表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
99/566

黙して語らない騎士はマイペース。


黒塗りの馬車の扉を侍従の人が開けて、中から人が出てきた。

ルピスさんと、今回は魔術師のお供の人が3人一緒だ。


銀髪の長い髪を一つにまとめ、薄紫の瞳をしている・・、少し気難しそうな顔をしているが、キラさんに似てる!そしてイケメンだ!!思わず目を丸くして見てしまった・・。


団長さんが、すっと前に出てきて敬礼する・・


「王都からの長旅、お疲れ様です。シーヤ騎士団団長のラトル・ユリ・ファルトと申します」

「ルピス・ディートリアです。今回は急なお願いに関わらず、話を承諾して頂き感謝します」


静かな声も、キラさんに似てるー!

意外と受け答えも優しい感じだし・・、普通に優しそうな印象だった。

団長さんも少しホッとしたような感じだった。


「まずお疲れでしょうから、一度お休み頂いてから、執務室でお話させて頂けてますか?」

「ご配慮、感謝します。それではそうさせて頂きます」


そう話すと、ルピスさんは団長さん横に並んでいるキラさんをチラッと見る。

思わず、ドキッとするが・・、ルピスさんはすぐに目を逸らす。


ホッとしていいのか、ちょっと寂しいな・・と思うべきなのか、ちょっと複雑な光景だ。団長さんがこちらを見るので、私とフランさんで一歩前に出る。

団長さんは私達を紹介し、部屋へ通すように話す。



団長さんから私を紹介されると、ルピスさんは、じっと私を見る。

あ、薄紫の瞳も綺麗だなぁ・・。

ちょっと瞳が揺れて、すぐに逸らされた。


・・・うん、その仕草も似てるなぁ・・。兄弟って、離れてても似るんだなぁ・・なんて思ってしまった。


「こちらです」


フランさんの声で、ちょっと考え事していた私は、ハッとする。

いかんいかん、今は仕事!

そう思って、お部屋までフランさんと案内しに行った。



宿舎の説明をざっとして部屋を出ようとすると、ルピスさんは「ありがとう」とお礼を言ってくれた。扉を閉めて、宿舎を出てから、フランさんと顔を見合わせる。



「すっっごいキラさんに似てましたね!!!」

「ね!!!僕もそう思いました!!声まで似ているし・・驚いちゃいました!!」



思わず二人できゃっきゃしちゃったよ・・。


「でも、キラさんには声・・かけないんですね」

「まぁ、ずっと離れていたし、ウルキラさんは家族はニルギさんだけ・・と、思っているようですし」

「・・そういうものなんですね・・」

「家族の情っていうのは、血・・ではないんですよね」

「フランさん・・・なかなか深い事、言いますね?」


私がフランさんに言うと、少し照れ臭そうに笑う。

そうだよね・・、血だけじゃないよね。あのキラさんが写真を撮る時、ニルギさんにお願いするくらいだし・・。


「まぁ、とりあえず大人な方みたいで安心しました・・。あとで僕が執務室まで案内しますから、ナルさんは今日は掃除の方をよろしくお願いいたします」

「はい!頑張ります!」


そういって笑って、私は寮の掃除の方へと向かった。


途中、キラさんが執務室へラフさんと行く姿が見えた。

ちょっと手を振ると、小さく振ってくれて・・、それだけでなんだか安心した。


お昼は一緒に食べられるかな・・、今日は難しいかな・・。

そう思って掃除に取り掛かった。


掃除があらかた終わって、掃除用具を片付ける。そろそろお昼だし、食堂へ向かおうとすると・・団長さんとお供の魔術師さんを連れて見学しているルピスさんに会う。

小さく会釈して、横を通り過ぎようとすると、


「あの・・」


と、声が聞こえて振り返る。


ルピスさんが私を呼び止めた・・?じっと、私を見ている。

な、なんだろう・???


後ろで団長さんが、ポーカーフェイスでいるけど・・私にはわかるぞ・・焦ってる顔している。さて、どうしたものか・・そう思っていると、


「ナル」


振り返ると、キラさんが立っている。


「ミラファ殿が呼んでいる」

「あ、はい!・・えっと、すみません・・失礼します」


急いで頭を下げて、私はキラさんの方へ走って行く。小声でキラさんにお礼を言う。


「すみません・・、どうしたらいいかと思ってたんで助かりました」

「・・そうか」

「キラさんは・・、その・・・」


なんて言えばいいかな・・、話さないの?とか、気になる?とか?・・どれも言葉にならず、思わずキラさんの顔を見ると、そっと頭を撫でてくれた。


「一緒に昼を食べよう」

「・・・・・うーん・・・そっちかぁ・・・!!」


思わず言った私は、悪くないと思う。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ