物、無数に存在する娯楽にetc.とにかく楽しい事で溢れていた。

 それを一度でも思い出してしまえば帰りたくなるのが人情と言うもので、元地球人を中心にして協力し合い長い年月をかけ地球への帰還方法…ではなく地球とこの世界を行き来する方法まで見つけることに成功したのだ。


「なんで、そこで帰郷ではなく侵略になったのかはいまだに謎ですけどね」


「まぁこの世界で築いた平和を見ると、地球はまだ平和とは言えないからな。それを認識すれば俺達の取れる方法はこの世界での経験を生かした方法だけだろ?」


「そう言われるとそうですけど…」


「まぁ気にするな。とは言わないが、気にしすぎるのは体に悪いからやめておけ。それよりもゲートの方の準備は?」


「万全です。いつでも起動可能です」


「わかった。なら行こう」


 これ以上話す事もないので俺は最後の確認をして席を立つ。その後をルージュはついて来て向かうのは魔王城前に設置された巨大な門、世界間を繋ぐゲートその先にあるのは懐かしき我らの故郷である地球だ!

 向かったゲートの前には配下となった様々な種族達が整列していて、その中央を進みながら俺は話し始める。


「皆の協力に感謝する。おかげで我らは目的を達成する事ができる」


「これから向かう場所に対して皆の思いはいろいろだろう。始めて行く世界に興奮している者、久々に帰る故郷に速く行きたいと望む者と望みは様々だろう。だが目的だけは1つだ…これから向かう地球にはまだ、この世界のような平和は存在しない」


「差別や紛争なども存在している。もちろん我らは遊びも目的だが、そのついでにもう一度…世界を支配してみようではないか‼」


「「「「おぉぉぉぉ~~~~~~っ!」」」」


 ゲートの前でちょうど言葉を区切って振り返って宣言すると、集まっていた者達が雄たけびを上げる。

 皆が望んでいるのは強い魔王。絶対的強者にして、独裁的であろうと大きな争いのない世界を築き上げた魔王を望んでいるのだ。

 そして俺も自分をそうあれ!と思って常に生きているし、なによりもそう生きて来たのだ。今更生き方を変えることが出来るはずもない。


「おまえ達の声は確かに聴いた。ならば我らのやる事はただ一つ!!」


 そう言って俺は一歩前に踏み出てゲートを押し開いて全力で宣言する!



「さぁ、本当の平和を俺達のやり方で教えてやろう!」



「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉ~~~~~~~~っ!!!!」」」」」」」」」



 最後の俺の宣言に合わせて空気を震わせるほどの歓声が後ろから聞こえて来た。

 そんな声を背に受けながら俺はゲートの向こうへと進み出す!これが大いなる魔王の侵略の始まりの一歩となるのだ。


「ずいぶんなもの言いですけど、一番の目的はゲームですよね?」


「おまえは少し空気を読め!」


 そうして最後の最後で空気を読まないルージュの一言で締まらない感じになったが、俺達は懐かしき故郷の地球へと向かうのだった。

 ……でも、頼むから最後くらいはカッコつけさせて欲しかったな。


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