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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士は出張です。


シトシト・・と、雨が降っている。


一つため息をつきながら、キラさんが借りたお家の窓から、雨が降る海を見る。


今日はとっても静かだ・・。

なぜならキラさんが昨日、出張へ行ったからだ。

3泊4日、隣の町に魔物が出たので、討伐へ新人の騎士さん達を連れて指導、訓練を含めて出かけた。


団長さんが、笑顔で「ウルキラお願い!」って言った時は、物凄いどす黒いオーラが訓練場に流れたようで、騎士さん達がめちゃくちゃ怯えていたそうな。お昼を食べよ〜って籠を持ってきたら、騎士さん達に「お怒りを鎮めてください!」と、半泣きで頼まれた時、一体何してくれてるんじゃ・・と思ったよ。

キラさんと団長さんに・・・。


一緒にお昼を食べて、頭を撫でたら大分鎮まった・・と思う。

その後、めっちゃキスされたけど・・。

・・本当に鎮まってくれ・・・。


まぁ、結局昨日は出かける直前までずっとくっついていたし、今日のキラさんは大丈夫だと思う・・。

頑張れ、新人騎士さん達。お土産よろしく。



ここの所、魔物も出なかったのでキラさんは、長い間騎士団にいたらしい。

私はまだここへ来て、ようやく半年経ったくらいなので、そうなんだ・・くらいの感覚しかないけど、普段は国同士の小競り合いがあったら戦いに行くし、領地を荒らす盗賊や、魔物の討伐もあって、騎士団にずっといる方が珍しいそうな・・。


そういえば、私がいる時でさえ、魔物の討伐で2週間以上帰ってこない時もあったし、そもそも出会いが、魔物が出るから危ないって、手紙をキラさん自らが届けに行った帰りだったもんな・・。


「色々抱えすぎちゃうから、ナルさんがいてくれて、ちょうどいいくらいになったよ〜」


なんて団長さんは言ってたけど・・。

そんなもんなのかな・・。


もう半年経つ・・。

しかし、キラさんの心配性と過保護っぷりは留まる事を知らない。

糸の切れた凧のようである。


ニルギさんは、いつも笑って見てるけど・・、たまに止めて欲しいんですよね・・。



綺麗な水色の瞳が、昨日はずっと私を甘く見つめてくるから、目は泳ぐし、ぎゅうぎゅうに抱きしめられちゃうと、本当にどうしたものか・・。その度に心臓が全力疾走するんですよ。


いつもキラさんが座っている椅子をちらっと見る。

キラさんがいない・・。

はぁっとため息が出る。・・・やっぱり、ちょっと・・、私も寂しいかもなんで・・早く帰って来てキラさん。


と、ドアをノックする音が聞こえた。


「はーい」


ドアの方へ歩いていき、覗き穴から外を見ると、リルケさんが立っていた。

あれ、珍しい!いつもなら賃貸業のお仕事の時間なのに・・。



「今開けますね〜」


そう言って扉を開けると、笑顔のリルケさんが「こんにちは〜」と挨拶してくれた。可愛い・・・。


「突然ごめんなさいね〜〜。ね、申し訳ないんだけど・・、このお魚ちゃん・・預かってくれない?」


リルケさんがそう言って、持っていた籠からガラスの瓶に入った赤い金魚のような魚を見せた。


「え・・、でも私・・魚育てた事ないけど・・」

「あ、それは大丈夫!この魚、恐ろしく手がかからないの!瓶に入れっぱなしで、大丈夫!!餌は朝一回!水も後3日後に迎えにくるから、取り換えもしなくて大丈夫!!」


リルケさんは力説するけど・・・、まぁ、いっか・・・。今、ちょっと寂しかったし。


「うん、じゃあ・・お預かりします・・。だけど、急だね・・、何かあったの?」


「うちに研修に来た子が、猫の獣人なの・・・。「いつか手を出して、食べてしまいそうで怖い!!」って、事務室に来るたび嘆くから・・。うちにも猫がいるし・・。他の人も色々飼ってて・・」


いつもは明るいリルケさんの目が淀んでいる・・。どうも色々部屋を移すなど工夫したが、猫の獣人さんは吸い寄せられるようにお魚さんの元へ行ってしまうらしい・・。猫の獣人・・、ちょっと見てみたい。



そんなわけで、急遽預かった赤いお魚さんと、ほんの一時とはいえ、共同生活することになった。




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