ここにいたい
(う~ん、なんだろう?眩しい。暖かい)
僕は目を覚ました。
(誰かの顔?)
グワングワングワン
(何かか、身体中を駆け巡るような、身体が熔けそうに、何?怖い)
僕は慌てて目を閉じた。
(命・・パワー・・物凄い・・何の事だろう。でも・・あったかい)
(・・色・・ないって何の事?)
(・・無いもの?・・・殺す?)
(・・・・ああ、これは僕の事?僕の事なんだ)
(僕は無いもの。殺す。・・・邪。・・破壊?)
僕は考えた。
(これは僕の話をしてる。
僕はいらない。邪に。破壊するもの。
どうしてかは、わからない。けど僕はそうらしい。僕はいてはダメ。ダメなんだ。)
(僕の体、フワッと浮いたけど、何かが、
誰かかぁ?支えてるみたい。暖かいな。)
(僕の手をギュッと何か柔らかくて暖かいものが
触って?握ってる。嬉しい。)
(僕の頭を撫でてくれてる?大きな・手?
誰?なんか心地いいや。)
(僕を持っててくれてるのは、これは腕?
震えて?いるのは・・重いのかな。
僕の胸にポトッポトッと暖かい水の雫が落ちてくるけど、何だろう?)
(あれ?僕の手?にも、暖かい水の雫が落ちてきた。へんなの。)
(ヒャ~、僕の額に暖かくて重い何が当たった
・・額?なんで?・・・僕のホッペにまた雫が
落ちて・・これは、何なのかな?)
(・・・・僕はいてはダメな子。何かが何なのか、わからないまま、いなくなる。・・・
仕方ないよ。いてはダメなんだから。)
僕の額から、額?が離れた時、僕は強く思った。
(知りたい!)
暖かいもの、柔らかくて僕が嬉しいと思ったもの、心地いいものがなにかを。
暖かい水の雫が何かを。
(知りたい。見たい。いなくなる前に。)
パリキシキシ
(そうじゃない。いなくなりたくない!)
キラキラキラキラ
ギシギシ パン パリッ パリン
僕は目を開けた。
眩しい光の向こうに・・・顔?が見えた。
(父様?母様?)
僕を覗きこんだ大きな綺麗な強そうな・・父様?
美しく優しそうな母様? 僕の胸がキュンとした。
(兄様?姉様?)
ちょっと恥ずかしそうな難しい顔で笑うのが
きっと兄様?
満面の笑顔で楽しげなのが姉様かな?)
僕は嬉しかった。家族?を見れたから。
嬉しくて僕も満面の笑顔になった。
嬉しすぎて、皆が何か話しているようだったけど
何を話してるのか、全然わからなかった。
気にもならなかった。
(僕は、このまま、ここにいたい。いたいよ。)