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Aランクトーナメントと人神アスラ

ようやく船が、ナガーサ国の港町サーセボに着いた。流石に貿易の国だけあって、多種族が入り混じり多くの人々が歩く、港から続く、大通りの光景は圧巻だった。


 船を降りる時も船長からAランクトーナメントへ出場に念を押されたこともあり、とりあえずナガーサ国の首都タウンセンを目指すことにした。そしてまた、ナガーサ国での目標としては、どこかの街で一度腰を据え、ある程度、条件が揃った土地に、オオタル街の《森の家》と同じような孤児院を設立したいとミーナと話し合っていた。


 首都へと向かう馬車に乗りながらヒイロはあることを考えていた。それは神獣召喚と創作魔法・スキルの組み合わせである。神獣召喚のメリットは、なによりもその強力さであったが、デメリットも多く、魔力消費が激しい事と威力の調節が難しい事、攻撃範囲が広過ぎるなどである。


 特にこれから参加する対人との大会や、強い個体の魔物などとの1対1の戦いでは、身体能力面で負けているときには、隙も見せてしまうこともあるし、神獣を無視され、そのまま近接戦になったら攻撃も難しく不利になることも多い。ヒイロは、氷神シヴァの言葉を思い出しながら、解決策を探していた。


 ただ、色々考えて見たがすぐには難しく、そのAランクトーナメントにはとても間に合わなかったちめ、秘策として《神獣アスラ》を召喚しようと思っていた。


 以前、《神獣シヴァ》に他の神獣達の特徴を大まかに聞いたことがあり、まさに《神獣アスラ》の能力は、今のヒイロにうってつけの能力だった。その能力は、召喚者の身体能力向上だと言う。どれほどの向上かわからないが、今までの神獣の威力からすると、同じく破格の性能だと理解出来る。


 ミーナと一緒に首都タウンセンに向かう途中、途中の街ではある程度の日数を観光も兼ねて宿泊しながら、時間を見つけては修行とクエストを行っていった。そのため、首都に着くころには、ちょうど大会の前日になっていた。すぐに主催者である冒険者ギルドにトーナメントの申請と、推薦の確認を行い、その日はトーナメント会場となる円形闘技場近くの宿で休むことにした。


「いよいよ明日だね!ヒイロ、絶対に無理だけはしないでね!」


「ありがとう。出来れば優勝してSランクにでもなれば、かなりの賞金も貰えるらしいし、今後も動きやすいと思う。そうしたら孤児院もこっそりじゃなく、きちんと国に申請して街に建てられるはずだからがんばるよ。」


「わかった!明日は私も応援に行くからね!」


 トーナメントは32人参加で、決勝に行くには4回勝たないといけないらしい。もちろん1対1なのだが、参加者は、B、Aランク冒険者で、尚且つ推薦状を持つそれなりの人物なのだろう。ヒイロは、基本魔物としか戦ったことはなく、また多対1が多かったため、この1ヶ月、一対一を想定した修行を行ってきた。

 

 翌日、トーナメント初戦の相手は同じBランクの冒険者だった。会場は大きく、前世で言う天井がコロッセウムをイメージしたような舞台で、360度観客に囲まれ、熱狂ぶりもすごかった。トーナメント後に聞いた話では、年に数回行われるこのトーナメントは国主催の大きなイベントで、優勝者を予想する賭けも国主催であり、国民の娯楽の一つでもあるとのことだった。


 元冒険者を思わせるガッチリとした体型の審判が、相手とヒイロの間に立ち、試合の合図を発する。


「それでは、試合を行います。両者はじめ!」


「ヒイロ、がんばれー!」


 相手は水属性の魔法使いのようで、さすがBランクと言うだけあって、水属性の上級魔法を連発するなど、魔物相手にはかなり有効な攻撃であったが、その大振りな上級魔法をかい潜り、接近戦に持ち込み、剣技で圧倒する。


「このくらいならまだ大丈夫そうだな。」


 ヒイロはその後2回戦、3回戦も順調に勝ち進み、準決勝まで勝ち進む。相手は優勝候補の一人で、エルフ族のAランク冒険者だった。ちなみにSパーティーでランクというのは、よっぽどパーティー全員の能力が高く、それも特例的な機会がない限りは、難しく、Sランク冒険者のほとんどがソロらしい。


 エルフ族のAランク冒険者は、風と炎の上級魔法と性格無比な弓で、流石のヒイロも厳しく、相手と同じく魔法と剣を出し惜しみなく使う事でなんとか勝つことができた。

 

 そして、決勝の相手はAランクのソロ冒険者で、有名らしく、優勝候補筆頭の竜人族だった。竜人は、特徴の一つに竜鱗の肌を持っており、高い魔法耐性を持っている種族でもあった。魔法耐性のある相手は、魔法メインで戦うヒイロにとってはかなり不利であり、予定通り決勝前に《神獣アスラ》を呼び出すことにした。


「神獣召喚、いでよ《神獣アスラ》!」


 目の前に異次元ホールが現れ、阿修羅観音のような背中に鳥の翼の生えた天使のような女性が現れた。


「アスラさんか?オレは召喚者のヒイロです。どうか貴方の力を貸して欲しい」


「分かっている。私もシュタイ殿の考えに賛同し力を貸すことを約束したのでな。私の能力は、その者の身体能力の限界を超えての向上。ただその分魔力は使わないものの、反動による身体への負担は大きい。よく考えて使うことだ」


「わかった。それじゃあ頼みます!」


「ふむ。今のお主では15分程度が限界だろう。無理はするなよ……《神の息吹》」


 ヒイロは、身体中に予想以上の力がみなぎっていることを実感する。


「すごい……。力がみなぎる。これは……身体能力の上昇率が倍どころじゃないぞ。」


審判

「それでは、決勝を行います。Bランク冒険者ヒイロ 対 Aランク冒険者バルク 両者前へ。はじめ!」


 ヒイロは身体のことを考え、短期決戦で勝負をつけるつもりでいた。開始直後、いきなり全力で踏み込む。開始の合図とともに、相手が構えていたラウンドシールドもろとも、思い切り飛び蹴りをする。直撃を喰らったシールドば粉々に粉砕され、その衝撃の勢いが止まらず、バルクは後方まで吹っ飛び、そのまま壁に激突して気を失った。


 開始の合図から一秒もかからずに勝負はついた。ほとんどの観客には、何が起こったかが、分からず気がついたら大きな衝撃音とともにバルクが壁から崩れ落ちる姿があるだけだった。


審判

「し、試合終了ー!優勝は、イバール国Bランク冒険者、ヒイロー!!」


「やばい……やり過ぎたかも……。死んでないよな……」


 ヒイロは終了後すぐに召喚をやめたが、足の骨は折れなかったものの、たった一度の動作だけで、身体の反動は強く、全身が裂けるのような痛みに襲われた。それでもなんとか大歓声のもと表彰され、そのままSランク冒険者の認定を受けた。


「大丈夫?すごかったね。」


「ミーナか、ありがとう。いつものことだが、やっぱり想像以上の効力と反動だった。」


「そうなんだ……身体も辛そうだし、疲れたよね。優勝も出来たことだし、今日はもうゆっくり休もう。」


「あぁそうしたい」

 

 ヒイロはこの日、出身国のイバーラ国でも数人しかいない、Sランク冒険者となった。ただ、やはり神獣召喚を使い方の重要性を改めて感じ、今後は孤児院の設立を目指しつつ、神獣召喚を上手く使いこなせるように修行を行おうと誓ったヒイロであった。

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