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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
62/566

黙して語らない騎士は・・。1


何だ・・結構面倒臭い人が来たと思ったけど、そうでもないんじゃないか?

私は、少し安心して訓練場までの足取りが軽くなる。


「ラフさんは、意外にいい人ですね」

「あんまりいい言葉ではないな・・」

「え?いい人ってダメですか?」


ラフさんは、じろっとこちらを見る・・。


「つまり、俺は君の興味の対象じゃない」

「・・・ええと・・?」

「恋愛的な意味だ」


びっくりして目を丸くする。いや、驚くだろ?!どこにライクからラブになったの?!心底驚いている私に、面白そうに笑う。


「・・これをきっかけに興味を持って欲しいが」

「えっと、すみません・・それは」

「わかってる・・。ちょっと言ってみるくらい・・いいだろ?」


訓練場へ入って、中庭の方へ歩いて行くけど、私はちょっと混乱してた。そんなもんなの???そんな感じでポンポン好きって言っちゃうものなの?異世界の常識なのか???


ラフさんは、少し遠くを見るような目で、静かに言う。


「・・たまに、ここへ仕事に来てもいいだろうか」

「仕事を手伝ってくれるのは大歓迎ですが・・」


小さく笑って、ラフさんはゆっくり私を見つめる。う・・、忘れてたけど、この人も結構なイケメンだ・・。流石に照れるんですけど・・。


「・・・・・ウルキラをからかいに来ようと思っててな・・」

「・・それは、まぁ、団長さんと気が合う事・・」


私が呆れたような目で見ると、ラフさんが笑って中庭を指差す。

不思議に思って、中庭を見ると、キラさんが遠くからこっちをめっちゃ見てる。すっごい見てる。遠くにいるのに、めちゃくちゃ圧を感じる・・・。


「次に来る時が、楽しみだ」

「ラフさん、やっぱいい性格してます・・」


ハハっと笑うラフさんは、来た時の顔とは全然違って、優しい顔をしていた。



ものすごい圧を纏ったキラさんに書類を渡すと、ちょうど良いタイミングで、ニルギさんが様子を見に来る。

さすがです・・ニルギさん・・。あとでクッキー多めに用意しよう・・そう思った。ニルギさんは、嬉しそうな顔で・・、


「どれ、二人とも久々に魔術の稽古でもつけてやろうか?」


そう言うと、二人ともウンザリした顔をしていた。・・・意外に、気が合うかもしれない・・、おかげで空気が和らいだ。

その後ニルギさんと、ラフさんとで書類を配りに回り、あっという間にお昼の時間になった。



食堂へ籠を取りに行こうと、階段を下りていくと、キラさんがこちらへ向かって歩いてきた。


「キラさん!」


階段を、ぴょんと跳び下りると、キラさんはやっぱりちょっと焦った顔になる。大丈夫ですってば。


「・・危ない」

「早く会いたかったんで」


ヘラっと笑うと、無表情だけど、少し驚いた顔をして小さく笑う。

・・・うん、その顔、好きです。


「そうか」

「はい」


そう言うと、無言で手を繋ぐ。

さっき纏っていた圧はどこかへ行って、途端に昨日の夜のような甘い空気になる。

うう、ちょっと恥ずかしいけど・・機嫌がいい方がずっと良いし・・。


食堂から籠を受け取って、いつものように訓練場の木陰に座ると、食べる前に、ぎゅうって抱きしめられる。早い。あと、言葉をかけてくれ。


照れくさいけど・・、ちょっと顔をすり寄せると、キラさんはそれは嬉しそうな顔をする。・・・この顔も好きだけど、照れる。本当に照れる・・・。


「・・・明日、休み?」

「あ、はい」

「明日、一緒に出かけたい」


あ、それってデートですか・・ね。

でも、言葉にするのは恥ずかしくて、到底無理なので、私はうなずくだけに留める。


「・・・とりあえず、お昼・・食べましょうか。野菜とか」

「・・・野菜はいい」



ちょっと拗ねた感じで答えるキラさんに笑ってしまった。

食べましょ、野菜!




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