表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/96

子ども達の成長

 アルトとイルミの戦闘が無事終わったことを確認したヒイロはすぐさまもう1匹のハイドベアーを見つけてくる。そしてハイドベアーの戦闘をじっくりと観察できた後半のエイスandウルルペアには、逆ハンデとして、ヒイロに無理矢理連れてこられた、すでに闘争心剥き出しのハイドベアーとの戦いになる。


 それでもエイスたちは、先に行われたアルト達の戦いを見ながら冷静にハイドベアーの特徴を観察できたことは、討伐クエストにおいては1番の攻略手段となる。ただ違うのは、先のペアとの戦闘方法が全く違い、近接戦闘を主とするハイドベアーの最も得意な土俵で、エイスがぶつかることになることだ。


 それでもエイスは、遠距離攻撃が主体のパーティの中で唯一無二のタンカーであり、常に一人で誰よりも魔物の攻撃を受け止めてきた自信とそれに見合うだけの実力があった。それにあのAランクのゴブリンキングに比べたら、まだ大丈夫だとエイス自身も感じており、それにヒーラー役のウルルも常にサポートをしてくれるため、いくらでも受け切る自信があった。


「それじゃあ行きますか!攻撃は全部俺が受けるから、チャンスがあれば攻撃して。そっちにヘイトが行ったと思ったら、離れて回復に専念して、すぐ俺にヘイトを戻すから。」


「わかったわ。こまめに回復する様にするから足りない時には言ってね。あと、さっきのハイドベアーの遠吠えのスキル……なんとなく対策を見つけたから、その時は合図する」


「流石!!よし、相手はすでに戦闘態勢に入ってる。しっかり俺が引き受けるから、ウルルは焦らず隙を見て攻撃に移ってくれ!」


「わかったわ。でもその前に!支援魔法 《フィジカルアップ》《レフレクスアップ》」


 ウルルは、エイスに防御系の支援魔法を重ねがけしてから後方に下がる。エイスも自身に身体強化のスキルを発動し、さらにハイドベアーに向けて挑発プロヴォークスキルを発動させ、ヘイトをエイス自身に向ける。


「さぁクマさんこっちに来なよ!!」


 エイスの挑発スキルにかかり、ハイドベアーが真っ直ぐエイスに向かい、その大きな太い腕についた鋭い爪を思い切り振り下ろす。


「その攻撃はさっき、たくさん見させてもらったよっと!」


 ウルル同様、エイスもさっきの戦闘を見ながらハイドベアーの攻撃の防ぎ方を考えていた。すでに通常の攻撃なら初見でない限り、ほぼ防げるだろう。その対応力こそが、エイスのタンカーとしての才能の一つでもある。


 エイスはハイドベアーが袈裟懸けに大振りしてきた腕を、力に逆らわず、そのまま大楯を斜めにし、同じ方向にそらしていく。だが、ハイドベアーもまた、すぐさま反対の腕も同じように振りかぶり追撃に出る。


「だから、その動きはさっき見たんだって!そして、この二撃の間に隙があるんだよ!スキル《シールドバッシュ》」


 大楯を自分の頭上で、斜めにハイドベアーの攻撃をいなしたエイスはそのまま大楯を正面にずらし、《シールドバッシュ》を放つ。


「グガァァ」


 ハイドベアーは、エイスの攻撃をまともに受け、バランスを崩されたことで、さらに激怒し、攻撃を繰り返してくる。その攻撃をどうにか防ぎながら、同程度の体格の魔物なら、倒せないまでもある程度の後方に吹き飛ばしていたエイスは、その反応に軽く衝撃を受ける。


「あれれ、タイミング的にも渾身の一撃だったんですけど……怒っただけ?」


「《ウォーターストーム》!エイス!ぼっーとしない!!」


 ウルルがエイスに怒り状態で夢中に攻撃しているハイドベアーを、後ろから出来るだけ魔力を込めて、水の中級魔法 《ウォーターストーム》を放つ。中級魔法の直撃に流石にハイドベアーもある程度ダメージを受け倒れる。近くにいたエイスもその水飛沫に冷静さを取り戻し、一旦離れ、距離を取る。


「サンキュー、ウルル!少し集中力を乱してた」


「うん、相手はBランクのハイドベアーよ。油断しない。それに上手に受け切ったたように見えるけど、ダメージはやっぱりあるわね。《ハイヒール》」


「そうみたいだな。俺でも一撃まともに食らったら、危ない。ウルルも気をつけてくれよ」


「わかってる。たぶん、もうあんまりエイスに近づいて回復は出来ないから、これから《エリアヒール》で回復するからね。あとこれを《リジェネレーション》。この魔法は、最近覚えたばかりだけど、少しずつだけど常に体力を回復してくれるわ。魔物の《自己再生》スキルのようなものね」


「すごいな。ありがとう!これならかなり動きも良くなりそうだ。じゃあ無理せず最後まで確実に行きますか!」


「オッケー!あっちもそろそろ動き出すわね!」


 ウルルの言葉通り、ハイドベアーは起き上がったと同時にある動きを取り始める。ウルルはその動きに気づいた瞬間、エイスに指示をする。


「エイス!あの技よ!大楯を前面に大防御して!……《ウォーターサークル》!」


 エイスはウルルの言葉通り、避けることは出来ないが、防御に特化したスキル《大防御》を発動する。そしてウルルもまたその動きにに合わせ、水の中級魔法 《ウォーターサークル》を展開する。


 ウルルが《ウォーターサークル》を展開すると同時にハイドベアーは、先程のハイドベアー同様、大技である《インパクトウォークライ》を2人に向けて放つ。


 ハイドベアーが直撃を確信した大技であったが、ウルルとエイスの防御は、完璧にハイドベアーの《インパクトウォークライ》を防ぎ切っていた。


「良かった。予想通りだわ……!」


「す、すげーウルル!これなら完璧じゃん!!」


 その後もエイスとウルルは安定した守りで、ハイドベアーの対力を徐々に減らしていく。慣れてきた2人はさらに攻撃パターンを増やしていく。


 ウルルがハイドベアーの横に回り込み死角から、攻撃魔法を放っていく。


「水の中級魔法 《ウォーターストーム》」


 ハイドベアーに直撃後、ハイドベアーがウルルに向けてヘイトを示した瞬間、すかさず大技のスキル《一刀両断》を放っていく。エイスに集中し始めたら、また背後に回り込んで中級魔法を放っていく。


 ハイドベアーは、その繰り返しのパターン攻撃を嫌がりウルルに行こうとするが、目の前にエイスが、間髪入れず挑発スキルと攻撃を仕掛けてくるため、どうしてもエイスにヘイトがつられてしまうのだった。結果、討伐時間はアルト達の倍近く時間がかかったものの危なげなく倒すことが出来た。


「よっしゃー終わったー!」


「お疲れ様ー!ありがとうね」


「いや、正直ウルルが水魔法を覚えててくれなかったらかなりしんどかったよ。」


「そう、良かった!私は結構安心しながら戦えた!」


「お疲れ様。なんだかんだ作戦通りで危なげもなく倒せたな。」


 ヒイロは少し場所をずらし、2組の総評を行なっていく。


「2組ともお疲れ様。驚いた、みんなここ数ヶ月で、自分の良さを理解して、冷静に状況を見ることが出来ていたよ。」


 アルトが答える。


「前回のゴブリンキング討伐で極限に追い込まれてから、それぞれ自分のことを見直し、足りないところや伸ばすところを意識しながらクエストをこなしてきたからね。」


「それからは、どれだけ冷静に魔物の攻撃を捌けるか、冷静に状況を見ながら、ヘイト管理もできるようになったし、何より連携を大切にしてきたからね。」


 こうして、第二回いきなりテストは無事に終了した。ヒイロは、後3匹ほどハイドベアーを狩り、ギルドに報告した。報酬としては、合計金貨10枚となった。それをそのままアルト達にあげて、それぞれ帰りに《森の家》にお土産を買っていくように伝えた。


「おかえりー!お疲れ様、みんなクエストの方は、どーだった?」


「ねーミーナ姉聞いて!!どうもなにも、またいきなりテストだよー!」


「ほんと!めちゃくちゃ神経と頭を使ったんだから!」


「あら、それはお疲れ様だったわね。ヒイロ!あんまり無茶なことはさせないの。」


「大丈夫、この子らは自分達が思っているより、しっかりしてるよ!」


「まぁね!俺達は天才だからな、なっアルト兄!」


「もちろん!楽勝だったな!!」


「ほんとか!?ならもっと難易度上げないとテストにならないか!ん……今度はこの前のSSランクのデーモン……」


「ごめんなさい!!」


 こうしたやりとりをしながら夕食を一緒に過ごし、食後は、それぞれの実家に顔を出し、ヒイロ達はタウンセンに戻った。


「あの子達……さらにしっかりしてきたわね。それに《森の家》の子ども達も自分の役割を理解して、それぞれ頑張っていたわ。」


「そうだな、大人達がいない中で育ち、お互いを助け合いながら大きくなってきたからな。アルト達に感謝しよう。」


「そうよ、だからあんまり無茶させないで、いじめないでね。」


「わかってる。あいつらは大丈夫だよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ