子どもの決意と冒険者登録
祝福を受けた日からあっという間に一年が経ち、正式に大工見習いとなったヒイロは、実家を出て現在は、街の外れで一人暮らしをしていた。そして、父ノミルの職場で日々大工見習いとして働いていた。
もちろん一人暮らしと言っても、両親にそう見せているだけで、休日や仕事が終わった後は帰るふりをして、転移魔法で急いで森の家に行き、子ども達と一緒に暮らしていたのだ。
森の家の子ども達も、ヒイロに救われ、その森の家に住みはじめて、はや3年が経っていた。子ども達の1番年上の男の子アルトは14歳になり、残りのグループリーダーの女の子2人、イルミ、ウルルと残り1人の男の子エイスは13歳になっていた。
そして、当時は3歳で、1番幼かった子どもは6歳になり、すっかりこの家の生活も慣れていた。この3年間で、森の家の生活も安定し、元孤児の子ども達もすっかり成長し、逞しくなっていた。
また友達のミーナも自分の家で、商人見習いとして働きながら、よくヒイロの手伝いに来てくれ、食料や生活用品の援助等、とても助かっていた。
ヒイロは、スキル鑑定を使い、年長者のグループリーダーの子ども達に、適性にあった訓練を祝福前から教えていた。2人の男の子、アルトとエイスをそれぞれ、狩人と農耕者。2人の女の子、イルミとウルルは、それぞれ料理人と裁縫が適性傾向にあったので、あと1、2年後の祝福も、ヒイロの予想通りなら、そのまま天職になるだろうと考えていた。
ミーナも森の家の子どもからとても信頼されており、面倒見が良く、教え方が上手いため、孤児では絶対に受けることの出来ない簡単な読み書きを8~11歳の子ども達に教えてくれていた。
そして、この3年での一番の変化は、食料や生活必需品も子ども達自身でもある程度まかなえるようになっていたことだった。そして、ヒイロはこの3年でこの森の家の将来について考えるようになっており、そろそろ答えを出そうと思い、そのために自分だけでなくミーナにも来てもらい、そして4人のリーダーの子ども達を集め、話し合いを始めた。
「ミーナも一緒に聞いて欲しいんだけど、森の家の今後について、大事な相談なんだが、来年アルトは15歳になり、祝福を受ける。祝福を受けたら弟子入りをして一人立ちするようになるかもしれない。他の3人もその翌年だ。お前たちは、神の祝福を受けたらどうしたい?ここを出て、一人立ちしても、全然良いんだぞ?」
森の家の最年長、アルトがヒイロの問いに答える。
「オレはヒイロ兄にあの時、助けられてここに住んでから……ここがオレの家だ。そして血は繋がってないけど、大切な弟や妹達もたくさんいる。オレも少し前から考えていたんだけど……ヒイロ兄の予想通りなら、天職狩人になれるだろうから、このままここに住んで、狩人として、働きながら、弟や妹達を面倒見ていきたいと思ってたんだ。」
アルトより一つ年下のリーダーの一人、イルミもアルトに共感する。
「うん。私たちも邪魔じゃないなら、このまま……ここにみんなと住んでいたい。」
イルミの言葉にその他の2人のリーダー、エイスとウルルもうなずく。その様子にヒイロは安心するとともに、感謝をしていた。
「わかった……ありがとう。正直安心してる。もうこの家にとって、オレ以上にお前たちは、この家にとって必要な存在だよ。これからもよろしく頼む。」
その様子を見ていたミーナも嬉しくなり、自分が考えていたことを話す。
「良かったね!あ、ちなみに私もあと2年経って、見習いを卒業したら、自分の家を出て、ここにお世話になる予定だからよろしくね」
「えっ……てことは、ミーナ姉……ヒイロ兄の結婚すんの!?お嫁さん!?」
エイスは身体は誰よりも大きいが、少し天然なところがあり、ミーナにとって痛いところを突いてきた。
「アホ!お前たちの為に決まってるだろうが」
ヒイロは、いつもの天然発言にいつも通り冷静にツッコむと、何故か一人だけ、ミーナが密かに凹んでいた。
「……そんなすぐに否定しなくてもいいじゃない……。」
「よし……なんか色々スッキリした!それじゃあ、オレも今後のためにそろそろ本格的に休みの日はお金稼ぎを始めようかな!」
ヒイロの突然の言葉にミーナが反応する。
「お金稼ぎ?何か商売でもするの?」
「なぁに!手っ取り早く稼ぐにはアレが1番さ」
その日から数日たったある日、ヒイロは一人であるところに向かっていた。そこはギルドと言われる所。15歳になると祝福の儀ともう一つ、可能になることがある。それが冒険者登録だ。
祝福の儀にて天職を授かった後、大工などの専門職人ならその道で、親や師匠に弟子入りし、見習いとして働き、学者や僧侶など、また貴族家系などは学校などで学び、そして戦士や魔法使い、盗賊などの冒険者向きの天職を授かった者達が、そのままギルドにて登録して見習いとしてGランク登録をして冒険者生活を始めていく。
ヒイロもちゃっかり、登録する際になんの制限もないことをいいことに、冒険者登録をそのまま流れで他の冒険者志望の新人達に混じって登録していたのだった。




