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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士は帰りたい。


王都から来た騎士団の5人と、騎士達を連れて遠征である。


今回は魔物の生態調査と討伐だが、いつもはいない王都の騎士達にうちの騎士達も緊張しているようだ。いつも緩みっぱなしなので、こういった形もいいのかもしれない。



・・・しかし、一週間は長いと思う。


団長の「ごっめーーん、今回一週間だけどお願いしまーす!!」という軽い上に薄い一言に叩き斬ってやろうかと思ったが、他の騎士達に全力で止められた。


ナルの写真がなければ斬っていた。



王都の騎士達は、流石に優秀で・・


「こちらの魔物は、王都近くと動きが違いますね」

とか

「ウルキラ殿は、普段どういった訓練をなさっているのですか?」

など、


まぁ、熱心だ。

うちの騎士達ももう少し向上心を持って欲しいが、仕方ない。


「ウルキラ副団長〜〜、今日はどうしますかぁ〜」


ウルクが気の抜けた声で声を掛けてくる。朝報告したはずだが・・?

そう思ってウルクを見た途端、他の騎士達にブン殴られ、「朝言ったろ!!!」と怒られていた。やはり報告してたか。後ろで「あいつ・・いつも死に突っ込んで行くな」と囁かれていた。

・・・どこへ突っ込む気だ。



「本日は、近くの村で出る魔物の討伐!その後、陣営を作って休む」



そういうと、一斉に騎士達から返事が来て、各自用意をする。

あと3日・・。ナルに会いたい・・。


少し思ってから、仕事へと気持ちを切り替える。

あとでしまっておいた写真を見よう・・と、チラッと思いつつ。



魔物は、村近くに巣を作っていたらしく相当数いた。

王都の騎士達は的確に潰していくので、うちの騎士達にフォローをさせる。見て学べ。


こちらへ流れてきた魔物は、手早く仕留める。


「気を抜くな、村へは一匹も寄せ付けるな」


返り血を腕で拭きつつ、騎士達に話すとピリッと引き締まる。

実戦だと顔つきも変わっていいな。

今度、シーヤの周りの魔物の討伐にも連れて行こう。


あらかた討伐を終え、始末をしてから近くの川に陣営を作る。


怪我もなく、無事に終えられた事にホッとする。

一旦、交代でテントへ入って休む。


自分のカバンから、ナルの写真を出す。結婚記念で撮った写真のナルはすごく可愛い・・。普段の笑顔も可愛いが。知らず顔が緩む。・・・・・写真をみれば耐えられそうだと思ったが・・、早く会いたいという気持ちばかりが募る。


「・・・・ナル」


ポツリと呟くが、


「キラさん」


と、嬉しそうに返事をするナルの声が聞こえなくて、やはり寂しい。

そっと笑顔のナルの写真の顔をなぞる。

寂しくないように、お菓子やメモ、写真を置いてきたが、・・・ナルは、少しは寂しがってくれているだろうか、会いたいと思ってくれているだろうか・・・そんな思いもあった。


「う、ウルキラ副団長殿!」


テントの外から声がする。

・・・ナルの写真を見ていたのに・・・。


「なんだ」


素早くテントから、体を出す。


「て、てて、手紙が来ましたので、お渡しします!!」


緊張した面持ちの騎士から手紙を受け取り、裏の差出人を確認する。

一枚は団長・・・・・・。


もう一枚は、ナルだ!!!!


思わず目を丸くする。

素早く、かつ丁寧にナルからの手紙を開いて読む。


『キラさん、元気ですか?団長さんに手紙を書いたら送るよ、というので書いてみました。以前もらった時、嬉しかったので・・、怪我に気をつけて下さいね。チョコありがとうございます!美味しく食べてます。帰ったら、またお菓子屋さんに行きましょう』


・・・・・・・可愛い。

うちの奥さんは、世界一可愛い・・・・。


手紙を何度も読んでしまう・・。

嬉しい・・、物凄く嬉しい。


・・・と、前で青ざめている騎士が目に入る。


「・・・どうした?」

「だ、団長さんからの手紙はなんと・・・?」


そういえば、団長からも来てたな、雑に開けて中身を確認する。



『ごめーん、あとシーヤの側の前言ってた場所も確認してから帰って来て!』



俺は手紙を握り潰した。

ヒィッと目の前の騎士が青ざめ、その後ろで固唾を吞んで見ていた騎士達も一斉に青ざめていた。なぜだ。





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