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魔王配下バエル vs エメル

 魔王城とスタンピードの狭間でエメルとグランは、魔王配下 バエルという王冠を被った悪魔と対峙していた。


「ねぇグランじい……今回の悪魔、私が一人で戦ってもいい?」


「……別に良いが、共闘が嫌なのか?」


「いや、そうじゃくてさ。なんか最近ヒイロにかなり負けてるような気がしてさ。もとから才能の違いはあるんだろうけど、アイツを見てると私もまだまだもっと強くなれるんじゃないかって……それで、一から新しくゴーレム を作り直して、特訓してきたんだ。その力がどこまで通用するか一人で試してみたいの。ただ……私もまだ死にたくないし、もしやばそうだったら……その時は力を貸して!」


「……ライバル意識というものかのう。まぁたしかにヒイロを見てると限界なんてものは存在しないような気にはなってくるわな。わかった……思う存分やればいい。この《雷帝グラン》が、周りの雑魚どもを蹴散らして、お前の邪魔をさせぬようにしておこう。だが、くれぐれも無理はするんじゃないぞ、厳しくなったらいつでも声をかけるんじゃ。」


「……ありがとうグランじい!」


 グランはエメルから離れて、周りにいる魔物達を駆逐していく。


「ん、どうした?一人は逃げたのか?」


「違うわ……あんたの相手は、この私一人で十分てことよ!」


「身の程知らずだな。まぁいい、死んで後悔するといい、私もアモンほどではないが少々戦いには自信がある方なのでね。いでよ、我がしもべ 《アルケオトード》《アラクネ》」


 エメルの目の前に巨大なカエルと上半身が人型の蜘蛛が召喚された。


「私、そーゆー生き物苦手なのに……。まぁいいわ、私の新しいゴーレム で叩き潰してあげるわ。ハイクリエイトゴーレム モデル《パラディン》《アークビショップ》」


 パラディン、アークビショップは、ともにエメルのゴーレム のナイトとビショップの上位変換されたゴーレム である。白馬に乗ったパラディンはナイトのゴーレム の全てを上位互換し、なおかつ光属性の物理攻撃を行う。そしてアークビショップもまた、ビショップのゴーレムの上位互換であり、土と光の二属性の魔法が使えるゴーレム。


 SSランクの魔物でさえも、単騎で倒せるその2体のゴーレム と2匹の魔物はそれぞれ戦い始める。ゴーレム に比べ、2匹の魔物の魔物の方が素早さがあり、手数で勝るものの、ゴーレム の頑丈さに魔物達の攻撃は全く通じない。


 さらに、ゴーレム に毒が効かないとわかったアルケオトードは強酸らしき液体を吐きかけるが、アークビショップがすぐさま《ロックウォール》で酸の攻撃から守り、パラディンが馬上から剣でアルケオトードに斬りかかる。だが、今度はそれに対し、アラクネが口から鋼糸を吐き、パラディンの動きを一時封じるなど、互角の戦いをする。本来ならアルケオトードもアラクネも毒や麻痺など状態異常がメインの攻撃のため、そのほとんどが効かないゴーレム は天敵だった。


 互角の戦いを行う様子を見て、舌打ちをしながらバエルはさらに昆虫型の魔物を大量に召喚していく。その魔物はデスマンティスにデストレーラー、デスアントとどれもがSSランクの魔物である。だが、それに対し、同じくエメルもゴーレム を次々と出していく。


「まだまだいくよー!ハイクリエイトゴーレム モデル《ポーンソルジャーズ》《ソリッドルーク》」


 ポーンソルジャーズはポーンがそれぞれ剣や槍、弓などを様々な武器を持つことでさらに強く、そして集団での戦闘に長けたゴーレムとなり、ソリッドルークは巨大なルークがさらに大きく硬度も増し、さらに魔法耐性が付与された防御特化のゴーレム になっていた。


 もちろんソリッドルークはアルケオトードの強酸を浴びてとびくともせず、小さな軍隊と化したポーンソルジャーズは、昆虫型の魔物を次々と倒していく。


「な、なんだと!?私のしもべ達が完全に押されている!?ならば、アルケオトード、エビルスパイダー、そしてその他しもべ達よ、一つとなり、真の姿を表せ!」


 アルケオトードとエビルスパイダーの元に、それぞれ周りにいた複数の昆虫型の魔物達が共食いのように合わさり、一つに融合していく。その結果、蜘蛛型と蛙型をベースとした2体の昆虫型キメラが完成する。


 その2体は、ベヒーモスよりもさらに巨大な魔物となり、禍々しい姿と化していた。蜘蛛型のキメラは猛スピードでパラディンとアークビショップに襲い掛かる。2体のゴーレムはその動きにどうにか反応するものの、蜘蛛型キメラが大きく振りかぶった両手のカマに、パラディンは剣ごと、そしてアークビショップは防御魔法ごと一撃で切り捨てられる。


 また同じく蛙型のキメラは空高く飛び上がり、巨大な霰のように強酸を下へとばら撒き、ポーンソルジャーズ達を次々と溶かしていく。そして空中で自身の身体を石化し、隕石のようになり、ソリッドルークを上から押しつぶす。その一瞬の出来事に流石のエメルも驚愕する。

 

「ハッハッハ、どうだ!ただの石如きが、我のしもべに勝てると思うなよ。」


「そっちこそ、たかが虫のくせに!私のゴーレム達を舐めないでよね!ハイクリエイトゴーレム モデル《ヴァルキリー》《ソードマスター》」


 ヴァルキリーはクイーンを戦闘特化へと改良してゴーレムであり、ソードマスターはパラディンのさらに大幅に強化したゴーレムとなっていた。ヴァルキリーは両手に持っていたレイピアを構え、空を飛ぶように蜘蛛型キメラに突撃し戦闘に入る。そしてソードマスターもまた両手にシミターを構え、蛙型キメラと戦闘を始める。2つの激しい戦闘は、互角に見えたが、消耗やダメージのない、ゴーレム達が少しずつだが、押していく。


「あなたは自身は戦わないの?虫さん達がいないとダメなのかな?」


 エメルはあからさまにバエルを挑発していく。


「舐めるなよ、ドワーフ。貴様こそ石共が無ければ戦えぬであろう。我のしもべは倒されたとしても貴様自身は我が殺してやる。」


 バエルは、巨大な猫の姿へと変化していく。


「あちゃぁ、本性は猫ちゃんだったかぁ。でも、あなたの言った通り、私にはゴーレムしかいない。でも、ゴーレムがあれば私は誰にも負けない!マスタークリエイトゴーレム《オーバーロード》!!」


 ゴーレム 《オーバーロード》はエメルの魔力の三分の一を使い、1日に一度しか召喚できないキングを更に全ての面で上回る、エメルの最強のゴーレム。


 バエルとオーバーロードが戦い始める。だが、そのオーバーロードの強さはSSSランク以上であるバエルに対し、上回る強さを見せ、流石のバエルもキメラの元へと逃げようとする。


「トドメよ、ゴーーーレム!!」


 エメルが3体のゴーレムに魔力を込める。その瞬間ゴーレム達の目が光り、動きが加速し、必殺の一閃を繰り出す。ヴァルキリーは両手のレイピアで縦横無尽に切り裂き、ソードマスターは自身を回転させながら両手のシミターで横一閃に、そしてオーバーロードは、逃げて後ろ向きになっていたバエルに、あえて正面へと回り、頭から一刀両断する。


 バエルは、しもべのキメラ諸共、断末魔と共に消え去った。その様子を確認したエメルも、本人自身は無傷なものの、魔力をかなり消費しており、回復薬を飲みながら、その場に座り込む。


「ふぅ、さすがにこれだけの新しいゴーレム を使うともうほとんど使えないわね。ごめーん、グランじい!ちょっと休む~」


 エメルの声を聞いたグランはエメルを守るように魔法を展開する。


「さすがじゃの。ただでさえ、ゴーレムは魔力消費が激しい魔法なのだが、これほど強力なゴーレムを何体も作り出すとは……さすがドワーフ族の麒麟児じゃ……エメルよ、よく頑張った……後は儂に任せておけ」

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