姉様が結婚
(父様、フロレンティアを下さりありがとうございます。ただ、今すぐには、参れません。
少し・・僕が青年になるまで、待ってください。)
(何故じゃ。もう彼の地は、始まったのじゃぞ。統べるもの無き地は、どうなるか判らんのだぞ。父の命に従えぬと申すのか。)
(申し訳ありません。ですが、今の僕では、何も出来ません。見守るだけでは、何も弱きものも、力無きものも、助ける術がないからです。
僕の力の強大さは、自分でも感じてます。
だから、僕のドラゴン逹を使い助ける手段にしたいと考えます。)
(おまえのドラゴンだと!あの暴れ放題のやつらをと?)
(はい。僕には一番の友で僕の創った子達です。
ドラゴン逹を進化させる時間を、どうかお願いします。)
(・・・)
(父様、フロレンティアは、私達が少し始まりのまま留め置くよう力を尽くします。どうか虹にチャンスを与えてあげてください。)
(絶対王さま。私からも、お願い申し上げます。レイシャ様と力を合わせ留め置きます故、虹さまにお時間を。お願い致しまする。)
(レイシャ、デュシ・・
すまぬのう。宜しく頼む!
虹の事となると我等は、ハァ~、甘い。甘くなってしまうわい。
・・・虹、しばらくすれば、お前は青年神じゃ。それまでのフロレンティアの事をよくお前の
姉と義兄に頼むと良い。話せて嬉しかったぞよ。)
父様との話は終わった。僕は時間がない。
頑張らねば。
???義兄?
(姉様、もしかして、デュシ様と
けっ、けっこん・・なさるのですか?)
(バカ虹輝。なさるじゃなく、結婚したんだよ)
(ヘェ~~、兄様、どう言う事ですか?
僕、何も聞いていませんがぁ。)
(ごめんなさい、虹輝。
虹が、ドラゴンを創ってる頃、私しばらく居なかったでしょ?結婚の準備をしていたのよ。
戻って話すつもりでいたのに、軍団の騒動ですっかり忘れていたわ、アハハハハ)
(アハハハハじゃないですよ、姉様!
デュシ様も、教えてくださればいいものを)
(すまないねぇ。レイシャが、自分で虹には伝えたい。と言うものだからね。)
(そうですかって、僕の事、こう ってお呼びになられました、よね?デュシ様)
(あっ、すまない。輝龍)
(違うんです。僕の家族、大好きなデュシ様が
僕の家族なんだって、こう って呼ばれて実感して、というか、とにかく凄く嬉しいです。これからも、絶対、輝龍じゃなく虹って呼んでくださいね。)
(虹、ありがとう。俺の義弟)
(デュシ様、義弟でなく、弟にしてください。
実の兄様より、兄様らしいのですから(笑))
(虹、おまえ、兄様をなんだと思ってるんだ。
おまえに色々教えてやっただろうが。)
(エェ~、知識はですがねぇ、僕の命を吹き込む、とっても大事な創造は、誰が教えてくださったのでしょうかねぇ、兄様(笑))
(俺も教えただろうが。おまえは、難しいんだよ。パワーバカだからな。俺は繊細な作業は苦手なんだよ。)
(まぁまぁ、私の夫を慕い褒めてくれるのは、
とっても嬉しいわ。
兄様よりデュシは素敵でしょ、虹(笑))
(はい、姉様(笑))
(もう、その辺で止めてくださいよ(笑)
俺とアルの仲が険悪になってしまいますから(笑))
(アハハハハ。今更ですが、ご結婚おめでとうございます。
ところで、どうしてわざわざ結婚なんですか?)
姉様とデュシ様は顔を見合せて頰を染めた。
(虹、それは俺から教えてやるよ)
(兄様が、ですか。なんで兄様が?)
(デュシ、レイシャじゃぁな)
兄様は姉様達との話を終らせてしまった。
(ここからは、直に話そうな)
「兄様、神の恋愛は僕にはわかりませんが、
大好きでも、恋愛のままで、
結婚されない神々もたくさんいらっしゃいますよね。兄様もそのお一人で」
「うるさい、バカ虹輝。俺の話はいい。
神々は、好きな時に好きな相手と
恋愛しているものが多い。
神の恋愛と言うのは、体の繋がりを持つ事、
つまり快楽と得ると言うものだ。
誘われその気になれば快楽を分かち合うだけ。
これは、なかなか楽しいぞ。
で、結婚は、恋愛の1つ上の次元になる。
結婚すると宣言すれば、
普通は結婚している者を誘いにくいし、
結婚相手を自分に束縛する事もできる。
つまり、結婚とは、互いに互いしか見ないと、
当事者同士がお互いを束縛しあい、
他者を寄せ付けないでおこうとする行為とも言えるんだ。
まっ、なかには結婚しても、違う相手と繋がり合うものも多々あるのだが、
一応、結婚は契約の神の承認を得て宣言するもの
だから、契約を破られた方がその旨、
裁きの神に訴えれば、それ相応の罰がくだる事になる。」
「結婚しても、違う相手がよくなったら、
結婚の契約を破棄して貰ってから、
違う相手と繋がり合えば、いいのではないですか?」
「そうなんだが、破棄するのは
双方の合意と、関係する神々の後押しもいる。」
「えっ、自分達の気持ちだけで破棄出来ないのですか?」
「結婚するときに、ほとんどの神は
互いの統べている地を統合したり、
連動させたり、自身の持つ力も
夫婦で共有する契約までしている夫婦もいる。
そんな準備を終えて結婚するんだ。
レイシャも準備をしててと、言ってたろ。
夫婦を辞めるとなったら、
それらの契約をどうするのかが、問題になる。
元に戻そうとなれば簡単だがな、
難しいものでな。
片方が気持ちが冷めても、
相手も冷めるとは限らない。
反対に相手の気持ちが冷めてきたのを感じ
離したくないと、離さないために
契約を盾に、束縛を強め、縛り付けたくなるものらしい。
兄にもその気持ちは、まだ判らぬがな。
結婚しようと思ってした時は
互いしか考えられず、互いだけを愛していられる
と想いするのだろうけどな。
心が離れないようにと願う心が、
結婚の契約をさせるのかも知れないな。
兄には、考えられないがなぁ。」
「ホォ?何かわかったような、わからんような、だいたい、僕は、好きになるも、その感情がわからないから、束縛したいもわからないよ」
「虹には、まだ早いかもな(笑)
だが、結婚は、安易にに決めてはならない。と
心に止めておこう。互いにな(笑)
でな、結婚の最終次元は、番事なんだ。
番うと、やり直しは出来ない。
つまり、別れる事は出来ないんだ。
兄的には、デメ(デメリット)だが
番った相手以外とは繋がれなくなる。
神々は、寿命がない、永遠とも言える。
永遠に気が遠くなる未来をも、ただ一人の相手のみ。なんて、考えたくもないわぁな。
それに、番相手の考え、喜怒哀楽、痛み苦しみ全て共有してしまうんだ。ゾッとするだろ?
メリットは、そうだなぁ
まずないが、命を落とすような怪我を追ったとしても番った相手と命のやり取りが出来るから、
一緒に命を落とさない限り、心配はない。
って事かな。
あっ、それと番なくても、
神々は体の繋がりででも、創造主としてでも、
自分の子を作れるが、
番って出来た御子は、特別高貴な子と尊厳を賜るし、実際特別な力を持って生まれてくるんだよ。
俺は叡智に優れ、
レイシャは、創造、癒し、に優れ
虹、おまえはパワーだ。
前代未聞、溢れて止まらぬくそ力(笑)だからな」
「くそ力って、ひどいなぁ。
えっ?もしかして、父様と母様は、
番われているのですか?」
「そうだよ。(笑)凄いだろ」
「そうなんだ。
兄様は、結婚も番事も、考えてないのですか?」
「ウ~。面倒だから、考えない。
そうしたいと思う相手もいないしな!」
「兄様、僕にもそんな相手出来るのかな?
って、その前に、恋愛するのかな?」
「虹、恋愛は、うん、体の繋りだからな、
大人になればしたければ、出来る。
兄はおまえ位にはもう、してたがな。
ハハハ。気にするな。」
「気にするなって、それも意味がわかんないけど、まっいいか。」
それから、僕は僕のドラコン軍団を進化させることにした。
勿論、僕一人では、難しく、
兄様の知恵を借りなんとか成功させた。
僕のドラコン軍団は、僕と共に体も成長し(最大20m)性格は従順そして人間と言われる種族のように自分で学び考え感情も持つモノになった。
普段は体の維持が楽なように僕ら神と似た姿、
(人間と言われる種族もそうだが)で、
必要に応じ龍となるように姉様が手伝ってくれた。
そして、ドラゴン達には、僕の血を分け与えた。
与えすぎると殺してしまう為
デュシ様が細心の注意を払い、数滴流し込んでくれた。
これで、僕とドラゴン達には本当の血の繋がりが出来たのだ。
ここで、僕は姉様の結婚で考えた事があった。
僕のドラコン軍団も、いずれか、増えるだろう。
なんせ、神に似せた人型のドラゴン。感情も知性もあるドラゴンもとい、龍人になったのだから、
恋愛とか結婚とか番とかしたくなるんじゃないか
その考えも彼等の基に埋め込む事にしたのだ。
僕とドラゴン達は、どんどん成長した。
そして、僕は増えたドラゴン達に知識を与え
小さな王国を造った。
才能に応じ、ドラゴン(龍人)達は王国で仕事をしている。
知能に優れるものは、治部(王国を運営する部)に
体力に優れるものは、闘部(王国を守り闘う部)に
心優しく、忍耐強いものは、生産部(王国を住みやすく整える、生産や、側使え、等)
に当人の希望も考慮され分けられ、
王国では皆、生き生きと暮らしている。
仕事に就けるようになると、
皆、王である輝龍に忠誠を誓う。
その瞬間から、輝龍は彼等の主となり
王となり、彼等から輝龍王と呼ばれる事になる。
これは、最初のドラゴン軍団だった10匹が
(今は、賢騎士と呼ばれ尊敬されている)
王国を造るとなった時、
輝龍に改まって忠誠の儀式を願い出た。
我等は輝龍様に、生涯の忠誠を誓う!
我等の血を以て宣言する!
と、杯にそれぞれ自身の血を垂らし
虹輝も自身の血を1滴垂らして交ぜ
それを10人の額に押しあてた。
それ以降、儀式を受けたいと申し出るものが増え続け
仕事につけるようになった時、
望むもの達には
忠誠の儀式をする、という約束がなされた。
儀式を受けるものの数も多くなり、(儀式を受けたくないものが、誰一人として無く)
時期もばらばらである事から、
望まれる度に儀式を授けていては効率が悪い。
儀式の時期を定め、
血の儀式も虹輝の前で
血を交ぜ合わせ(儀式参加者と虹輝の)
それを最初のドラゴン軍団(賢騎士)が
参加者の額に押し当てるようになった。
王国では、治部と闘部は交代で、
規律は厳しいが(賢騎士の管轄の為)
生産部より側使えが付き、身の回りの世話をしてもらえる
生産部は堅苦しくない、ふんわり、のんびりした
仕事のやり方で、多くのものが、生産部に就いている。
王国が、軌道に乗ると、
思いもしなかった問題?が起こった。
龍人達は、神に似せて作られた事と、
輝龍の血を受け継いでいる事もあり
恋愛に奔放で、子も増える。
増えすぎても、資源的にも、王国は困る。
僕は兄様達に相談した。
その考えを賢騎士達と話し合い、
各部の責任者達とも話し合い
治部に通達を出した
今後、
恋愛で子を為すことは不可
結婚すれば、3人まで、
番は、1人
とする。
(結婚契約を破棄し、新に結婚した場合でも、
破棄前の子の数は含まれる)
龍人達は、とくに生産部の者は
幾人かと恋愛してから、結婚する者が増え始めた。
反対に闘部の者達は、
じっくり見定めるように恋愛をして番、(命をかけている仕事だからだろう)
治部は、なぜか、恋愛にも消極的ものも多く
独り身も多い。
皆が、楽しく生きてくれていれば
俺も嬉しい。
大きくなっていく王国をみて、
虹輝はそう思うのだった。