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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
55/566

黙して語らない騎士は動く。5


心配そうにフランさんに見送られ、

私はキラさんに、無言で手を繋がれたまま、キラさんの部屋へと連行される。


あ、二度目まして・・。

キラさんの部屋へ入ると、机の椅子をベッドの前に置いて座るようにと仕草で促されるので、そっと座ってみる。


キラさんは、ベッドに座って私を見つめる。

うぅ、無言が怖い・・。


「ナル」

「あのですね!団長さんの書類整理、この間も手伝ったじゃないですか?本当に終わりが見えなくてですね・・、近く手伝う事になってたんです。予定より大分早いので、明日文句言います!」


「そっちじゃない」

「あ、お花・・?」


静かにキラさんがうなずく。

それは・・、むしろこっちが説明して欲しい・・。


「ええと、言いそびれちゃったんですが、団長補佐の・・ミラファさん?に、倉庫に片付けに行く途中で、謝られて・・、それでもういいですよーって言ったんですけど・・。あれですかね、申し訳ない気持ちをお花に託した感じだと思いますけど・・」


「・・・・・・そうか」


キラさんの言葉が、なんか重い。なんならちょっと怖い。


「あの、本当にそれだけで・・」

「・・・ああ」


キラさんが、返事をするけど・・、いつもみたいにこっちを向かない。

なんというか、怒っているような気がする。無表情だけど。


そうだよね、私だってキラさんが差し入れもらっているの見ただけで、なんというかモヤモヤしちゃったし・・・。あれ、って事は・・・キラさん、もしかしてヤキモチとか・・やいてる?


も、もしかして・・・そういう事・・・?


膝に手を置いて、どこか考え込んでいるキラさんの手を、ちょっと指でつついてみる。キラさんが、私の目を見つめるけど、すぐに逸らされる。


・・うん、そうなのかも・・。そう思ったら、じわじわ嬉しくなる。


「・・・ヤキモチ・・・でしょうか?」


私はちょっとだけ期待を込めた目で、もう一度キラさんを見る。

キラさんは、少し目を開いて・・、ちょっと困ったように小さく笑う。あ、可愛い・・・。


「・・・そうだな」


ちょっと照れくさそうに言うものだから、私まで顔が赤くなる。・・・くそ、かっこいくて、可愛いとか反則すぎやしないか?私は、若干悔しくなる。


「じゃあ、お互い様です。私もちょっと前に、そういうのあったんで・・」


ヘラっと笑って言うと、キラさんは不思議そうな顔をしてから、言葉の内容に気付いたのか、少し目元が赤くなった。・・・あ、照れてる?と、思ったら片手で顔を隠した。


「・・ナル」

「はい?」

「今、見ないで欲しい」


余裕のあるキラさんの大人の顔を剥がせたようで、私はちょっと気分が良くなった。


「何でですか?」


面白がるように、顔を覗き込もうとして、椅子に座りつつキラさんに話しかけると



「抱きたくなるから」



抱き・・・・・、

・・・・・・・私は椅子ごと後ろに飛んだ。

ものすごい勢いで飛んだ。


「・・・・ええ・・・と」


前言撤回。キラさんは余裕だった。

片手をそっと下ろしたキラさんは、可笑しそうにこっちを見てる。おのれ、謀ったな・・。


私は真っ赤な顔で、「遠慮します・・」と小さい声で言うしかできなかった。くそ。


結局、椅子に座って動けなくなってしまった私に、キラさんは甘すぎるって思うくらいにキスしてきて、結局私は負けを認めるほかなかった。



翌日、

早速書類整理のお手伝いのため執務室へお仕事に行くと、めっちゃ笑顔の団長さんに


「ね〜ね〜、昨日のデート楽しかった?」


と聞かれ、ジト目で「はぁ」と返事すると、


「え〜、お花は帰って来てから渡すように配慮してあげたんだけど・・楽しくなかった?」

「え?あれ団長さんからだったんですか?」

「ミラファ殿だよ〜。いたずらでやったら、ウルキラに殺されるし・・。デート前に渡したら険悪になるかな〜って思ったゆえの、僕からの優しい配慮だよ!」


「あ、そうですか。団長補佐さんも別に気にしなくていいのに・・義理堅い人ですよね」


私は、そう答えると、団長さんが態とらしく大きなため息をつく。・・・・よし、とりあえず仕事しよ。私は、分厚い書類を叩きつけるように、団長さんの机に置いた。




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