VS.SSSランク デーモンキング
20階のボスは、首都のギルド本部図書館にある魔物図鑑でも、一番最後の方にいたSSSランクのデーモンキングだった。図鑑によると、これ以上の魔物は、伝説とされる魔王や最強種とも言われるドラゴン族の竜王クラスぐらいであり、図鑑の内容も名前のみであった。もし、こんなものが地上に出て来ていたら、ナガーサ国どころか、この世界全域での災害指定になるほどの魔物だろう。
図鑑にも詳細は、載っていなかったため、ヒイロは慎重に戦い始める。予想通り、他のデーモンの上位種だけあって、高い魔法耐性と魔法主体の攻撃だったが、デーモンキングの上級魔法を超える強力な魔法スキルも、魔法に対する絶対防御であるカーバンクルの能力の前では、受けるダメージも全くなかった。
ただカーバンクル自体が防御主体でもあるため、ヒイロの攻撃も、魔法耐性への威力特化であるにも関わらず、体力もSSSランクだけあってか、ある程度ダメージを与えるものの、自己再生も持っているようで、単発攻撃の繰り返しではデーモンキングに対し、有効な致命傷を与えることができていなかった。
「中々、決定打にならないなぁ。まぁ長期戦になっても、魔法無効化でこっちが有利なのは変わらないけど、魔力消費との勝負だなぁ。どっちみち少しずつやって行くしかないけど、スキルコピーでアルトの狩人スキルも使わせてもらってペースを上げていくしかないかな。」
それから1時間近く戦闘を行い、いくら自己再生があるデーモンキングであっても、その再生力を上回るようにヒイロも、休みなく攻撃を行なっていったため、動きもかなり鈍くなってきていた。
「よしよし、やっと動きが鈍くなってきた。あともう一押し……最後は相手の大技に合わせてとどめだな。」
ヒイロの予想通り、残りの体力が少なくなって来たデーモンキングは、最後の魔力を振り絞ったのか、動きを止め、かなりの魔力を溜めた威力重視の上級魔法を超える超級闇魔スキルを放ってきた。
「よし、今だ!!全ての魔法をはね返せ 《フェアリーフォース》!!」
デーモンキングの闇魔法がヒイロに当たる直前、七色のバリアがヒイロの前に展開し、デーモンキングの強力な闇魔法を吸収していく。そして、最後まで吸収されたデーモンキングの魔法は、ヒイロの魔力とともに《神具ガンディーヴァの弓》に流れ込み、2つの魔力が合わさることで、巨大に膨れ上がっていた。そして、ヒイロが弓を引いていくと、その巨大に膨れ上がった魔力は弓矢の先端に高密度に圧縮されていく。
「さすがSSSランクだったよ。神獣を使って、こんなに時間がかかったのは初めてだな。……だけど、お疲れさん。そろそろ眠ってくれ」
ヒイロは、そう言い放つと同時に限界まで引いていた弓矢を離す。その瞬間、ガンディーヴァの弓から放たれた七色の矢が光速でデーモンキングに胸部に突き刺さり、とうとうその動きを止めた。
「ふぅ、やっと終わった……ありがとう、カーバンクル。おかげで助かった。」
ヒイロはデーモンキングに背を向け、神獣合体を解く。だが、その次の瞬間、動かなくなっていたデーモンキングがヒイロを後ろから襲おうとする。
「まだ動けるのか!?」
ヒイロが、瞬時にその場から避けようとした時、神獣合体を解かれ、姿を現したカーバンクルは笑顔でヒイロに言葉をかける。
「ご主人様、大丈夫!安心して見てて」
カーバンクルが呟いた瞬間、デーモンキングに刺さった七色の矢が、急激に光りだし、デーモンキングを包み込むように飲み込んでいく。そして七色の光が消えた時にはデーモンキングも消え去っていった。
「ご主人様、とっても楽しかったよー!またいつでも呼んでねー!」
ヒイロは、カーバンクルと別れを告げると、消え去ったデーモンキングが残していった戦利品を拾い上げ、転移魔法で地上に帰ろうとしていた。そして最後に広いボス部屋の奥に小部屋があるのを、念のため展開した探索スキルに引っかかるり見つける。
ヒイロは疲れていたため、そのまま帰るか迷ったが、流石にこのフロアにデーモンキングを超える魔物は出ないだろうと願いつつ、警戒しながらその小部屋に入っていく。すると何もない部屋の中心に大きく光るクリスタルを見つける。
「……ん?あれって……そうだ!あれがクリア報酬のダンジョンコアのクリスタルだ。……ってことは……よっしゃ!!ダンジョン攻略達成だ!さすがにあれ以上レベルが高くて、この先にもあったら、今度は魔王でも出てくるのかと思ってたけど……良かった良かった。よし、ひとまずダンジョンコアをいただいて、ゆっくりと帰りますか。」
ダンジョンコアがなくなったダンジョンは、そのままある程度何十年か残るらしいがコアとダンジョンのボスがいなくなる事で、徐々にダンジョンから出てくる魔物も弱くなり、最終的にはただの洞窟などになるらしい。ヒイロはそのまま転移魔法でナガーサ国の首都タウンセンの冒険者ギルド本部の前まで転移すると受付に報告をする。
「あ、お疲れ様ですヒイロさん。順調に進むましたか?世界最高難易度のダンジョンなのに、相変わらず汚れなども少なく戻って来られますね……」
タウンセンの冒険者ギルドの看板受付であり、猫人族の獣人のマーブルがヒイロを少し呆れながらも笑顔で出迎える。
「……はい、これ!」
ヒイロもまた、笑顔でついさっき見つけた大きなダンジョンクリスタルを受付の納品テーブルに置く。
「はい、ありがとうございます。さっそく鑑定にまわし……て、えっ!?うそっ!これって!?……もう、あのダンジョンを攻略したのですか!?てっ、だってこの間10階層を攻略したばかりではありませんか??今まで他のいろんなSランク冒険者の方が挑戦しても、ほとんど進まなかったのにですよ!?」
「いや~ほんと大変だった。流石に疲れたよ。とりあえず後日でいいんで、報酬はしっかりとお願いしますね。」
「は、はい!分かりました。それはもちろん!!すぐギルドマスターに報告いたします。調査が完了次第、こちらからご報告に参りますので!あの、そのお疲れ様でしたー!」




