黙して語らない騎士は奔走する。4
私が忙しくなると、キラさんが家でくっつく時間が長くなる。
当社比30パーセント増。
ベッドの上で、私の後ろでお腹に腕を回して、首元に顔をすり寄せている。くすぐったい。
・・・原因はわかっている・・。私がお祭りで忙しいからだ。
「キラさん、このお花可愛い?」
「ああ」
「こっちの飾りは、こんな形でいいと思います?」
「ああ」
いつもの返事だが、くっついていればキラさんは、少し落ち着いてくれるので、そのままにしている。
「・・ごめんねキラさん・・。騎士さん達も、団長さんも、町の人もみんな喜んでくれたらいいな・・と思ったら、なんだかドンドン止まらなくて・・」
「ナルが楽しいならいい」
「キラさん、寂しくない?大丈夫?」
「寂しい。大丈夫じゃない」
素直な言葉に笑ってしまう。
言葉もだいぶ感情を出してくれるようになったな・・。そう思うとちょっと嬉しい。
「お祭り終わったら、デートしましょうね」
「デート・・」
「しばらく行けてなかったし・・、あのお花のイヤリング・・つけたいし」
「・・・・ああ」
イヤリングは大事すぎて、職場には着けていってないのだ。落としたら悲しすぎるし・・。お休みの時に着けると、キラさんがニコニコ嬉しそうに見てくれるけど・・。
キラさんが、首元にキスしてくるので、ひゃあ!!と、変な声が出る。
「キラさん〜〜」
「そろそろ遅いから休もう」
「え〜・・もうちょっとやっておきたいです・・」
「明日手伝う」
「本当ですか?」
「ああ」
・・・・キラさん、こういう飾りを作れるのだろうか・・。武器の管理とか修繕はやっちゃうから、手先は確かに器用そうだし・・、まぁ出来たらラッキーくらいで、いいか・・。私はベッドに散らばっていた紙を片付ける。
片付け終えると、キラさんが嬉しそうに私を見る。
・・う、その表情に弱いんですが・・。
思わず目を逸らす。
「ルーナは、海を見るのが好きだそうだ」
「え?!どこ情報ですか?って、いうかどうして突然??」
「ナルが知りたがってたから、聞いてみた」
ああ、そういえば何が嬉しいかって言ってたな・・けど、聞いたんだ!?キラさん・・そっちが驚きだ。
「・・で、今思い出したんですか?」
コクっとうなずくキラさん。
「今、俺が嬉しかったから」
「・・?何が嬉しかったんですか?」
「俺を見てくれた」
・・・・・キラさん・・・。めっちゃ甘い・・甘すぎです・・・。
本当にこの人は、私が好きすぎだな?!
私は、長く付き合えば慣れていくかな?と思ったけど、まだ慣れる気配が全然ない。心臓を鷲掴みしてくるし、やっぱり目が合うと、真っ赤になってしまう。
「ナルは?」
「何が嬉しいか・・ですか?」
水色の瞳が興味津々でこっちを見る。
う・・目は正直というか・・雄弁だなあ・・。
色々あるけど、すぐに思い付かなくて・・ちょっと考えてしまう。
「・・・うーん、キラさん?」
「俺・・?」
「キラさんがいてくれて嬉しい・・とか、どうですかね?」
そう言うと、それはそれは嬉しそうに笑って、キスしてくる。
ちょっと私も大概甘かったかな・・。そう思ったけど、たまには糖分必要だもんね?・・いいよね?ちょっと言い訳がましく思いつつ、キラさんの首元に顔をすり寄せてみた。
翌朝、キラさんによって完璧な飾りが出来上がっており、「こ、小人さん・・!!!?」朝イチで驚愕した。
私よりずっと上手いんだもん・・。
そんなこんなで、あっという間に月日が過ぎていった。
お祭りの準備と並行して、王都の騎士団の人が来るための準備もあって・・。手がいくつも欲しくて・・リルケさんにも声をかけて手伝ってもらった。
すみません・・、今度菓子折り持っていきます!!




