表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人と家族。
538/566

黙して語らない騎士、成長中!4


あっという間にルーシェさんが来る日。

ミルクやらおむつやら着替えをカバンに詰め込んでキラさんと出勤である。


これがあと3ヶ月すると、日常になるのか‥。

本当は1年私だけ休んでいいことになってるけど、やっぱり私もキラさんと同じ半年でもいいかなぁ〜なんて思うんだけど、まぁそこはウルリカの成長具合を見て判断しよう。子供の成長を見られるのは親の特権だし。



「ナル、用意は大丈夫か?」

「あ、はい!荷物はバッチリです!」

「ウルリカもオムツも替えたし、ミルクもバッチリだ」

「完璧ですね!よし一緒にお仕事頑張ろうね!ウルリカ!」

「あう〜」



今日も今日とて完璧なお返事ありがとうございます。

抱っこしているキラさんが無表情ながら口元を緩めると、ウルリカはにこっとキラさんに笑いかけるので、キラさんがますます嬉しそうだ。無表情だけど。


「では今日は転移で行くぞ」

「はーい!お願いします!」


キラさんが手を繋いであっという間に騎士団の入り口である。

騎士団の入り口で警備してた騎士さん達が私達を見るなり、「今日はお疲れさんです!」「エリスさん、お願いします!!」っていうからやっぱり皆心配しているんだなぁ。


執務室へキラさんとウルリカと一緒に入ると、ルーシェさんが来るというのにすごい量の書類を半べそかきつつこなす団長さんが私を見るなり、



「ごめーん。まだ仕事終わってないです」

「想定内なのでそこは大丈夫です。エリスさんはどこに?」

「‥想定内ってこれでもまだ少ない方なのに〜〜。エリス殿ならあと少ししたらルーシェ殿も来るから一応場所の確認に行ってもらったよ」

「調子はどうですかね?」

「うーん、朝見た時点では大分‥暗いな」



ですよねーー!!!

とはいえ1週間あったけど、まだ暗いか!

そうだよね、遠く離れた国まで行ってプロポーズしに行っておいて、フラれて帰ってきたんじゃそりゃ心のダメージも大きいよなぁ‥。元気が少しでもでるようにお菓子を作ってきたけれど、どうにもならないか‥?


と、執務室にフランさんとライ君が慌てた様子でやって来た。


「今しがたルーシェ殿から連絡がありまして、予定より早く到着するそうです!」

「え、想定より早かったな。わかった、すぐ訓練場に行く」

「ナル、俺達も行こう」

「は、はい!」


皆思っていることは一緒なのだろう。‥エリスさん、大丈夫かなって。



この1週間私も「大丈夫かなぁ〜」ってちょいちょい考えてくらいだから、ずっと一緒にいた皆はそれは心配なのだろう。そわそわしながら団長さんを先頭に急いで訓練場へ向かうと、エリスさんが何やらニルギさんを話していた。


「ニルギさん!エリスさん、おはようございます!」

「おお〜、ナルにウルリカ!今日はご苦労様」

「‥おはようございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします」


挨拶はしてくれたけど、ちょっと顔にまだ生気がないエリスさん‥。

これ。今すぐお菓子を渡しておくべきか?なんて考えていると、



「クェエエエエ!!!」



頭の上で、なんか鳴き声が聞こえる?

空を見上げると、竜の群れが訓練場の上を旋回しているのが目に入った。その中の青い竜、ルーシェさんの乗るアビーがこちらへ一直線に飛んでくる。


「アビー!!」

「クエ!!」


私達の少し手前で静かに着地すると、ルーシェさんがアビーから降りたった。

するとアビーがすぐさまドスドスと足音を立てながら私の方へ来ると、嬉しそうに顔をすり寄せた。



「久しぶり〜〜!!!元気だった?」

「クェェエ!!」

「こら!アビー、少しは落ち着きなさい!ナルさんお久しぶりです。休養中の身なのに申し訳ない‥」

「いいえ〜!お会いできて嬉しいです!元気そうで良かったです!」

「皆さんもこの度は急な訪問に関わらず快く受け入れて下さり感謝します」



ルーシェさんがビシッと敬礼すると、団長さんも敬礼し、


「いいえ、今回の仕事はとても大事な一歩ですから。我々も出来る限りの援助をしていく所存です」

「‥ありがとうございます。では早速ですが竜達を休ませてから紹介して頂いた場所へ向かいたいのですが‥」

「では、エリス殿にまずは竜の休憩場所を案内させますね」


団長さんの言葉にルーシェさんが少しだけ動揺した様子だったけれど、スッといつものキリッとした顔に戻ると、エリスさんが団長さんの横に一歩足を踏み出した。



「それではご案内します」

「‥お願いします」



いつもと変わらない様子でにっこり微笑んだエリスさん。

それを固唾を飲んで見る私達だったけれど、テキパキと竜を休憩場所まで案内し、執務室へと団長さんが連れて先に行くのを見届けたエリスさんは、いきなり倒れた。



「え、エリスさーーーん!!!」



慌てて倒れたエリスさんに駆け寄ると、突然ニルギさんがウルリカの為に作ったヘルメットを静かに被せた。



『が、頑張りました‥』



と、エリスさんが力無く呟き周囲にいた騎士さん達が「あんた漢の中の漢だよ!!」って一斉に泣いた。うん、そうだね。




耐える男性っていいですよね‥(笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ