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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
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黙して語らない騎士は動く。7


訓練場に書類の束を持って、門番さんに声をかけて中へ通してもらう。


キラさんにこの書類見せればいいのかな・・。

訓練場の中では、騎士さん達が打ち合いの練習や、体を鍛えていて、相変わらず格好いい、という感想しか出てこない。うん、鍛えられた筋肉を見るのは好きなんだ。


訓練場の真ん中に、銀髪のキラさんが見えて、私は柵がある辺りまで歩いていくと、キラさんも気付いたのか、こちらへ駆け寄ってくる。あ、すみませんね・・お仕事中に。


「ナル、どうした?」

「お仕事中、すみません・・。団長さんにこれを持っていって・・って、言われて」


そういって、書類を渡すとキラさんはページをめくりつつ、内容を把握するために、素早く目を通していく。・・と、ピタッと手が止まり、私を見る。ん?なんかあった?


「あの、書類に不備とかありました・・・?」

「・・・いや」


キラさんは書類をじっと見て、私を見ると、


「ナル、訓練場の武器の確認をお願いできるか?」

「あ、はい」

「この書類を見ながらチェックしてくれればいい」

「はい」


こっちだ・・と、キラさんの後を付いていく。うーんお仕事してる時は、キビキビ働くし、喋るし・・キラさん普通に格好いいな。私はちょっと顔が緩みそうになるので、眉間に力を入れてみた。


訓練場の脇にある、大きな倉庫の扉をキラさんが開けると、剣や弓が所狭しと置いてある。マジかー、これを確認しながらチェック入れるのかー・・、ちょっと目が遠くなる。いや、仕事だ・・頑張りますけども。


「キラさん、どこの武器からチェックすればいいですか?」

「ここの棚だな。剣は分かりづらいし」

「確かにー・・。剣は分からない・・刃こぼれとか私には難解です」


そう言うと、キラさんは静かに笑う。


「分からなかったら、また後で聞いてくれ」

「はい」


なんだか仕事でこうして会話するのって、初めてなので新鮮だなって思って、ニコニコして・・あ、いかん!今は仕事だ・・!と、顔を引き締める。

その一連の流れを見たキラさんは、小さく笑ってる。


「・・頑張ります」

「・・・ああ、扉は開けておくから。何かあれば言いにきてくれ」


水色の瞳が、熱を持ってじっと見るので、ちょっとソワッとしてしまう。うぅ、その視線に弱いんですけど。キラさんの手が頭にポンと置かれて、そのまま手の平がゆっくり下りてくる。指が頬を撫でて、唇をそっと撫でると、ドキッと思わず大きく胸が鳴る。


「また昼に」

「・・・はい」


顔が真っ赤であろう・・私は、目が合わせられないけど返事をすると、ふっと笑う気配がした。キラさんは、小さく手を振って、訓練場へ戻って行った。


さっきまであった甘い空気を振り払うかのように書類を見て仕事に取り掛かるけど、チェックしつつ、キラさんに撫でられた唇の感触が頭から離れなくて・・ちょっと苦労した。


武器の確認なんてできるのかなって思ってたけど、結構劣化がわかりやすい物だったので、ホッとした。なんとかお願いされた棚の確認を終えると、ちょうどお昼の鐘が鳴った。



「もうお昼かぁー!」


んーっと体を伸ばして、お昼を取りに行くために扉を閉めようとするけど、重くてびくともしない。重すぎない??!

扉のふちを掴んで、足に力を入れて閉めようとするも閉まらない!!!キラさん呼ぶ方が早いな・・あっさり諦めて、振り返るとキラさんが足早にこちらに向かって来ていた。


「キラさんお疲れ様です!棚の確認終わりましたよ」

「そうか」

「でも扉が閉まらなくて・・直しておいた方がいいかも」

「一時的に魔法をかけておいただけだ」


そういうと、扉に軽くキラさんが触れるとあっさり閉まった。


「・・なんで魔法?うっかり閉まると開かなくなっちゃうとかですか?」

「・・防犯上だな」

「そうですか、じゃあお昼食べましょうか?食堂に籠、取りに行ってきますよ」


そう言って、食堂へ行こうとするとキラさんが手首を掴んで首を横に振る。


「・・食べないんですか?」

「取りに行ってくる」

「え、でも・・」



キラさんはそのまま無言で手を繋いで、いつも座る木陰まで連れて行くと座らされる。私を確認するかのように一度うなずくと、食堂まで行ったようだ・・いや、言葉・・。




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