黙して語らない騎士は動く。5
心配そうにフランさんに見送られ、
私はキラさんに、無言で手を繋がれたまま、キラさんの部屋へと連行される。
あ、二度目まして・・。
キラさんの部屋へ入ると、机の椅子をベッドの前に置いて座るようにと仕草で促されるので、そっと座ってみる。
キラさんは、ベッドに座って私を見つめる。
うぅ、無言が怖い・・。
「ナル」
「あのですね!団長さんの書類整理、この間も手伝ったじゃないですか?本当に終わりが見えなくてですね・・、近く手伝う事になってたんです。予定より大分早いので、明日文句言います!」
「そっちじゃない」
「あ、お花・・?」
静かにキラさんがうなずく。
それは・・、むしろこっちが説明して欲しい・・。
「ええと、言いそびれちゃったんですが、団長補佐の・・ミラファさん?に、倉庫に片付けに行く途中で、謝られて・・、それでもういいですよーって言ったんですけど・・。あれですかね、申し訳ない気持ちをお花に託した感じだと思いますけど・・」
「・・・・・・そうか」
キラさんの言葉が、なんか重い。なんならちょっと怖い。
「あの、本当にそれだけで・・」
「・・・ああ」
キラさんが、返事をするけど・・、いつもみたいにこっちを向かない。
なんというか、怒っているような気がする。無表情だけど。
そうだよね、私だってキラさんが差し入れもらっているの見ただけで、なんというかモヤモヤしちゃったし・・・。あれ、って事は・・・キラさん、もしかしてヤキモチとか・・やいてる?
も、もしかして・・・そういう事・・・?
膝に手を置いて、どこか考え込んでいるキラさんの手を、ちょっと指でつついてみる。キラさんが、私の目を見つめるけど、すぐに逸らされる。
・・うん、そうなのかも・・。そう思ったら、じわじわ嬉しくなる。
「・・・ヤキモチ・・・でしょうか?」
私はちょっとだけ期待を込めた目で、もう一度キラさんを見る。
キラさんは、少し目を開いて・・、ちょっと困ったように小さく笑う。あ、可愛い・・・。
「・・・そうだな」
ちょっと照れくさそうに言うものだから、私まで顔が赤くなる。・・・くそ、かっこいくて、可愛いとか反則すぎやしないか?私は、若干悔しくなる。
「じゃあ、お互い様です。私もちょっと前に、そういうのあったんで・・」
ヘラっと笑って言うと、キラさんは不思議そうな顔をしてから、言葉の内容に気付いたのか、少し目元が赤くなった。・・・あ、照れてる?と、思ったら片手で顔を隠した。
「・・ナル」
「はい?」
「今、見ないで欲しい」
余裕のあるキラさんの大人の顔を剥がせたようで、私はちょっと気分が良くなった。
「何でですか?」
面白がるように、顔を覗き込もうとして、椅子に座りつつキラさんに話しかけると
「抱きたくなるから」
抱き・・・・・、
・・・・・・・私は椅子ごと後ろに飛んだ。
ものすごい勢いで飛んだ。
「・・・・ええ・・・と」
前言撤回。キラさんは余裕だった。
片手をそっと下ろしたキラさんは、可笑しそうにこっちを見てる。おのれ、謀ったな・・。
私は真っ赤な顔で、「遠慮します・・」と小さい声で言うしかできなかった。くそ。
結局、椅子に座って動けなくなってしまった私に、キラさんは甘すぎるって思うくらいにキスしてきて、結局私は負けを認めるほかなかった。
翌日、
早速書類整理のお手伝いのため執務室へお仕事に行くと、めっちゃ笑顔の団長さんに
「ね〜ね〜、昨日のデート楽しかった?」
と聞かれ、ジト目で「はぁ」と返事すると、
「え〜、お花は帰って来てから渡すように配慮してあげたんだけど・・楽しくなかった?」
「え?あれ団長さんからだったんですか?」
「ミラファ殿だよ〜。いたずらでやったら、ウルキラに殺されるし・・。デート前に渡したら険悪になるかな〜って思ったゆえの、僕からの優しい配慮だよ!」
「あ、そうですか。団長補佐さんも別に気にしなくていいのに・・義理堅い人ですよね」
私は、そう答えると、団長さんが態とらしく大きなため息をつく。・・・・よし、とりあえず仕事しよ。私は、分厚い書類を叩きつけるように、団長さんの机に置いた。




