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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人と家族。
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黙して語らない騎士、成長中!9


真っ白になったエリスさんはあれからなんとか立ち上がったらしい。

ニコニコなニルギさんとルピスさんに肩を叩かれつつ執務室へ戻ってきたけれど、どうにか立ち直れたようでホッとした。


しかし、執務室ではオルク団長が持って来てくれた資料を目を輝かせて見ては、質問をしたり嬉しそうに微笑むルーシェさん。


それを目にした瞬間、砂のように崩れ落ちそうになったエリスさんをニルギさんとルピスさんが支えた。あ、嗚呼‥。


だ、大丈夫か?耐えられるのかこの空間に。

心臓がドキドキと別の意味で鳴っている私の横で、キラさんは穏やかな笑顔で寝ているウルリカを見ている。心なしか無表情が緩んでいるんだから、子供ってすごいな‥。私ゃもうドッキドキだよ‥。



と、階段を駆け上がってくる音が聞こえた同時に、ウルクさんが扉をノックしながら入って来た。



「事件です!!フランさんの店に男が立てこもって女性店員を人質にしてます!!」

「え?!!」

「どうも騎士団や他の国の騎士団が入っていったんで、何か特別な物が売ってるんじゃあって思ったらしいです」



ルーシェさんがサッと顔を青くすると、オルク団長がすぐにルーシェさんを見て、


「これは貴方のせいではないとしっかり認識して下さいね。ラトル殿」

「はい、大丈夫です。すぐに手を打ちます。ウルキラ、頼めるか?」

「すぐに行く」

「おっと、それならもちろん私も行きますよ」


エリスさんがすぐに姿勢を正し、団長さんに視線を送ると団長さんはちょっと笑って「お願いします」というと、すぐにウルクさんと一緒に2人が下へ向かっていった。ルーシェさんはギュッと下唇を噛むと、勢いよく立ち上がった。



「私も、行きます!」

「え、でも‥」

「あのお二人にだけ任せるなど出来ません。ラトル殿、行かせて下さい!」



団長さんとオルク団長さんが顔を見合わせると、2人してふっと笑い、


「‥じゃあ、なるべく穏便でお願いしますね」

「了解した!」


そういって、ルーシェさんはツカツカと窓際へ歩いていき、窓を全開にすると指笛を吹く。ピーーーー!!と高い音が部屋に響き、窓枠に足をかけるので私は大いに慌てた。


「ちょ、ちょっと、ルーシェさん!!危な‥」


言いかけたその時、窓から飛び出したルーシェさんにあっと声を上げた。

瞬間、青い大きな竜のアビーがルーシェさんを掴み、窓の外でアビーの手からヒラリと鞍に飛び乗った。目を見開いた私をチラッと見て、ニヤリと笑ったルーシェさんはそのまま港へ一直線に飛んでいったけれど‥、



「す、すごい‥」

「竜騎士の女性団長、だからね〜」

「そうなんですか??!」

「副団長って言われてるけど、ヴァン団長が「俺より竜に乗るのは上手いぞ」って」



団長さんがのんびりした口調で教えてくれて、ポカーンと口を開いていると、オルク団長さんが面白そうに笑って、


「やっぱりあの逸材は良いですよね」

「そうですね。あれだけの実力が備わっているのは素晴らしいです」


2人で笑いながら窓の外を見ていると、ニルギさんが私の肩をおもむろに叩いて、そちらを見るとめちゃくちゃ目がキラキラしてる。‥とても嫌な予感しかしない。


「ナル、港へ行こう!!」

「言うと思った〜〜〜!!なんであえて突っ込もうとするんですか?!」

「竜騎士の戦いが見たい」

「いや、きっと活躍の場はないかと‥。だってエリスさんとキラさんですよ?」

「きっとルーシェ殿のが早い!」

「いやそれを言ったら私達も‥」

「転移で行こう!」

「それならキラさん達にそっちを提案して下さいよ〜〜!!」


思わず訴えたけど、ニコニコなニルギさんは譲る気はないらしい。

ルピスさんもちょっとそわそわした顔で「興味ありますね」って言うから、魔術師〜〜〜!!!団長さんを見ると、笑顔で私に手を振って、



「あ、もし現場しっかり見られたら書類に書いておいてね!」

「そっちか!!そっちが狙いか!!」



と、言う私の叫びと共にニルギさんと私とウルリカとルピスさんはあっという間に事件現場に転移した。クソ!!団長さんの書類チェックしようと思ってたのに〜〜!!!




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