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ヒイロからの卒業試験・前半戦

ヒイロも18歳になり、冒険者見習いを卒業していた。そそして卒業と同時にEランクからDランクに上がっていた。オオタルの冒険者ギルドもヒイロの実力を認めており、もっと大きな都市で冒険者をした方がいいと勧められた。


 そして、ヒイロ自身もそろそろ旅に出ようと考えていた。イバール国を数ヶ所回った後は国外に出て、獣人国のニイガル国や亜人種が多く、貿易が中心のナガーサ国なども見てみたいと思っていたのだ。また森の家を中心に新たに孤児院を増やしていくためと、これからの子ども達の将来のために、2つの教育方を、前世の知識を自分なりに解釈し、土台を作っていた。


 一つは子どもの成長期あったおもちゃを作り、日常生活力から手先や魔力、自分が好きなこと、得意なことを伸ばし、自分自身の自己成長力を目指した教育法、女神の名前をもらい《マリアモンテ教育》とした。この原型は、すでに森の家で実践しており、教具という名の玩具を使い、遊びながら生活力、生きていく力を子ども達は養って行っていた。


 二つ目は体・心・頭のバランスを重視し、年齢段階に合わせた教育方で主に獣人や亜人種に合うものを考えていた。教育よりも人間本質に近いものであり、魔力や感覚、内なる要素が多く取り入れていくこと。これも子どもの神の名前をもらい《シュタイ教育》とした。まだまだ勉強不足ではあるものの、子ども達がもっと自由な職業、人生を自分から選び、進んでいけるような世界にしていきたかった。

 

「これでいいんだよな、神様」


 森の家につくと、ここ数年、冒険者で稼いだ資金をミーナとアルト達に預けていた。多分、食料品や日用品など生活費としては1年分ぐらいはあるだろう。


 また、父のノミルにはお金を払って森の家を改築してもらい、受け入れる子どもの人数を増やせるようにしてもらった。また同様に母ミコルにもお金を払い、当分の子どもの衣服を発注していた。


 そして今は、アルト率いる《森の家》パーティを連れて魔物の森の奥に来ていた。最初、ヒイロとアルトで作った《森の家》パーティーは、ヒイロが抜け、新たにイルミ、ウルル、エイスの3人が入り、4人組のパーティーとして、見習い冒険者パーティーの中でも注目されるようになっていた。


 ランクはもちろん見習いであるためEランクだったが、全体的なバランスと実力ではBランクぐらいの底力はあるだろうとヒイロは感じていた。それもまだまだ伸び盛りの発展途中でだ。


 今回は、自分がいなくなった後も、油断せず命を大切に冒険者を続けて行けるようにヒイロからの卒業試験として、アルト達を魔物の森の最深部まで連れてきていた。もちろん、4人にはクエストに行こうとしか、言ってなく、ニコニコしながらだんだん森の奥へと進むヒイロをアルト達は若干の不安を感じつつ、ついてきていた。そして、ある程度の場所まで来た所で、ヒイロは急に話し出す。


「さてと……今日の獲物は、Aランク指定モンスター、ゴブリンキングだ。もちろん、キングは1人でいるわけじゃないぞ。ギリギリの戦いなるかもしれないが、オレがいなくてもやっていけるという証拠を、いきなりだが見せてみろ。」


 満面の笑みを浮かべるヒイロの無茶振りにアルトは吹き出す。


「ぶはっ……!えっ!?なに?いきなりキツくない!?確かにC、Dランクぐらいの魔物なら問題なく倒せると思うけど……確かにゴブリンキング単体ならBランク上位らしいけど、まだ俺たち、Bランクすらまともに戦ったことないよ!」


 急にあたふたと焦る4人に対して、今度は真剣な顔つきで話し出すヒイロ。


「だからだ……勝てなくもいい。場合によっては逃げてもいい。無理をせず、冒険者としてパーティー全員が、無事に生き残ることを第一に考えて行動するんだ。」


 その言葉を聞いて、一番最初に口を開いたのは、パーティー回復役でもあるウルルだった。ウルルは覚悟を決めたように口を開く。


「うん、わかった!死なないし、絶対に誰も死なせない。」


 そして、パーティーの盾でもあるエイスも、拳を握りしめ、覚悟を決める。


「うん、俺が必ず、みんなを守ってみせる!」


 そんな真面目で素直な2人を呆れながら見守りつつ、パーティのアタッカーでもあるイルミも覚悟を決める。


「……降参だわ。そうね、どうにかやってみせるわ。」


 そしてリーダーのアルトも、常にそのつもりでパーティーを引っ張ってきたが、メンバーの覚悟を見て、改めてヒイロの言葉に覚悟を決める。アルトにはヒイロの思いが分かってもいたからだ。


「よし、わかった。覚悟を決めよう。ヒイロ兄が安心して旅に出られるようにな!」


 アルトの言葉にヒイロは微笑みながら、送り出す。


「今回俺は、意地でも手を出さない。絶対に死ぬなよ。覚悟を決めたら行ってこい!目的のゴブリンキングは、この奥の洞窟に巣穴を作っている。」


 ヒイロの掛け声に、アイテムの分配と話し合いをし、ゴブリンキングがいるゴブリンの群れにアルト達は挑む。


 アルト達は、常に出来うる準備をしっかり行い、クエストに望んでいた。ヒイロと違い、自分達は常に凡人だと理解していたからだ。もちろん、他の新人冒険者に比べて抜きん出た才能を持っていてとしても、4人が憧れるヒイロは、別格の存在だったからだ。


 まずは牽制をかけ、ゴブリンキングを巣穴から出すことから始めた。火属性のイルミと狩人のアルトには洞窟は、戦いづらいと判断したからだった。それは正解だった。視野が狭く入り組んだ洞窟は弓矢には不利であり、空気がこもる洞窟でも火属性の魔法は、アルト達にも危険だからだ。


 作戦としては、まずアルトが洞窟の入り口らへんにいるゴブリンをゴブリンの認識範囲外から弓矢で数を少しずつ減らしていく。数体倒した所でゴブリン達が警戒し始め、入り口を固めていたゴブリンが周囲の警戒のため、統率が取れず知能が低いゴブリンはばらばらに広がっていく。ある程度広がった所でアルトの弓とエイスの盾、そしてウルルの支援魔法で強化されたイルミが強力な魔法を洞窟の中に放っていく。


 結果は大成功であり、多くのゴブリンを倒す事ができ、なおかつ目的であるゴブリンキングを洞窟から炙り出すことができた。


 そしていよいよ本番であるゴブリンキングとの戦いである。まず、ウルルの支援魔法で強化されたエイスが、防御をしっかりと固め、ウルルに回復の支援を受けながらゴブリンキングの足止めをする。そして、そのウルルを守る形でアルトが、マジックゴブリンや後方に待機しているゴブリンを狙い、イルミが魔法で、前に出てくるゴブリンソルジャーなどを倒していく。


 前半は作戦通りスムーズに進めることができ、ゴブリンキングの周りにいたゴブリン達はほとんど倒すことができていた。だが、スムーズに行ったとしても、体力や魔力、矢などの武具の消耗は半分近くにもなっている。そうした状況の中で、いよいよ全力でゴブリンキングへの攻撃を開始する。

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