表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
64/566

黙して語らない騎士・・。3


「キラさん、あの、ここ・・道端でして・・」


人!人の目が気になるんですよ!!!

私は顔が赤くなる。往来の前でイチャイチャは、その、無理なんですけどー!!!!


「心配した・・」

「う・・、それについては大変申し訳なく思ってます」

「次は、すぐ俺を呼べ」


キラさんが、じっと私を見る。絶対ダメ!という強い思いが溢れてますね。


「はい、以後気をつけます・・、気をつけますから・・・あの、腕をですね」


ちょっと道ゆく人に見られて、私の心臓は大変、塩梅が悪いんですよ・・。

息も絶え絶えに訴えると、キラさんはそっと体を離してくれた。が、今度は手を繋いで黙々と歩き出す。あ、あれ・・?


無言のキラさんに、思わずドキドキする・・。急にリルケさんを助けようと思って、後先考えず飛び出してしまったからまだ怒ってるのかな?とか・・。うん、それが原因かも・・と、思いつつ、感情が見えないキラさんに不安になる。


どこへ行くんだろう?と思っていると、お菓子屋さんのすぐ裏手にある二階建ての階段を登っていく。

と、リルケさんから貰った袋から鍵を出す。


「あれ・・?鍵??」

「ああ」


そういって、扉を開けるとガランとした広い部屋に入った。

白い壁に、木枠の窓がいくつかあって、右側の大きな出窓を見ると、海が見える!


「わ・・、海が見える!」


思わず駆け寄って、窓から海を見ると、キラさんが出窓に腰掛けて、窓を少し開けてくれた。


「・・・綺麗だな」

「はい!・・でも、ここ、どこですか?」


「借りた」


・・・うん?借りた??私は、キラさんを不思議そうに見た。


「・・ナルと住みたいと思って・・」


キラさんは、ちょっと目を伏せて私に言う。え?いつの間に??

っていうか、私は何も言った覚えが・・。あ、いや、言った・・・。言いましたね。あれ、でもそれにしたって、早くない?


「・・・えっと・・?」

「・・大分前から、少し考えていた」


ああ、それなら納得できる・・ような?


「あ、そうなんですね・・。なんか家探しとかすぐできるイメージじゃなかったんで、早いよね?って、ちょっと混乱してました・・。って、大分前って・・いつ頃ですか?」


「遠征に行く前」

「いや、結構前ですね?!」


そういえば、遠征前だったな・・リルケさんに会ったの・・。あれじゃあ、賃貸業とかしてるのか・・・?今度会ったら、リルケさんに聞いてみよう。そう思って黙り込んでいると、キラさんがじっとこちらを見ているのに気付く。


「・・・・嫌、だったろうか・・」


キラさんの水色の瞳が、不安そうにゆらゆらと揺れている。

あ、キラさんでもそんな風に思うんだ・・って、思ったら、キラさんの握りしめている手にそっと触れる。


「・・そりゃビックリしましたけど・・。嫌ではないです」


うう、顔がじわじわ赤くなっていくのがわかる。目が合わせられない。無理です。



「約束・・しましたし?」



ああー!!恥ずかしい!!!手汗やばいよ・・。キラさんがいつの間にか開いた手で私の手を繋ぐけど・・若干しっとりしてる。あ、キラさんも、しっとりしてる?緊張してる??


「ナル」


静かに呼ばれて、恥ずかしさで一杯なんだけど、ゆっくりキラさんを見ると、あ、表情筋めっちゃ動いてる。綺麗な顔がすごく嬉しそうにこっちを見ている。


そう思ったら、この不器用な人、私・・すごく好きだな・・、一緒にずっといられたらいいな・・と思った。


「キラさん、好き」


思わず口から気持ちが溢れてしまって、そう告げると、嬉しそうな顔から、ものすごく甘い顔になって、空いていた手で私の頬を優しく撫でる。あ、胸が痛い・・。

優しさに切なくなるって、あるんだな・・


目を瞑ると、キラさんが約束のようにキスをする。


「ナル」


名前を呼ばれて、目をそっと開けると頬に、瞼に、また唇にキスする。大好きだって、言葉にする代わりに伝えてくるから、ぎゅうぎゅうと胸は痛くなるし、恥ずかしさがまたやってきて、キラさんの胸に顔を埋めると、静かに抱きしめてくれた。



・・・今は、二人きりだしいいか、と思って、私はキラさんの背中に腕を回した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ