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古代エルフの記録

 SSランク冒険者 《天空の魔女》シルフは、トチギル国の奥地にあるエルフの里に帰っていた。エルフ族はドラゴン族の次に長命であり、人型の種族の中では、一番古い種族の一つである。


 長命だからか種のバランスのためか、繁殖力は高くなく生涯で子どもを産むを人数は一人又は二人まで。世界中の森には、大小少なからずエルフの里があり、一番規模が大きい、シルフの郷里は、エルフ族の里の中、最も古く、始まりの里のとも言われていた。ただ、それでも、住んでいるエルフ族は300人程度だった。


 シルフはこの里の中でも、若くして才能を開花させたエルフ族の寵児と言われ、一族の習わしによって、世界を知るために里を出て、その恵まれた才能により、SSランクの冒険者へと駆け上がった。


 本来、エルフ族は保守的な種族であり、そのほとんどが森の中で一生を過ごす。だが、それだけではなく世界の記録者としての一面もあり、古代エルフ族から現在の世界シャングリラの全てを記録してきた種族でもあった。


 そのため、シルフのような優秀な個体は、あえて里の外に出て、その時代の流れを知り、記録を残したり、世界全体を記録できるように、世界のあらゆる森に散らばり、里を作る使命もあった。


 そのシルフが今回帰ってきたのは、魔神や《最後の神判》について改めて調べるためである。ドラゴン族が代々、言伝で記録を残すように、エルフ族は書物にして、記録を残していた。前にドラゴン族の竜王から聞いた話だと、世界の始まりの前、善神と悪神の戦い、魔神について教えてもらった。世界の記録者とも言われるようにエルフ族なら、同様に古い書物に何かしら書いてあるはずと思ったのだ。


 シルフは里の族長に許可をもらい、里の神樹 《世界樹》の根元にある祠へと入る。そこにはエルフ族の宝物や古い書物が保管されている。シルフはその深い祠の奥の奥、最も古い記録や宝物が保管されているところまで進む。そして、その中でも最も古い箱を開けてみると、予想通り書物があり、シルフは一番古そうな書物を開く。


 その本の名は《始まりの神判》ーー


 ーーこれは世界を作りし神の話しであり、我らが祖先、古代エルフ……ハイエルフから語り受け継がれる歴史。


 その昔……この世界シャングリラにまだ、知能を持つ生き物がい存在していなかった時代、この世界を創造した神が、この世界を《シャングリラ》と名付け、自分の一部から知能を持つ命を授けようとした。その種族の名は精霊族と妖精族。精霊と妖精は、すぐにこの世界と馴染み、自然と溶け込み、水や風、土の妖精など色々な種類に分かれていった。しかし、それだけであった。自然はさらに豊かになり、美しい世界へと変わったが、それ以降は世界は変わらなかった。


 その次に生み出されたのは天使と呼ばれる種族だった。神は天使に神の力の一部と小さな欲が芽生えるようにした。そうすると天使は、少しずつだが順調にこの世界で文明を築き、豊かに育くんでいった。だが、ほんの少しずつ天使の中でも、欲が強い者が現れてきた。その欲が強い者は行動力があり、積極的に世界を豊かにしていこうとした。善神はその変化に満足し、その者に任せ、そのまま、消えていった。


 神が離れた後も天使達は、そのまま順調に世界を豊かにし、天使の数も増え、栄えていった。ただ、いつまでも平和が、栄えることが続くわけではなかった。増えすぎた天使の中で、稀に強い力を持つ天使が現れ、その他を率いるようになっていった。


 その強さの違いが勝ち負けを生み、その勝ち負けが優劣を生み、その優劣が更なる欲を生んだ。


 天使の増え方は子どもを産むことではなく、分裂していく増え方。だから、その逆をする天使が現れた。弱い天使が強くなるために、他の天使を吸収して強くなろうとしたのだ。


 そこから世界はおかしくなっていった。


 多くの天使を吸収し、強くなりすぎた天使は欲に塗れ、そのまま闇に堕ちた。その闇に堕ちた天使はさらに他の天使を吸収し、神の一部から生まれた天使が、一つの集合体となることで、神に等しき力を持った天使が生まれたのだ。


 その天使は、優秀過ぎるほどの強さと使命感を持ち、この世界の創造神のために、世界をより一層豊かにしようと努力をした。だが……その天使は、いつの間にか悪神と呼ばれ、悪神にはさらに、同じように強くなっていた3体の天使も悪神側に着き、それらは魔神と呼ばれた。他にも、力が強い者、欲が強い者を中でも欲や力が強かった者たちを6大魔王とその配下となった。


 光に溢れ、輝いていた世界シャングリラが、闇に溢れて暗い世界となっていた。神は驚き、その原因となった悪神を消そうとした。悪神はそれに反抗し、魔神や魔王と共に反乱を起こした。残った天使は神につき、善神と悪神、光と闇の戦いが起きた。そして、善神が戦いに勝ち、悪神は滅びた……それが《始まりの神判》……


 ……と、書物には書いてあった。シルフは今までの情報と照らし合わせ、考え込む。


(確かにこの書物には《始まりの神判》と書いてある。そして、善神と悪神の戦いも書いてある。この書物と今まで集めた情報、魔王の話しと合わせることでつながる。善神と悪神の戦い、光と闇の戦い、それが《始まりの神判》……だとしたら《最後の神判》も同じ?もう一度その戦いが始まる?)


「とりあえず、これをみんなに報告しよう。」


 シルフはこの書物を持ち、イバール国のミトのギルド本部に向かった。ギルドマスターのナットに会い、集まれるだけの人に集まってもらった。


 翌日、ミトのギルド本部には、シルフとナットの他、ヒイロ、ロイ、グランが集まっていた。そして、その書物を開く。その内容はヒイロがある程度予想していたものと同じだった。


「なるほど……。興味深い話ですね……」


「皮肉じゃな、神の行いが悪神や魔神を生んだ。そして人と同じく、欲があればあるほど栄える。欲はある意味、人の行動する上での根源でもあるからな。」


「はい……。難しいですね……だからきっと、今でも悪神の残留思念の人の悪意や負のエネルギーが結びつき、悪魔や魔物が生まれてくる。」


「とりあえず、この話しは各国の極秘情報として流し、魔神の他に最悪、その悪神も生まれることも考えておこう。」


「僕たちは魔神、そして悪神に勝てるのでしょうか?」


「わからない。でも、生き残るためには勝つしかないのかもしれない……。」

 

 そう言いながらも、ヒイロは少し気になっていた。


(悪神が生まれるなら、こっちも善神が生まれる可能性があるのではないか……?なら、俺は何のためにこの世界に転生をした?善神が生まれるなら俺が必要ではないはず……。ましてや勇者と言う存在もいる。それに魔王サタナキア達の事を考えると、話しの繋がりに更に違和感を感じる……)


「魔王を倒して安心と思ったら、魔神に悪神、そしてトキオ文明国の謎の国境封鎖……次々と問題は出てくるんもんじゃな、いったいどうしたらいいもんかのう」


 グランのその言葉に、その場にいる誰もが、答えることが出来なかった……。

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