黙して語らない騎士は、画策する。
二人で騎士団を後にした帰り道、いつも食べに行くお店に行くかと思ったら、今日は違う通りに向かう。
「あれ・・?キラさん、いつものお店じゃないんですか?」
「ああ」
手を繋がれたまま、歩いて行くとリルケさんが向こうで手を振っている。
「リルケさん!」
「お仕事お疲れ様〜、ちょうど良かった〜どうぞどうぞ〜」
「え?え???」
お店・・?なのかな、キラさんと一緒に店に入ると、そこには服が並んでる。
「洋服屋さん・・?」
「そうなの〜、最近友達が始めてね!ウルキラさんの話を聞いて、いつもお世話になってるからって・・、今回洋服を好きなだけ貸してくれることになったの」
「は、はあ・・???」
あかん・・話が見えない・・キラさんを見てみる。そうすると、ああ・・、そういえば・・みたいな顔になる。
「ナルがスーツの俺の写真を撮りたいと言ってたから・・」
「あ!!なるほど、そういう事・・!!じゃあ、キラさんスーツに着るの?!」
ようやく納得したし、嬉しい!!
ちょっと言ってた事・・覚えてくれてたし、やってくれるんだ!!感動したよ!あの言葉が足りないキラさんがそんな素敵な事をしてくれるなんて・・!!!・・・今、現在も若干足りなくて混乱したけど。
感動している私の横にリルケさんが来て、
「ナルさんも、もちろんドレス着るのよ!ウルキラさんだけじゃないわよ〜!」
「え?!そうなんですか??!」
・・・できればスーツのキラさんだけでも良かったのに・・。
「俺もナルのドレス・・見たい」
「いやぁ・・、こんな純正100パーセント日本人にドレスが合うかは微妙だけど・・」
「見たい」
「・・・はい、わかりました」
キラさんの圧がすごい。
わかりました・・、着させていただきます・・・。
そうして鼻息荒くリルケさんが、どの色のドレスと合わせたスーツにしましょうか〜〜?と迫ってくる。すごいリルケさん・・。でもありがとう・・いなかったら、恥ずかしくて選べなかったと思う。
二人で選んだのは、白いスーツとドレスだった。
私があっちの世界の結婚式での話をしたら即採用された。
お互いに、試着室で着替えたら写真を撮ろう・・と、話して着替えに行く。
といっても、ドレスは一人では着られないのでリルケさんが手伝ってくれたけど・・。ドレスは、ウエストから広がったラインになっていて、ちょっと・・いやだいぶ乙女心をくすぐるデザインだった。
「髪もセットしたげるわ〜〜」
「ありがとうございます・・、すみません・・何から何まで」
「うふふ〜、ウルキラさんは私達のきっかけを作ってくれた人ですしね・・」
「あ、ラフさんとその後・・どんな感じですか?」
「ええ〜〜〜、うふふふふ〜〜〜」
「幸せそうで、良かったです・・・」
ニッコニコなリルケさんは、手早く私の髪をセットし、お花のヘッドドレスを着けてくれた。おお、可愛いなぁ〜〜。ついでとばかりにメイクまでして頂いた。
今気づいたけど・・メイク道具あったんだ!!!
そうして、着替えが終わってお店の入り口へ向かう。
うぅ・・・なんかめちゃくちゃドキドキしてきたぞ・・?目がウロウロと泳いでしまう・・・・。
「ナル」
キラさんの声がして、前を見るとスーツを着たキラさんが立っていた。
少し日が暮れ、お店のランプが灯りでほんのりと照らされたキラさんはそれだけで綺麗なのに、白いスーツがバッチリ似合っていて・・、王子様かな?と思わせる姿だった。
「わ・・、キラさん・・・すっごい格好いい!!!えーーー私も写真撮りたい!!!いいなぁ魔法!!」
思わず駆け寄って、キラさんを見まくってしまう。
えーー、ものすごく格好いい!!
胸ポケットに花が飾られていて、自分のヘッドドレスの花と同じだと気付く。
わぁ、本当に結婚式みたい・・、そう思ったらなんだか照れ臭くなって・・またちょっとキラさんを見られなくなってしまう。
「ナル・・綺麗だ」
「あ、ありがとうございます・・・」
あかん・・真っ赤になってしまう。
キラさんの一言・・ストレートだから、なんというかそわそわしちゃう・・・。
早い所・・写真撮らないと真っ赤な顔の私しか写らないのでは・・?
次話で完結です〜。




