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プロローグ〜とある元男性保育士の異世界転生〜

以前、連載したもの改訂版です。

前回読んでいただいた方も改めて楽しんでいただけたらと思います。丁寧に書き直したいと思いますので、更新は少し遅いかもしれません、、、

 「わーい、こっちこっち!!」「きゃははー、〇〇くん、みーつけた!」……東京の片隅にある小さな保育園。夕方、子どもたちはいつものように園庭で元気に遊んでいる。その中でも一際盛り上がっているのが……。

 

「がおー、お・ま・え・た・ちを食べてやるー」


「わぁーたすけてー」


「やめるんだ、いじわるかいじゅう!!せいぎのヒーローがたおしてやる!」


「おりゃーーー」


「や、ら、れ、たー」 


 ヒーローになりきっている年長組の子ども達と、もうすぐアラフォーに入る男性保育士の日下部くさかべである。



「あーたのしかった!やっぱり〇〇ライダーはかっこいいよね!」


「かべセンセーこんどは、わたしたちとおままごとしよー」


「だーめ!オレたちヒーローごっこしてるんだから!」


「ねーつぎはぼくたちとおにごっこしよう」

 

「あらあら、今日も大人気ですね!日下部先生」


「園長先生助けてください~、もう自分若くないです~」


「まだまだ保育士は死ぬまで現役ですよ」


「ですよね……。よし!みんな!今度はみんなでかくれんぼしよう!!」



 日下部の周りに子ども達が集まってくる。


「えーじゃあ、さいしょはかべセンセーがおにね!20かぞえてね、うしろみちゃだめだからね!」


「はいはい、いくよー!いーち、にー、さーん、、」


「るいくーん、お迎えきたよー」


 夕方は子ども達の親が迎えにくる時間だ。お迎えが来た子どもから夕方担当の保育士に呼ばれ、迎えに来た親の元へ帰る。


「ママだー!じゃあかべセンセー、バイバーイ!」


「はい、るいくんまた明日!さようなら!」



 日下部は小学生の頃から兄弟の子ども、甥っ子、姪っ子に囲まれて育ち、中学生になる頃には7人の甥っ子たちに囲まれ、抱っこはもちろん、ミルクにオムツ替えと高校進学の頃には自然と保育士になることを目指し、今に至る。普段から同僚からも女子力というよりも「おかん」力が強いと言われ、同僚にはもちろん、保護者のお母さん達からも、男性というよりも子育ての先輩として、信頼されていた。

 

「はー、今日も怪我もなく子ども達と過ごすことができたし、落ち込んでいた るいくんのお母さんも元気そうにしていたし、安心したわ。さてと、職員室で子ども達の今日の姿を記録して帰りますか!」


「きゃぁぁぁー」


「本郷先生どうした!?」


「え、園庭に包丁持ってる人が……」


「え!?本郷先生は大丈夫?先生、一旦落ち着いて、園長と警察に連絡、子ども達を奥の教室に集めて!!」


「は、はい!」



 園庭に走り、刃物のような物を持って、ぶつぶつ何かを呟きながら歩く男を見つける。日下部は様子を見ながら声をかける。


「すいません、何かご用がございます……か?」


 日下部は男と距離を取りながら、刺激しないように子ども達がいる方向との間に自然に入る。


 刃物を持つ男は、なにかぶつぶつと呟いている。

……「子どもを何匹か殺せば死刑になれるだろ。」


 日下部のもとに園長が駆け寄る。


「日下部くん大丈夫??こっちは警察に連絡して、子ども達も奥に避難したわ……。」


「わかりました、とりあえず園長先生はみんなといてあげてください、このまま距離を保ちつつ警察を待ちます。」


 男が手に持っていた刃物を両手に構え急に走りだし、叫びながら園長先生に襲いかかる。


「お前ら……邪魔なんだよーーー。」


「園長先生ーー!」


 日下部は、園長先生を庇うように男との間に割り込む。そして、その瞬間、男が持っていた刃物が日下部の腹部へと突き刺さる。


 日下部は自分の腹部に刺さった刃物を見ながら、男の方に掴みかかる。


「日下部先生ー!」


「警察は?警察はまだ?く、日下部先生が……」 


 男は日下部を押し倒し、日下部に刺さった刃物を力づくで抜こうとする。


「悪いな……これは意地でも離せねぇわ」


 日下部は最後の力を振り絞って刺さった刃物を抱え込みながら倒れる。男は、必死に日下部から刃物を取ろうと、抱え込んでいる腕や腹部をひたすら蹴り続ける。


……「おい!いい加減にくたばれ!!」

「お前一人じゃまだ足りない、これじゃあ死刑にならない」


 男はパニックを起こしながら叫び、すでに意識のない日下部をひたすら殴り続ける。


 すぐにパトカーのサイレンが響きわたり、駆けつけた警官に取り囲まれた男は、血だらけになりながら、絶望し、その場に立ち尽くす。


 日下部も救急車に運ばれたが、病院に向かう救急車の中でそのまま帰らぬ人となった。


          

          ◇◇◇◇◇◇◇◇



 日下部が目を覚ます。そこには、女の人と男の子が立っていた。なにもない空間。日下部はさっきまでことを思い出し、叫びながら刺された腹を触ろうとしたが感触がない、というよりも、手も足も胸も身体の感覚がない。不思議に思い身体の方を見ようとするとそこには、なにも無かった。



(なんだこれ、え、刺され……たよね、死んだのおれ?)


 日下部が戸惑っていると目の前にいた白いローブを羽織った美しい女性が優しく話しかける。


「残念ながらあなたはすでに死んで魂だけの存在となっています。」


 その女性の隣に同じように白いローブの男の子がこちらの方を見ていた。


「かわいそうに……。」



 日下部は咄嗟に、2人に話しかけるが言葉が出ない。


(やっぱり死んでる……!?。子どもたちは保育園はどうなったんだ??)


 聞こえないはずの言葉に男の子が答える。


「大丈夫、子ども達も保育園の先生達もみんな無事だったよ。」


 日下部は自分が死んでいるにも関わらずほっとした。


(良かったー。みんなを子ども達を守れたのなら本望だよ。ここはあの世なのかな?それでこれから成仏させてもらえるのかな?)



 日下部の問いに女性が答える。


「はい、ただ出来ればこちらのお願いを聞いていただけるとありがたいのですが…。」


(お願い?)


 続けて男の子が話す。


「うん、きっと日下部さんにぴったりだと思うんだ!」


(ぴったり?それよりあなた方は何者ですか…?)


「私たちはいわゆる神といわれる存在です。私は転生を司る神で、こちらは……子どもを守る神です。」


(か、み、さ、ま…!?)




 日下部は目の前の2人が神様だと知り、驚く。


「はい、そしてお願いごととは、あなたを地球でない、違う世界で改めて子ども達を、世界を守ってほしいのです。」


「うん、その世界は、地球とは全く環境が違くて、まだこれからももっと、状況が悪くなって行きそうなんだ!」


「どうか、私たち達の代わりにその世界に行き、世界を救ってくださいませんか?」



 2人の願いに戸惑いながら日下部は答える。


(…いきなりですか?てか、世界を救う力はオレにはありませんよ。自信もないし、頭もそこまでよくありません。)


 日下部の答えに男の子が反論する。


「そんなことはないよ、僕たちは見てたんだ。怖くても子どもを冷静に助けようとする姿を。そして力なら僕たちの力を分けてあげられるから、大切なのはその心なんだ。」


「お願いです。日下部さんならきっと良い方向に世界を導いてくれるはずです。」



 日下部は自信がなかったものの、2人の神様の後押しになんとか自分を納得させながら答えた。


(わかりました……が、期待しないでください。自分でも出来る限りのことはしようと思いますが、正直なんの取り柄もない人間なんで…。)


 日下部が納得してくれたことに安心し、女性の神様が日下部に優しく話しかける。


「ありがとうございます。それでは今から転生させるので、目を閉じてください。私たちの加護とともに、あなたが転生する世界はシャングリラ、魔物や魔法がある世界です。世界をよろしくお願いします。」


 そのまま日下部の意識が消えていく。



          ◇◇◇◇◇◇◇◇



 再び意識が戻り、視界が開けると、そこにはぼやけた視界が広がり、うっすらと男女の姿が見えた。


「お、目が開いたぞ!オレに似て、切れ目のいい男だ!」


「そうね、鼻立ちもパパそっくり、でも口は私だわ!」


 日下部は今度は少しではあるが身体の感覚があることを感じ、しゃべろうとするが口が思うように動かず、身体も思うように動かせない。


(しゃべれない……身体が思うように動かない……転生ってことは、生まれ変わる……赤ちゃんから…て、こと?じゃあこの二人は両親…)



 そう、目の前で赤ちゃんの日下部を覗いている若い男女は、転生した異世界での日下部の父となったノミルと、母ミコルだった。


「ママですよー、あなたの名前はヒイロ!ステキな男の子になってね!」


「そうだぞーパパのようにりっぱな大工職人になるんだからなー!」


 2人の優しく嬉しそうな顔を見て、日下部は転生前の自分の両親を思い出していた。


(なんだか自分の両親を思い出す…。お父さんもお母さんも元気かなー。きっとよく子どもを守った!!って褒めてくれてるけど、でも、親より先に死ぬなんて親不孝もいいとこか……そこは本当に申し訳ないなぁ。)





 この物語は、元保育士の日下部クサカベが、とある異世界に転生し、これからこの異世界の守り人となり、子ども達を世界を救っていく物語である。

とにかく読んでいただけると嬉しいです。

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