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森の家、祝福第一号!その名は狩人アルト!

 ヒイロは、それから正式に大工見習いを卒業したと言う形終わりにした。この世界では、弟子入りして3年間の間に怪我や病気など、どうしようも無い時を除いて、途中で辞めることは半端者として扱われ、挫折の道を歩むことが多い。


 それ自身は少ないケースでは無い。自分がなりたかった天職と全く違うもので諦めるものや、途中で頑張れない者も少ないないからだ。ただヒイロの場合、工場のみんなも大工の息子とは関係なく、ヒイロの人柄や頑張りや大工としてのスキルを認めていたので、世間では認められないものの、ヒイロの周りの人達は、大工見習い終了、そして卒業という形で見送ってくれたのだ。ヒイロは、家族も含め、前世よりも恵まれた環境にいたことを改めて感謝していた。


それから数ヶ月、冒険者生活に専念してらうちに17歳になり、冒険者のランクも見習いの最高ランク、Eランクにあっという間になっていた。


 そしてまた、月日が流れるのはヒイロ自身だけでなく、森の家の最年長アルトも15歳になり、祝福を受ける日が来ていたのだった。


 アルトはかなり緊張していた。アルトの願いとしては、出来れば天職《狩人》など、冒険者に向いている天職になりたかったからだ。ヒイロに冒険者になりたいと伝えた時から、冒険者向けの天職なら狩人が向いていると、教えてもらってから日々努力して来た。


 それは何故か。一つは、ヒイロと同じように冒険者になることで自分の家《森の家》やそこに住む弟、妹達を養っていきたいと考えていたからだ。


 もう一つは、ヒイロとミーナへの恩返しだった。家族が魔獣に襲われ、天涯孤独となり、日々絶望しながら生きていた孤児だった頃、たまたま出会ったヒイロに救われた。それがどれだけ幸運で幸せだったか、今も世界中に孤児や奴隷として今にも死にそうで、苦しんでいる子ども達がどれだけいるか……そして、ヒイロはまだまだ救おうとしているし、これで間違っていないかと悩んでいる姿も何度も見てきた。


 だからアルトは、自分が立派に独立して、一人でも森の家を養えるようになれば、ヒイロとミーナの2人が安心し、そして自分達にしてくれてことは、決して間違ってなかったと思ってくれるはずだと、アルト、いやアルトを含めたイルミ、ウルル、エイスの4人、森の家の年長組で話し合った夢でもあった。


 自分が祝福を受ける順番になった。アルトはあらためて自分の中で《狩人》になる、なってやると、決意を新たに祝福の間に向かう。


 思いが通じたのか、アルトの願い通り天職は《狩人》と告げられた。そして幸運なことに、《健康体》と言う加護ももらっており、祝福の間の神官に話しを聞くと、よく見られる加護の一つのようで、ケガや病気になりにくいとのことだった。


 アルトはすぐに森の家に帰り、エイスやウルル、イルミに嬉しそうに報告をした。そして、さっそく次の日、アルトはヒイロと共にオオタルの街にある冒険者ギルドに来ていた。もちろん冒険者登録を行うためだ。


 ヒイロは、そのままアルトとパーティーの申請を行い、アルトの希望で、パーティー名も単純に《森の家》と名付けた。パーティー登録を済ませると、クエストボードを確認して、2人でどうせならと、Eランクの1番報酬の良い討伐クエストに出かけることにした。    


 ここ数ヶ月は、ヒイロとアルトは、ほぼ毎回、一緒に狩りに行くようになり、ゴブリンやホーンラビット等は、アルト一人でも簡単に倒せるようになっていた。だが、今回はアルトの報酬第一としたので、Eランクのファングボア8頭討伐のクエストに行くことになった。


 さっそく、ヒイロが探索スキルを使い、ファングボアを見つける。いつも通りアルトに一発目を狙わせるように、合図を出し、アルトは見つからないように弓矢の射程圏内まで、ファングボアに近づいていく。弓矢の射程圏内に来たところでヒイロが思い出したようにアルトにアドバイスを送る。


「ごめん、ファングボアの倒し方教えてなかった。まぁあれだ!あれ、基本いのししと一緒で脳天に直撃させれば良いから、でっかーい猪」


 ヒイロのさらっとした説明にツッコミを入れるアルト。


「えっ、なにそれ!?なんかすごく簡単に言ってない!?大きい猪?いやいや、大きさ10倍はあるよ!!それにキバでかくない!?」


「ん?あぁそうだな!だから頭蓋骨とかも結構硬いから、かなり強めにな!」


「……それ結構、大事だよね。そういう所が天然なのか、計算なのか、まだわからないんだよなぁ……まぁいいや、なんとかなるだろ!じゃぁ、アルト一発目、思い切り行っきまーす!」

 

 アルトは、一息深呼吸を吐くと、一瞬で集中し、持っていた弓を構える。そして、次の瞬間、見事一発でファングボアの脳天に矢を直撃させていた。


 一撃だった。射抜かれたファングボアは、一度大きく吠えたもののそのまま、前から崩れるように倒れ込み絶命していた。技術もそうだが、威力も充分という証拠でもあった。ただ、アルト1人で来た時には、こうはいかない。まず、嗅覚と聴覚に鋭いファングボアを射程ギリギリ、それも急所である眉間を狙える正面のまで近づき、気付かれずに矢を放つことがほぼ不可能だからである。


 ヒイロはその様子を見て単純に驚いた。


「すごいじゃないか!出来るとは思っていたけど、一発目で出来るなんて!」


 アルトは胸を張りながら自慢げに


「やっぱオレ……天才!?なんてね!でも、この弓、手に馴染んで使いやすい……さすがヒイロ兄が作ってくれた弓だな」


「まぁ今回は特別に威力と命中力を確認するためのアシストだからな。これからは交互に討伐していこう。アルトの場合も基本、索敵から全部1人でやってみる。危ない時には助けるから」


「りょーかい!」


 弓の制作は、ここ最近ヒイロが、鍛治スキルや木工スキルなどもスキルコピーで取得し、自分なりの武器も作成していた。そこまで特別ではないにしろ、剣も弓も街の武器屋でも、売れるくらい性能が良く、アルトや自分達のオーダーメイドの武器が使えるため、とても重宝した。


「よし、アルト!この調子で、どんどん行っちゃうか!」


「オッケー!」


 結局2人は、腕試しのはずが、日が暮れる頃まで夢中になり、ストレージボックスの中には、ファングボア11頭にもなっていた。


 こうして2人は冒険者ギルドに戻り、討伐証明になるファングボアの大きな犬歯を10匹分、合計20本をストレージボックスから出し、受付に提出する。そして、クエスト受注の8頭分は丸ごと素材報酬として換金してもらい、あまりの2頭分は、肉だけ解体してもらうと、角や毛皮は素材報酬として換金してもらった。


クエスト報酬は、1匹あたり大銀貨1枚、合計10で金貨1枚と素材報酬が、同じく合わせて金貨1枚と大銀貨数枚になっていた。帰りは商店街に寄り、肉の他に果物などを街で買い、2人は、家族の喜ぶ顔を想像しながら、機嫌良く森の家に帰った。

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