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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人と家族。
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黙して語らない騎士、父だもん。


キラさんは朝早くソマニへ出張!

そして私はこれから二週間、世に言うワンオペってやつに挑戦である。まぁ、半年もずっとキラさんによって助けられていたので、ようやく‥て感じ?


パンをもしゃもしゃと食べつつ、仕事用のカバンにウルリカのオムツや着替えをセットしていると、私と同じ茶色の目をキラキラさせ、元気な顔でずりばいするウルリカがニコニコと笑う。


「あ〜〜!」

「今日も元気だね〜。ミルク飲んでおこっか」

「あう〜」


ウンウン、今日もウルリカが元気で助かる。

男子はよく熱を出すわよ〜と、ルーナさんに言われていたけれど、キラさんに似たお陰か結構元気に過ごしてくれて有り難い。ミルクを飲ませてゲップをさせていると、玄関のチャイムが鳴った。


ありゃニルギさんだな。

私の第六感を動かさなくてもわかるぞ。



「おーい、もう起きてるか〜」

「やっぱりニルギさんだ。はーい!起きてまーす!」



玄関の方へ声を掛けると、ニルギさんが竜の卵が入った鞄を肩にかけつつ家に入ってきた。‥お菓子食べながら。


「ニルギさん、今日はこっちなんですね。ていうか、もうお菓子食べているんですか」

「甘い物を食べておかないといざという時に動けないからな!」

「ちゃんとご飯を食べた方がいいですよ。あ、キラさんが作っておいてくれたスープ飲みます?」

「飲みたい!」

「はーい。じゃあ、ウルリカをお願いします」


ウルリカをニルギさんに手渡すとそれはもう嬉しそうに抱っこしてくれた。本当ーーーにウルリカを見てくれてありがてぇ‥。急いでスープを温めてお皿によそうと、ウルリカはニルギさんと一緒に竜の卵を抱えていた。



「た、卵、大丈夫ですか?」

「ウルキラがしっかり魔術をかけてくれたからな。なんなら石臼に引かれても割れないぞ」

「石臼‥‥」

「ぱう〜〜〜!」

「‥ウルリカ、いつも卵を触ると「ぱう」って言うねぇ」

「竜の騎士として何か感じるものがあるのか‥?」

「ニルギさん、ウルリカはまだこの世に生まれて半年しか経ってない赤ちゃんですからね?」



何故皆ウルリカを竜騎士にしようとする‥。

もしかして私と同じ事務員になるかもしれないのに。‥って、思ったけど、竜の卵を嬉しそうに抱えているのを見るとそれはない‥か?


ともかくニルギさんがウルリカが触っても大丈夫!と太鼓判を押しているならいいのかな?触っているとニコニコしているし、ニルギさんにはスープを飲んでもらおう。


二人で交代でスープを飲めば、元気満タンである!


「よーし、じゃあ報告ついでに転移で仕事へ行くぞ!」

「はーい!」

「あー!」


ウルリカまで返事に参加してくれた。

三人であっという間に騎士団まで転移して、執務室に入るとそれはもうバタバタしている。ライ君とセラ君が書類を団長さんに手渡して、色々確認している。わ、わぁ‥忙しそう。



「おはようございま〜す」

「あ、ナルさんおはよう!ごめーん、早速だけど書類チェックお願いできる?」

「はい!よし、ウルリカをおんぶするか」

「ああ、ナル。それなら俺が王都まで報告に行ってくるから一緒に連れて行くぞ」

「え?に、ニルギさんが?」

「ルピス殿がまた会いたいと言ってた」

「いいのかなぁ?王都の魔術師さんに‥って、ニルギさんも魔術師か」



ぶっと吹き出したニルギさんは「そうそう、俺も魔術師だった」と笑うと、ウルリカを見て、


「まぁ、どうにもならなくなったら戻ってくるさ。竜の卵を持っていると落ち着いてるし、大丈夫だと思うぞ」

「私のエプロンから卵‥。いや、まぁ卵の情操教育的にまだいいか」

「そうそう。少なくともウルキラの訓練中よりは穏やかだろ。じゃあ、ちょっと行ってくるな〜」

「は、はい!よろしくお願いします!」


ちょっと不安はあるけれど、ウルリカのオムツ替えもミルクもなんならニルギさんも相当やっている。‥その内ウルリカを預けるとなったら、きっと離れる事が寂しいとか、自分の目の前にいない不安とかを抱えながら仕事をするのだろう。あ、まさに今か?


もだもだと考えていると、ライ君が大変申し訳なさそうに私を見て、



「すみません‥ナルさん。昨日頑張って書類を終えたんですけど、ソマニへの書類に不備があって、」

「フランさんがソマニに行ってるから仕方ない!頑張ってやっつけちゃおう!今日も団長さんの隣でやるから、どんどん書類持ってきて!」

「はい!!」



ライ君はホッとしたような顔をして返事をして、団長さんの横にくっ付けた私のデスクにこれは広辞苑かな?ってくらいの分厚さの書類を三つドンと置いた。


「「え‥、」」


あまりの量に私と団長さんが目を見開くと、ライ君はにっこりと微笑み、


「とりあえず、今日はこれをお願いします!僕とセラは騎士団の方の仕事をやっつけたら、こっちも手伝いますが、ナルさん全部やらなくても大丈夫です。団長さんは必ずやり遂げて下さい」

「了解です!」

「そんな〜〜〜!!!!」


‥団長さんが涙目で書類を睨んだけど、ともかく頑張ろう〜!




私も書類仕事は苦手です‥。

今日も読んで頂き大感謝〜〜!ありがとうございます!

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