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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
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黙して語らない騎士は・・。


翌日、何というか気恥ずかしさで一杯だったが、朝食を一緒に食べ、キラさんに執務室まで送ってもらった。甘い!!もうなんていうか、全てが甘い!!!視線も、顔も!!無言さえも!!!


私は若干苦しかったが、声を振り絞って部屋へ入る。


「おはようございまーす」

「・・・昨日、なんかいい事あった?」


間髪入れず団長さんが、じいっとこちらを見て聞いてくる。

すごい・・・何、このお局・・。


「・・何でですか?」

「ドアの前に来る前から、ウルキラの気配が幸せオーラしか流れてこない・・。いつもは、俺をぶっ殺す・・くらいの気配しかさせないのに・・」

「・・団長さん、普段、キラさんに何をしてるんですか??」

「え、からかってるだけだよ〜」


・・絶対、それだけではないであろう。ニコニコ笑う団長さんにため息をつく。


その後、すぐに大量の書類を持ってフランさん、ニルギさん、ラフさんもやってくる。あれま、大所帯だな・・。ラフさんは約束していた一覧表をわかりやすく作ってくれて、私は大喜びであった。

本当、こういうの欲しかった・・。


ニルギさんは、良かったな・・と、ニコニコ笑いつつ、ラフさんに仕事をガンガン回していたけど・・い、いいのか?


フランさんと書類を整理し、ラフさんと団長さんの二人で確認、精査してくれるのでサクサク進む。これは・・、気持ちいいぞ〜〜。あんなにあった書類もあっという間に底が見えて、フランさんとニコニコ微笑んでしまう。


「ええと、こっちの書類は訓練場に、こっちは武器課に持って行きますね」


大量の許可書やら、何やらの束を持って届けに行こうとすると、


「さすがに量が多すぎるだろう・・。俺も手伝う」


と、ラフさんが手伝いをしようと席を立つと、団長さんが慌てた顔になる。あ、仕事抜けられると困る感じ?


「え、いやいや・・ラフさんは団長さんと引き続き、確認してください。届けるだけですし」

「・・いや、ちょっと体を動かしたい」

「ああ、体ガチガチになりますもんね」

「そういうわけだ。半分持つ」

「はぁ、じゃあ、すみませんけど、お願いします」


書類を半分渡すと、じゃあ行ってきますと、さっさと部屋を出て行く。

横目で団長さんが慌ててる顔をしていたように見えたけど・・、あとでお茶菓子でも持っていこう。


階段を下りつつ、訓練場へ行ってから、武器庫へいこうと話す。


「ナルさんは、本当に仕事の手際がいいな」

「ありがとうございます。ラフさんがいてくれて、こっちも大助かりですよ。終わりが見えてくるなんて、感動です」

「役に立てたなら何よりだ」

「十分すぎるくらいですよ!!あ、でも調査とか終わったら戻るんですよね?」

「・・・・できれば戻りたくないがな」


少し難しい顔をしたラフさんにドアを開けてもらい、外へと出る。


「聞いたと思うが、王族とはいえ、すでに兄は王として政権を担っているし、俺は三番目で・・まあよくてスペアのような存在だ。・・騎士団に勤めているとは言え、何とも息苦しい事が多くてな・・」


王族って言えば、裕福・・くらいの貧相なイメージしか持っていなかったけど、結構、苦労して生きてるのか・・そう思うと、ちょっと苦しくなった。


ラフさんは、言いづらそうにしつつ、私を見て話す・・。


「・・・だから・・と、いうか、この通り・・捻くれているから、ウルキラに八つ当たりしてしまった・・。悪かったな」

「え、いや私に謝られても・・」

「・・ナルさんも傷つけた。あんなに睨んできたのに、あっさり許すものだから驚いた」


ですよね・・。私らめっちゃメンチ切ってましたもんね。


「負けず嫌いなもんで・・、でも、謝っていただきましたし。」


いや、まぁ・・ちょっと警戒してたのは否定しないけど。


「だから、何というか・・、感動した」

「へ?」

「こんな風に、すぐ許したり、飴を買ってよこすなんて・・、面白いな・・と」

「睨みをきかす方が・・良かったですかね?」


ニヤッと私が笑うと、ラフさんは吹き出す。



「・・・やっぱり飴がいいかな」



そう言って、ニヤッと同じように笑って返すので、私は笑い返した。





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