黙して語らない騎士、ようやく愛でる。
熱を出した翌日、キラさん完全回復。
なんなの、超合金なの?
ケロッとした顔で朝日を浴びて起きると、
「治った」
「うん・・・・、多分そうだと思うけど、人間というのは、1日様子を見た方がいいという習慣もありまして・・、今日もお休みもらってるし、家でゆっくりしましょうか?」
「そうか・・」
良かった・・・納得していただけた。
人間の基礎的、基本的な習慣を時々まるで知らないキラさんに、少しでも覚えてもらおう・・この際だし。
「キラさん、朝ご飯は食べられそうですか?」
「ああ」
「じゃあ、一緒に食べましょう」
そういうと、ものすごーーーーく嬉しそうに水色の瞳が微笑む。可愛い・・。
ちょっとキュンとしてしまった・・。
と、キラさんがぎゅっと抱きしめてきた。
「き、き、キラさん!!??」
「・・・・ナル」
「・・・はい」
「ナル」
ギュウッとキラさんは、どうも私を堪能しているようだ。
遠征から帰ってくると、いつもこんな感じだもんね・・、わかってた。背中をぽんぽんと叩くと、キラさんは密着度を更にあげた。・・・あの、すみません、若干苦しいです・・。
「き、キラさん・・、もうちょっとだけ腕を緩めて欲しい・・」
「看病・・・」
「うん?」
「・・・・初めてだった。嬉しかった」
「ああ、熱をほとんど出した事ないって言ってましたね・・」
あのニルギさんが驚いていたんだから、本当に熱はなかったんだろう。
「怪我で寝込む時はあった」
「キラさん、怪我した事あったんだ!???」
「何度か・・・」
「何度か」
・・・・・多分、人よりは絶対少ないのであろう。
騎士団の人に「今回も鬼神でしたよ!!」とか「一人で20体以上殺ってて・・、怪我人出さなかったんすけど、ウルクがこけて切っちまったくらいで」とか言ってたし・・。
「・・その時、一人で寝てたから・・嬉しかった」
見える・・見えるぞ。
黙して語らないキラさん・・、痛いとか、熱いとか、何も言わないから大丈夫だろうと思われて、ポツンと寝ている姿が・・。私は、思わずぎゅっと抱きしめ返した。切ない。
「・・・・キラさん・・、また熱が出たらいっぱい甘えて下さいね」
熱が出た時って、心細いじゃん!
キラさんは嬉しそうに笑って私を見つめる。
「ああ・・・」
なんか、一言しか返さないんだけど・・、その一言に嬉しさがいっぱい詰まってるみたいで・・。ぎゅっと胸が切なくなる。
「・・・また熱が出たと思う」
「え!!!そうなんですか?じゃあやっぱり寝ます?」
「ナルと寝る」
「え、なぜ?」
キラさんは、ヒョイっと私を担ぐ。
ん?
担ぐ??
「・・・キラさん、私は麦袋になったのかな?」
「ナルはもう少し食べた方がいい」
「いや、キラさんにもらったチョコを・・あ、そういえばチョコありがとうございます!」
そんなことを言いながら、そっとキラさんが私をベッドに腰掛けさせる。
「・・・ああ」
「チョコ・・嬉しかったし、ニルギさんのお花とか、イヤリングとか・・、あ、あと写真!!!すごく嬉しかったです」
にっこり笑うと、キラさんも私の隣に座る。
・・・ええと?
「寂しかった」
「あ、はい・・、ええと、私もちょっと寂しかったですよ?」
「そうか」
「だから・・、手紙も、川の写真も・・嬉しかったです。今度、河原までピクニック・・・行きません?懐かしいなぁって思って・・」
「行く」
うん、迷いのない一言。
私は、そっとキラさんの額に手を当ててみる。
熱・・・、もう下がってるみたいだけど・・、やっぱり熱いのかな?
「キラさん、熱の具合は・・」
そういうと、チュッと音がするキスをされる。
「ナルと寝れば治る」
「〜〜〜〜キラさん・・・あの、熱とは本来そういうものでは・・」
そう話す途中で、またもキスされ・・、一週間分の私を補充するかのようにベッドで大変愛でられる結果となり、まぁ、もうお約束かな・・と思う事にした。甘いけども!!!恥ずかしいけども!!
ちなみに起きてから、何か欲しいものがある?
と、聞いたところ・・
「ナル」
と、お約束のように言われた。・・・・・いや、参考にならん。




