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ヒイロからの卒業試験・後半戦

 攻撃の始めは、アルトが高速で弓を放ち、ゴブリンキングを牽制していく。


「高速連射!!」


 ゴブリンキングがアルトに意識がいったの確認し、エイスもアルトに合わせて攻撃を仕掛け、バランスを崩していく。


「シールドバッシュ!」


 最後にイルミが、避けられない状態のゴブリンキングに、得意の火属性中級魔法を放つ。


「フレイムストーム!」


 そして、ウルルが戦いの全体を見ながら、パーティーの回復や、それぞれに合った支援魔法をかけていく。これが現時点での《森の家》パーティーの理想的な攻撃の形だった。

 

 だが、この魔物の森では滅多にいなく、最強ランクであるゴブリンキングは、森の家パーティーのコンビネーションである程度、ダメージを喰らったものの怯むことはなく、そのまま大振りで大剣を振り回してくる。周りのゴブリンから倒して行ったのも正解だった。普段、集団で戦うゴブリンキングは、生存競争の激しい魔物の森で周りのゴブリン達に牽制やダメージを与え、キングがトドメを刺す形が多かったからだ。そのため、体力や力をずば抜けていたが、早さや器用さなどはそこまで高くなかったのだ。


 だが、それでもキング残り一体になってかなり時間が経つものの一向に倒れる気配がない。ダメージをかなり蓄積させてるものの、ゴブリンキングは、魔物の中でもずば抜けて高い体力もさることながら、自己回復を持っているらしく、少しでも攻撃を緩めると、再生を始めてしまうのだ。



 リーダーであるアルトが少しずつ焦りを見せる。雑魚には補助武器であるナイフを使い、拾える矢は出来るだけ拾って節約してきた矢が残り数本しかなく、経験からしてイルミとウルルの魔力や回復アイテムも、そろそろ底をつく頃だった。そしてなにより、危険だったのは、ゴブリンキングの攻撃をほぼ一人で受け切っているエイスだった。


 ヒイロも感嘆する程の防御力と体力、そして常にパーティーを守ることに専念したエイスの守る技術は、それこそAランクのゴブリンキングに劣らないものであったが、時間がかなり経過した今、エイスの体力もそうだが、エイスのタワーシールドと呼ばれる大きな盾の方も持たなくなってきていた。


「まずい、このままじゃぁじり貧だ。」


 ウルルも悲鳴をあげる。


「うん、私もそろそろ魔力もつきそうだし、アイテムもほとんど残ってない。」


 いつも楽観的で我慢強いエイスも苦笑いをしながら、珍しく泣き言を言う。


「やばいなぁ、そろそろ盾ももたない……これ、ヒイロに特注で作ってもらったのに。」


 イルミは覚悟を決めて全員に伝える。


「一か八か最後の賭けよ。練習では未完成だったけど……上級魔法を使うわ。みんなもう少し耐えて、私が合図したら攻撃を合わせて!」


「!?……わかった!!」


 アルトとエイスでどうにか牽制を行い、イルミも残り魔力を全て使い、エリアヒールと支援魔法を全体に唱えていく。


 数分間、イルミは魔力を練り込むとアルトに伝える。


「待たせたわ、いつでもOK!」


 その言葉にアルトが頷き、タイミングを見てエイスに合図を出す。


「エイス、いまだ!!」


「!?、よっしゃ任せとけ!!くらえ、シールドバッシュ!!」


 ウルルの支援魔法と身体強化をかけたエイスの渾身のシールドバッシュにゴブリンキングは体制を崩す。その瞬間を見逃さずイルミが、同様にウルルの支援魔法で強化されてる状態で魔法を放つ。


「くらえ、残りの全魔力使った上級魔法!!《フレイムカノン》だぁ!!」


 イルミが放った大出力の炎魔法はゴブリンキングに直撃した後も後ろの木々までを焼き尽くす。その威力に流石のゴブリンキングも倒れたが、まだ死んではおらず瀕死ながらも起き上がろうとしていた。だが、最後の瞬間まで油断していなかったアルトが、唯一の急所でもある目に、最後に残しておいた特注の大型の矢を使い、至近距離で、急所でも目に渾身の一撃を放ち絶命させる。


 少し経ち、ゴブリンキングが絶命したことを確認したアルトは、ようやくその場で倒れ込む。他のメンバーはすでにボロボロで倒れ込んでいた。


「終わったー!!」


 エイスも仰向けの状態で隣にあるぼろぼろになった盾を横目に見つつ、ため息をつく。


「マジで死ぬかと思った……」


 ぺたんと座り込んでいるウルルは半泣きでつぶやく。


「おウチに帰りたーい!」


 イルミも全魔力を使い果たしたためか、うつ伏せで倒れており、ピクリとも動けず


「もう限界超えすぎた。身体が全く動かないわ。」


 遠くから戦いを見守っていたヒイロは、ようやく顔を見せ、拍手をしながらアルト達を労った。


「よくがんばったな。いや、ほんとまさか倒せるとは思わなかった。本当にお前達にはいつも驚かされる。今回ばかりは満点合格をあげたいが、サービスなしで80点だな!」


 ヒイロの血も涙もない言葉に全員がブーイングの嵐を言いまくる。ヒイロは笑いながら、事実を告げる。


「いやいや、お前達状況を考えてみろ?アイテムは尽きてる。魔力も尽きて、武器もボロボロ。ゴブリンキングは、倒したものの、ここは魔物の森の最深部だぞ。さすがにAランクの魔物は出てこないかも知れないけど、Bランクやその下のランクも出ないわけじゃない。帰りの余力まで考えて倒せたのなら満点!戦いの途中で帰りの状況まで判断してうまく逃げられた時には、90点だったかな。」


 ヒイロの言葉にうめきながらも一言も返せない4人。当たり前だった。クエストを達成出来たからと言って、誰か迎えにきてくれたり、守ってくれないのだ。帰りも自分達で帰らなければならない。帰りに死んだら、いくらクエスト達成しても意味がない。


「まっ、でも安心したよ。4人とも本当に強くなった。連携はできているし、作戦も戦いの中での状況判断も申し分ない。だから、今回は俺がサービスで、ゴブリンキングの運びとお前達を転移魔法で家まで送ってやる!が、今後は今回の経験を活かして無理せずクエストを行うんだぞ。」


 アルトもまた、納得し一皮剥けた顔で頷く。


「わかってる。リーダーとしてそこは一番気をつけるよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


現在のヒイロ達の能力


ヒイロ 18歳 男 天職・大工(仮)……保育士

 体力A

 力 A

 魔力S

 速さA

 器用S

 知力A

 運 B

スキルなどは大きく変わらず。


アルト 16歳 男 天職・狩人

 体力B

 力 B

 魔力D

 速さB

 器用A

 知力B

 運 C

スキル

・弓術《上級》、短剣術《初級》、鷹の目、遠視、気配隠蔽、気配感知、一点必中、高速連射

加護

・健康体


イルミ 15歳 女 天職・魔法使い

 体力D

 力 E

 魔力A

 速さB

 器用C

 知力B

 運 C

スキル

・魔法適性《火》火属性魔法《上級》、杖術《初級》


ウルル 15歳 女 天職・神官

 体力D

 力 D

 魔力A

 速さC

 器用B

 知力B

 運 C

スキル

・魔法適性《光》回復魔法《中級》、支援魔法《中級》、杖術《中級》


エイス 15歳 男 天職・戦士

 体力A

 力 A

 魔力E

 速さC

 器用C

 知力D

 運 C

スキル

・盾術《上級》、剣術《初級》、身体強化、シールドバッシュ、一刀両断

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